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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#02 結果として出生率が向上していくことを目指してまいります

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 支援金は、「加速化プランを支える安定財源の確保策」として創設される。
 加速化プランの目標は何か。


日付:2024年4月3日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者:立憲民主党 井坂信彦
内閣府特命担当大臣 加藤鮎子

井坂 まず最初に、少子化対策の数値目標について伺います。
 つい最近まで、政府は、アベノミクス新三本の矢として、出生率一・八という数値目標を、いわば国家目標三本柱の一つとして大々的に掲げておりました。ところが、今回の少子化対策は、出生率の目標が見当たりません。
 大臣に伺いますが、異次元の少子化対策に出生率や出生数の目標数値がなくてよいのか、伺います。
加藤 結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであり、個人の決定に対して特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはなりません。合計特殊出生率や出生数に関連した具体的な数字が当事者にとってどのように受け止められるかを考えれば、政府として出生率や出生数について数値目標を掲げることは適切ではないと考えております。
 政府としましては、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより、個人の幸福追求を支援する結果として出生率が向上していくことを目指してまいります。

井坂 もちろん出産は個人の自由であります。しかし、一人一人が自由な選択をした結果、国全体としては出生率が増えるというように、数値目標を掲げて政策を取捨選択するのは、そんなに問題があることなんでしょうか。
 大臣に重ねて伺いますが、今の御答弁ですと、アベノミクス新三本の矢で、国家目標三本柱に出生率一・八を掲げたのは、これは大変な間違いだったということでしょうか。
加藤 令和二年に閣議決定をされた少子化社会対策大綱では、一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえることが、少子化対策における基本的な目標として掲げられていると承知をしてございます。その上で、希望がかなえられた結果として達成される姿を示すものとして、希望出生率一・八の実現を表現してきたと承知をしております。

井坂 表現したというまた非常に曖昧な御答弁だったんですけれども、一方で、こども未来戦略というのは、私もつぶさに拝見しましたが、冒頭から、二〇三〇年までが少子化傾向を反転させるためのラストチャンスだと再三にわたって危機感をあおっておられます。
 大臣に更問いでまたお伺いしますが、この少子化傾向を反転させるというのは、これは、つまり出生率がどうなることを想定しておられるんでしょうか。
加藤 少子化トレンドの反転の意味するところは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていく、また希望がかなえられてその差が小さくなる、そして、その結果として出生率が向上するということを意味してございます。

井坂 その結果としてやはり出生率が向上することを目指しておられるんですよね。そこをもう一度お願いします。
加藤 おっしゃるとおり、その結果として出生率が向上することを目指してございます。


参考資料等

こども未来戦略(加速化プラン)

 若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、こうした状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であり、2030年までに少子化トレンドを反転できなければ、我が国は、こうした人口減少を食い止められなくなり、持続的な経済成長の達成も困難となる。2030年までがラストチャンスであり、我が国の持てる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意で取り組まなければならない。
(…)
 本戦略は、少子化・人口減少のトレンドを反転させるため、これまでとは次元の異なる少子化対策の実現に向けて取り組むべき政策強化の基本的方向を取りまとめたものであり、今後3年間の集中取組期間において実施すべき「加速化プラン」の内容を明らかにするとともに、将来的なこども・子育て予算の倍増に向けた大枠を示している。

安倍内閣の経済財政政策

安倍内閣は、一億総活躍社会の実現に向けて、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」からなる「新・三本の矢」を一体的に推進し、成長と分配の好循環を強固なものとしていきます。

新・第二の矢:夢をつむぐ子育て支援
結婚や出産等の希望が満たされることにより希望出生率1.8がかなう社会の実現へ

少子化社会対策大綱 ~新しい令和の時代にふさわしい少子化対策へ~ 2020年5月29日

Ⅱ 少子化対策における基本的な目標
 一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえる「希望出生率1.8」実現に向け、令和の時代にふさわしい環境を整備し、国民が結婚、妊娠・出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により、希望する時期に結婚でき、かつ、希望するタイミングで希望する数の子供を持てる社会をつくることを、少子化対策における基本的な目標とする。
 このため、若い世代が将来に展望を持てるような雇用環境の整備、結婚支援、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、地域・社会による子育て支援、多子世帯の負担軽減など、「希望出生率 1.8」の実現を阻む隘路の打破に取り組む。
 もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならないことに十分留意する。

希望出生率1.8:
若い世代における結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなうとした場合に想定される出生率。国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」で把握した結婚や子供数の希望等を基に、一定の仮定に基づき算出すると、概ね1.8程度となるとされている。詳細については、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(令和元年改訂版)」(2019年12月20日閣議決定)における「国民希望出生率」を参照。

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/09b95185-2d55-4783-a955-983b5283ccd2/3572c013/20231228_policies_kodomo-taikou_junbishitsu_02.pdf

まち・ひと・しごと創生長期ビジョン (令和元年改訂版)

結婚・出産・子育てに関する国民の希望
 社人研「出生動向基本調査」(第15回、平成27年)によると、18~34歳の独身者は、男女ともに約9割は「いずれ結婚するつもり」と回答しており、また、結婚した場合の希望子ども数は男性1.91人、女性2.02人となっている。さらに、同調査によると、夫婦の予定子ども数は2.01人となっている。こうした希望等が叶うとした場合に想定される出生率を「国民希望出生率」として、一定の仮定に基づく計算を行えばおおむね1.8程度となるのに対し、2018年の日本の出生率は1.42となっている。

合計特殊出生率の年次推移

令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況 より

2018年 1.42
2019年 1.36
2020年 1.33
2021年 1.30
2022年 1.26
2023年 1.20(概数)
2024年 ?
2025年 ?
2026年 ? ←支援金徴収
2027年 ? ←支援金徴収
2028年 ? ←支援金徴収
2029年 ? ←支援金徴収?

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5.pdf


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井川夕慈
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