鹿ヶ谷街庵

鹿ヶ谷街庵(ししがたにがいあん)という名で短歌を作っています。電子書籍の短歌集『いかさ…

鹿ヶ谷街庵

鹿ヶ谷街庵(ししがたにがいあん)という名で短歌を作っています。電子書籍の短歌集『いかさまばくち』あり〼。

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第五十六回短歌研究新人賞最終選考通過作『冬、サイレント・クライ』

数年前、短歌研究新人賞の最終選考通過した連作です。今、読み返すと直したいところがたくさんあります。お読みいただけるとうれしいです。 追記、第五十六回でした。2013年です。 選考委員は、栗木京子/米川千嘉子/加藤治郎/穂村弘の四氏でした。 木製の列車に乗っているようだ からだをきつくしばられたまま 頭髪のすべてが白い人たちがやまいのことを長くながくはなす ほほえみが医師の仕事のほとんどで、プラタナスの葉こんなにもおおきい ニトロペン、医師携帯の数列をしずかに渡すふくよ

    • NHK短歌に入選しました。

      先月10/27のテレビ『NHK短歌』でわたしの短歌を入選作として紹介していただきました!選者は枡野浩一さんで、テーマは「いただきます/ごちそうさま」でした。 「ごちそうさま」なんて言わない家だった母が怒りを吐きだすまでは という短歌です。番組では入選9首が紹介され、そこからさらに、一席から三席までが選ばれます。そこには残念ながら入れませんでしたが、うれしかったです。 この番組は一年ごとに選者(4名)が変わります。わたしは、去年の選者が岡野大嗣さんだったことから興味を持ち

      • 『NHK短歌』11月号の結果です。

        選者 川野里子× 俵万智× 大森静佳× 枡野浩一◯ テーマ「だいすき/だいきらい」 帰れない旅の途中にいる僕の夢にでてくるかき氷(大) なんとか一首掲載でした。

        • 家族の歌 NHK短歌10月号

          俵万智選テーマ「色」佳作 風呂場から聴こえる音色は拓郎で今夜の父は不機嫌じゃない 今月は俵さんに一首採っていただき、全没を免れました。 川野さんと大森さんには今季一度も採っていただけていません。短歌って難しいですね。 吉田拓郎さんは浜田省吾さんの広島の先輩。『愛奴』というバンドのドラマーとしてデビューした浜田さんは拓郎さんのツアーのバックバンドをしたこともあります。 旅行より修行に近い年ごろの次女のリュックがとりわけ重い 「ただいま」を言わなくなった息子らも好きな

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        第五十六回短歌研究新人賞最終選考通過作『冬、サイレント・クライ』

          2024.8 自選短歌

          母がまだ命の器であった頃きっとわたしは光であった しゅうまいのグリンピースが弾かれるかつての僕がされてたように ライオンは火の輪くぐりを終えたあとネコ科の顔にしずかに戻る 仲なおりするしかないね 山ほどの花火を抱えてきみが来るから 国道をひとりで走る裕福な暮らしと遠い肉をゆらして

          2024.8 自選短歌

          岡野大嗣さん、おひさしぶりです。ふたたび『スタンド・バイ・ミー』短歌

          2024/08/30発売の関西の雑誌『Meets Regional』10月号の『レッツ短歌!』に短歌が掲載されました。今年初でした。お題は『国道』。選者の岡野大嗣さん、ありがとうございます! 国道をひとりで走る裕福な暮らしと遠い肉をゆらして 岡野さんの評は、 実は、わたしには以前にも『スタンド・バイ・ミー』みたいだ、と評された短歌があります。 2013.6.1発行の『恋と童貞』というミニコミ誌の短歌コンテスト「ドーテイパンツ短歌の世界」(木下龍也さんや山本左足さん、Ph

          岡野大嗣さん、おひさしぶりです。ふたたび『スタンド・バイ・ミー』短歌

          お久しぶりです、枡野さん。NHK短歌9月号

          NHK短歌テキスト9月号に2首掲載していただきました。 俵万智選 テーマ「旅」佳作 旅行より修行に近い年ごろの次女のリュックがとりわけ重い 俵さんは二ヶ月連続。ありがとうございます。 枡野浩一選 テーマ「おかえり/ただいま」佳作 「ただいま」を言わなくなった息子らも好きなおかずは教えてくれる 枡野さんは先月のボツからの復活。ありがとうございます。 この短歌にはXで椎名純平さんよりいいねをいただきました! 大森さんは今年度、一度も掲載なし。川野さんもなし。 な

          お久しぶりです、枡野さん。NHK短歌9月号

          七月自選短歌➕α

          この恋の終わりのように落ちていく線香花火は真夏の雫 初夏の夜に星を背負って飛ぶ虫を蛍というとジョンに話した 100円の水嶋ヒロの本を買うブックオフとはあかるい墓場 世界からあなたを引いた空白を見つめて僕は生きていきます 猫の鳴き声を冷凍しておいて泣きたい夜に茹でて吸いたい 退職のあいさつのあと夕暮れがさざなみのごとなずきを洗う ぼくの吐くゲロとあなたの吐くゲロがハートのかたちに重なっていく 賭け事はしない約束だったのにこれから君にプロポーズする ➕α 神様が

          七月自選短歌➕α

          俵万智さん、お久しぶりです。NHK短歌テキスト2024.8月号

          NHK短歌テキスト2024.8月号 俵万智・選 テーマ「嫉妬」 日曜の長寿番組終わらない父の目はもう開かないのに 今月は一首だけ採っていただけました。 俵万智さんには短歌を始めた頃に読売歌壇で、 靴底の桜のはなを払うときわたしの春が終わったと知る という歌を採っていただいて以来のコンタクトでした。15年ほど前。長い月日がたったものです。

          俵万智さん、お久しぶりです。NHK短歌テキスト2024.8月号

          2024年自分が選ぶ今年上半期の短歌4首

          どんどんと抽象画めく日々のなか君のくちびるだけがリアルだ ファミコンのソフトに残る噛み跡がわが家の犬の遺品になった スーパーに寄る同僚はコンビニでコーヒーをすする僕にはまぶしい がんばってあなたの旅は長いから僕が見えなくなっても行って 一首目は日経歌壇、穂村弘選 二首目は「うたの日」より 三首目はNHK短歌、岡野大嗣選 四首目はNHK短歌、枡野浩一選

          2024年自分が選ぶ今年上半期の短歌4首

          2024 NHK短歌テキスト・7月号

          がんばってあなたの旅は長いから僕が見えなくなっても行って 枡野浩一 ・選 テーマ「がんばって/だいじょうぶ」佳作 なんとか全ボツをまぬがれました。 今年のNHK短歌はきびしそうです。

          2024 NHK短歌テキスト・7月号

          スリー・タワーズ

          詰んでると思った夜にFANZAから黒ギャル動画のセールのメール 中国の故事は本当 男とは「歯・目・マラ」と衰えてゆく者 いつかくるその日のために初夏の夜一番小さな避妊具を買う 三本の塔の歌です。

          スリー・タワーズ

          NHK短歌テキスト2024.6月

          あいさつをいつも忘れる新人のういういしさにいいねをつける 枡野浩一さんの選でなんとか一首載りました。 「来月も載りますように」短冊に書いておきたい気分の5月

          NHK短歌テキスト2024.6月

          うたの日の薔薇41〜50まで

          あたたかいミルクセーキは胃に落ちて月の匂いを伝えてくれる 鼻糞を指ではじいてゴミ箱へ I love me とつぶやきながら 食べちゃったプリンのかわりにマカロンを司法取引みたいに渡す フカヒレを食べた呪いのせいなのか海馬に鮫が群がってくる 愛だった キャラメルコーンを真夜中に買いに走った頃のすべてが ていねいに海老の背わたを取るように黒い歴史を消した履歴書 逆むけを何度もさわるようにしてひとを愛してしまってばかり 草原でクローバー摘むおさな子を帆船にする一陣の風

          うたの日の薔薇41〜50まで

          NHK短歌テキスト5月号

          吉川宏志選、テーマ『組織』 命とは手漉き和紙より軽いもの労働組合なきわが社では 岡野大嗣選、テーマ『続く』 休職をするほど病んでいる僕を回復させる母の肉じゃが 一年間NHK短歌に投稿してみました。四人の選者、(川野里子、山崎聡子、吉川宏志、岡野大嗣、敬称略)にすべて選ばれた月もありましたが、全没の月も一度ありました。入選なし、佳作秀歌一回、佳作多数でした。 今年で投稿はやめようと思っていましたが、新たな選者に短歌界のキング(*私の主観です)である枡野浩一さんが就任さ

          NHK短歌テキスト5月号

          三月自選短歌

          閏日に生まれた人が聴いている冬と春とがすれちがう音 AIにあだち充の絵をみせて見分けられたら人類の負け 不同意で抱きあいながら不同意であなたの耳に愛をささやく 男梅みたいな顔のおじさんが錬金術を語る立ち飲み 家猫はただただ眠る春の日の性の目覚めを知らないままに 生きたさと生きたくなさをつめこんだリュックを背負い吊り橋をゆく 逆むけを何度もさわるようにしてひとを愛してしまってばかり ふしだらな男でしょうかゆっくりとアイスのふたを舐めるわたしは

          三月自選短歌