見出し画像

「うたそら」第18号「冬、賀茂川にて」

あかぎれにニベアの青缶ぬりながらあるべき世界の夢をみていた

練乳をチューブから吸い怒ってるわけを言わない君のくちびる

もうきみが残していったセーターの柄のトナカイみな死にました

家庭科で習ったカレーをつくってた 母の帰りが早まる気がして

見る前に跳べ、と留学したけれど今は家から一歩もでない

雪の日にお湯に浸かったカピバラも日本情緒のひとつと思う

泣きながら蟹とたわむれ啄木はそのあと蟹を食べただろうか

あみ棚におにぎりひとつ置いてあり爆弾をみるように見ていた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?