(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)
支援金は、「加速化プランを支える安定財源の確保策」として創設される。
加速化プランの目標は何か。
井坂 まず最初に、少子化対策の数値目標について伺います。
つい最近まで、政府は、アベノミクス新三本の矢として、出生率一・八という数値目標を、いわば国家目標三本柱の一つとして大々的に掲げておりました。ところが、今回の少子化対策は、出生率の目標が見当たりません。
大臣に伺いますが、異次元の少子化対策に出生率や出生数の目標数値がなくてよいのか、伺います。
加藤 結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであり、個人の決定に対して特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはなりません。合計特殊出生率や出生数に関連した具体的な数字が当事者にとってどのように受け止められるかを考えれば、政府として出生率や出生数について数値目標を掲げることは適切ではないと考えております。
政府としましては、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより、個人の幸福追求を支援する結果として出生率が向上していくことを目指してまいります。
井坂 もちろん出産は個人の自由であります。しかし、一人一人が自由な選択をした結果、国全体としては出生率が増えるというように、数値目標を掲げて政策を取捨選択するのは、そんなに問題があることなんでしょうか。
大臣に重ねて伺いますが、今の御答弁ですと、アベノミクス新三本の矢で、国家目標三本柱に出生率一・八を掲げたのは、これは大変な間違いだったということでしょうか。
加藤 令和二年に閣議決定をされた少子化社会対策大綱では、一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえることが、少子化対策における基本的な目標として掲げられていると承知をしてございます。その上で、希望がかなえられた結果として達成される姿を示すものとして、希望出生率一・八の実現を表現してきたと承知をしております。
井坂 表現したというまた非常に曖昧な御答弁だったんですけれども、一方で、こども未来戦略というのは、私もつぶさに拝見しましたが、冒頭から、二〇三〇年までが少子化傾向を反転させるためのラストチャンスだと再三にわたって危機感をあおっておられます。
大臣に更問いでまたお伺いしますが、この少子化傾向を反転させるというのは、これは、つまり出生率がどうなることを想定しておられるんでしょうか。
加藤 少子化トレンドの反転の意味するところは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていく、また希望がかなえられてその差が小さくなる、そして、その結果として出生率が向上するということを意味してございます。
井坂 その結果としてやはり出生率が向上することを目指しておられるんですよね。そこをもう一度お願いします。
加藤 おっしゃるとおり、その結果として出生率が向上することを目指してございます。
参考資料等
こども未来戦略(加速化プラン)
安倍内閣の経済財政政策
少子化社会対策大綱 ~新しい令和の時代にふさわしい少子化対策へ~ 2020年5月29日
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/09b95185-2d55-4783-a955-983b5283ccd2/3572c013/20231228_policies_kodomo-taikou_junbishitsu_02.pdf
まち・ひと・しごと創生長期ビジョン (令和元年改訂版)
合計特殊出生率の年次推移
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5.pdf