子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#17 最高裁が全体としての判断をされましたので、私どもも、全体で判断するということでよろしいかと
(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
最高裁判例によれば、保険料には「特別の給付に対する反対給付」の性質がある。
支援金にその性質はあるのか。
この点につき大臣は、反対給付性を論じる際は「全体で論じることが適当」であり「一部分のみを取り出して反対給付性の有無を論ずることは適当ではない」、支援金については「支援金部分のみを取り出して具体的な反対給付性を論ずるものではない」、「医療保険料と介護保険料と支援金」の三つを「全体で論じることが適当である」と述べた。
本当にそうなのか。
藤岡 それで、るる言われた例の反対給付性の話ですね、保険料全体。せっかくですから、こういうすごく真面目な議論をさせていただきたいと思うんですけれども、まさに法案審議でありますから……(発言する者あり)ありがとうございます。
それで、これも初代の堤元老健局長に御見解を伺ってきました。
保険料の反対給付性が、保険料全体ということで御答弁が加藤大臣から先日もありましたけれども、保険料の反対給付性が、全体としてとおっしゃいましたけれども、保険料の反対給付性が個別の保険給付等と一対一で判断されるべきことは言うまでもないことです、全体として判断されるなどとは聞いたことがありません、健康保険の反対給付性は保険料水準と保険給付のバランスを考える際の基礎になるものであり、そこに全体としての判断と称して保険給付以外の要素を忍び込ませるのは保険財政の自律性を脅かすものですというふうに、御見解、これはそのまま私ちょっと読み上げさせていただきましたけれども、大先輩であると思いますけれども、こういうお話、御見解をいただいております。
全体としてという考え方、言い切られましたけれども、先日の委員会、ちょっと私も言い過ぎた面もありましたけれども、全体として判断するということを言い切っていいんですか。室長、御答弁をお願いします。
熊木 これは、反対給付性については全体で判断するもの、そこはそのように考えてございます。
そもそも社会保険制度でございますので、非常にいろいろな方がいろいろな御事情があって、給付は、どの給付が自分にとっては当たるのか、当たらないのか、そういったことの事情というのは物すごく様々でございますので、率直に申し上げて、一対一で、この給付があるからこの反対給付としての保険料を払うということをどこまで厳密に詰めるかというと、それはなかなか元々難しいものであるというふうに考えてございます。
その上で、最高裁の判例の話になりましたものですから、最高裁の判例におきましては、当然ながら、そういった様々な給付、先生がおっしゃる意味においては、なかなか反対給付性がないのではないかといったものが含まれている状況の中で、最高裁が判断をされまして、国民健康保険の保険料については、これは税ではなくて保険料である、具体的には憲法八十四条に違反するものではない、こういう判示をされました。
これは、当然ながら様々なものが含まれて、先生がおっしゃる給付、反対給付の関係が怪しいといいますか、説明が難しいというものもある中で、全体としての判断をされましたので、私どもといたしましても、最高裁の考え方と同様、全体で判断するということでよろしいかというふうに考えてございます。
藤岡 全体としてということでよろしいかということをおっしゃいましたけれども、いろいろ入っていた状況下でというふうにおっしゃいましたけれども、本当に、出産一時金はある意味療養の給付に代わるものというふうにも捉えられますし、当時の老人保健拠出金は、これも堤局長の御見解をいただいていますけれども、国保加入の御高齢者の方に対して、国保に代わって市町村から保険給付をするものですから、その費用は国保の保険料から負担するのは当然のことであって、ある意味、つながりという面では全くないというものでもないです。
だから、何か違うものが入っていた状況というのは、なかなかちょっと、私はまだそこは納得できないところではありますし、ある意味、全体として、一つ一つで今判断は難しいとおっしゃいましたけれども、この支援金制度という大きい制度、いろいろ細かいものをいっぱい入れていること自体が本当はどうなのかということがあるので、私は、ちょっとまだまだこの保険料全体として判断するというところについて納得は非常にできないなということをすごく感じます。
参考資料等
堤修三
平成十八年三月一日最高裁判所大法廷判決