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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#52 支援金の拠出によって非正規雇用を増加させるとは考えておりません

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 政府の少子化対策の基本理念の第一は「若い世代の所得を増やす」である(こども未来戦略)。
「医療保険料の四から五%」にあたる新たな負担を企業に求めることは、企業行動に影響を与え、「若い世代の所得を増やす」に反する結果を導かないだろうか。


日付:2024年4月3日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者:立憲民主党 山井和則
内閣府特命担当大臣 加藤鮎子

山井 今回、事業主負担は余り関係ないみたいなことを政府はおっしゃっていますけれども、これはでかいんですよ。
 例えば、さっき言った年間二万四百円ですよね。それで、事業主負担が更に同額、年間二万四百円入るんですよ。ということは、加藤大臣、この支援金制度によって賃上げにブレーキがかかるんじゃないですか。
 例えば、年間二万円上げようと思っていた会社がありましたと。ところが、支援金で事業主負担が二万円入りましたと。そうしたら、ああ、無理になったなと思いますよね、普通、社長さんは。自民党の皆さんもうなずいておられますけれども。
 ということは、言いづらいけれども、先ほど、賃上げ賃上げ、頑張るとおっしゃっているけれども、一方では、賃上げに対して事業主負担が入るということは、この支援金制度自体が賃上げにブレーキ、抑制する効果があるということはお認めになりますか。
加藤 お答え申し上げます。
 これまでも、支援金制度は、歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築するため、全体として実質的な負担が生じないとしてございます。このことは社会保険料の事業主負担についても同じでありますので、支援金の拠出によって賃金を引き下げる効果があるとは考えておりません。

山井 いや、でも、賃上げに対して抑制する効果は普通ありますよ、事業主負担が入るんだから。それは認めるべきじゃないですか。そんなのは、事業主負担が入ったらその分もうけは減るわけですから、そこは認めてください。
加藤 今回の支援金制度の構築に当たっては、歳出改革を行って軽減効果を生じさせますので、その範囲内で構築するということで、実質的な負担が生じないとしてございます。これは事業主負担にも同じでありますので、支援金の拠出によって賃上げを抑制するという効果があるとは考えておりません。

山井 世の中の事業主の人は全員首をかしげられますよ。事業主負担が入ったら、賃上げに抑制になるに決まっているわけですよ。
 それともう一点。それと一緒で、私は恐ろしいと思っているのは、非正規の方、国保の方は事業主負担がないんですよね。皆さん、胸に手を当てると、非正規だったら事業主負担はない、正規だったらある。それで、そのことが子供支援金で強化されるわけですね。そうしたら、事業主としたら、非正規の、国保の人だったら事業主負担はゼロなんですよ。そうしたら、ああ、正社員を雇おうかなと思ったけれども、今度また負担が増えるから非正規にしようよということで、子ども・子育て支援金によって非正規雇用を促進させる効果があるんじゃないんですか。
加藤 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、事業主負担についても、今回の歳出改革によって軽減効果を生じさせて、その範囲内でこの支援金を構築するために実質的な負担は生じない、そのように考えております。支援金の拠出によって非正規雇用を増加させるとは考えておりません。(発言する者あり)

山井 今も城井さんから、保険料負担をなめているんじゃないかと。多くの野党の方がおっしゃる、今、保険料負担で事業主はめちゃくちゃ苦しんでいるんですよ。だから、今日の配付資料にもありますけれども、日本総研の西沢先生も、結局、非正規雇用を増やしてしまうんじゃないかということをおっしゃっておられるんですよね。そういうことをおっしゃっておられました。
 それで、加藤大臣に言いたいのは、ということは、加藤大臣は否定されたけれども、その否定は間違っているんですよ。賃上げを抑制する効果はあります。非正規雇用を増やす効果があります。
 そもそも、少子化が進んでいるのは、非正規雇用が多くて賃金が上がらなかったからじゃないですか。ということは、賃金を上げるのにブレーキがかかって非正規雇用を促進するんだったら、少子化を加速化させる面も、この支援金、あるんじゃないですか。いかがですか。
加藤 お答えを申し上げます。
 支援金制度は、歳出改革によって軽減効果を生じさせて、その範囲内で構築をするというこの考え方は、非正規雇用者の方にも当てはまります。
 まずは、非正規雇用者の方を含めた構造的な賃上げを実現することが重要でありますので、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の実現などに関係省庁と連携をして取り組んでまいります。


参考資料等

若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けない

○ また、雇用形態別に有配偶率を見ると、男性の正規職員・従業員の場合の有配偶率は25~29歳で27.4%、30~34歳で56.2%であるのに対し、非正規の職員・従業員の場合はそれぞれ9.6%、20.0%となっており、さらに、非正規のうちパート・アルバイトでは、それぞれ6.2%、13.0%にまで低下するなど、雇用形態の違いによる有配偶率の差が大きいことが分かる。また、年収別に見ると、いずれの年齢層でも一定水準までは年収が高い人ほど配偶者のいる割合が高い傾向にある。

「こども未来戦略」~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~ より


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井川夕慈
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