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"世界一明るい視覚障がい者"成澤俊輔の話を聞いて
概要
働く障がい者向けキャリアスクール D-Biz College でご一緒している
世界一明るい視覚障がい者 成澤俊輔さんに同行し、とある企業様のDEI研修の場にお伺いしました。
リスナーは約170名
質疑応答10分の予定が次々に手が挙がり15分延長、最後は別途回答しますという形で終了した講演は、同行した僕にとっても学びの多い時間となりました。
気がつけばメモは4ページに。
講演は成澤さんのコンテンツなので遠慮しつつも、「俺フリー素材だから全然書いちゃって!」と言っていただいたので、一部気づきをレポートします。
"世界一明るい視覚障がい者"成澤俊輔とは?
成澤俊輔さん
D-Biz Collegeパートナー
1985年佐賀県生まれ。
3歳の時に、徐々に視力を失う網膜色素変性症と診断。経営コンサルティング会社での勤務を経験。2011年より就労困難者の就労支援を行うNPO法人FDA事務局長、理事長を歴任。20年に事業承継し、現在は経営コンサルタントとして約70社の経営者の伴走を行う。キャッチコピーは「世界一明るい視覚障がい者」
説明よりも動画を見ていただくのが早いかと思います。
成澤さんの言葉はパワーがあって、深くて、重たくて、軽やかで、ユーモアがあって、お茶目で、優しい。
成澤さんにしか届けられないものがあると思います。
百聞は一見にしかず。とにかく動画を見てみてください。
学びのシェア
今回のお話の学びを一部抜粋して記載します。
"アンコンシャスバイアス"に気づく
私たちは無意識のうちに世の中のことも自分のことも、思い込みによって解釈しています。
"目が見えていないのに金髪やカラフルな洋服、派手な靴って意味あるの?"
成澤さんはよく聞かれるそうです。
確かにそう思っちゃう部分ありますよね。
成澤さんからすると、
"相手が説明してくれるのが楽しい"
自分が見えない分、相手の言葉を通じて自分の身なりについての表現を受け取ることができます。それが楽しい。
"積極的受け身"
成澤さんは相手に会った時に"髪型素敵ですね""お洋服素敵ですね"とコミュニケーションを切り出すネタを視覚的に認識できません。
成澤さんが金髪やカラフルな洋服でいることで、相手から最初の会話のきっかけがスタートします。
"成澤さんの靴は誰かに探してもらうもの"
視覚障がいがある成澤さんの靴は、成澤さん自身より誰かに探してもらう機会が多いそうです。その時に「一番派手なやつです!笑」とお伝えしてすぐ分かる靴だと探してくれる方にお手間をかけなくて済む。
目が見えていない成澤さんにとって金髪やカラフルな洋服にはそうした方がいい、意味があるのです。これらを僕達は知らない。
"金髪や派手な服、靴は視覚的に楽しむためのもの"と無意識に思ってしまっているということですね。
そしてそのアンコンシャスバイアスには普段全く気づかない。
"時間と余白"
成澤さんは
障がい者を"良さが分かるのに時間がかかる人"と表現します。
私達は資本主義社会の中で、"分かりやすい効率的な特徴"を"良さ"として認識されがちな環境にいるといえます。
ex) 〇〇のスキルがある、コミュニケーションが上手、多くの人と同じように一定レベルでいろんなことができ、会社内の既存の仕事でそれなりのパフォーマンスが出せる など
しかし、障がいを持った方でそうはいかない方は多くいらっしゃいます。
でも分かりやすい特徴だけが良さでしょうか?
成澤さんは多くの当事者の方と一緒に様々なことに取り組まれる中で、障がい者の良さを理解するには"ゆったりとした時間が必要"といいます。
障がいを持った方に限らず、時間と余白を持つことでその人の本当の良さに気づく経験ってあるのではないでしょうか?
"ゆるい多くの繋がりが大切"
自殺の少ない街は立ち話が多いそうです。
依存先が多いと精神が安定する。
1人の親友に依存するより、10人の知り合いと挨拶を交わせることが精神を安定させる。
"ゴキゲンな人は分散を大切にしている"とのことです。
"勉強で得られることは答えではなく問いである。"
私達は幼い頃から答えのようなものを求めることに慣れすぎて、問いを立てることをしない日々を送ってしまっているのではないでしょうか?
勉強をすると問いを立てることができる。自分の生き方や良さに答えはないですよね。答えのない問いを立て、結論を出さないまま思考し続けることは新たな気づきをたくさんくれます。その中で"とりあえずやってみる"ができると経験や情報が増え、自分のやりたいことや良さに出会える可能性が高まります。
今日もこのノートで皆さんに問いが立つといいなと思います。
"得意より好き"
「よし、集中してこれを今からやろう。」と意気込んでやることは、実は"得意"であることが多い。
"好き"なことは夢中になること。睡眠時間を削ってやれること。
"好き"は強い。失敗してもやり続けたい。もっと上手くなりたい。
"強みより弱み"
弱みを分かりあう、嫌が分かりあうと安全な関係が生まれる。安全な関係において、人はお互いを応援しあう。
"人は強みで求められ、弱みで愛される"
非連続的な捉え直しが起こると場合によっては"弱みを資産"として捉えられる
こういった要素がある環境での思考と行動を習慣化していくと、初めは想像もできなかった"心からやりたいゴール"に出会えることがあります。
弱みを開示したゆるい繋がりの中にいると、"気づけば仲間を応援し、応援され始めます"。
ゴールと自己有用感を持ち、未知だった経験と情報が増えると"非連続的な捉え直し"が起こります。
場合によっては"障がいを資産"として捉えられることもあります。
実際に成澤さんは、"今治療によって目が見えるようになるとしてもこのままがいい"といいます。
今日の学びをもとにD-Biz Collegeを表現する
D-Biz Collegeのコンセプトは
"働ければいい"のその先へ
今より"ちょっと"ポジティブに
一方、受講生となる方のスタート時の状況は
▲目指す理想への1歩目が踏み出せなかったり
▲自己肯定感が低くて自分の可能性を信じることができなかったり
▲そもそも目指す理想が持てなかったり
▲未来だけでなく、過去も現在も肯定できなかったり
▲失敗にひどく落ち込んでしまったり
そんな働く障がい当事者の皆さんが変容するためのD-Biz Collegeの仕組みを、今日の講演の学びで表現します。
①自分と世の中に対する"アンコンシャスバイアス"に気付く
認知科学コーチング理論によるアプローチ・活躍当事者との出会い
↓
②"時間と余白・ゆるい多くの繋がり・問い"によって自分や世の中を"捉え直す"
月2回のクラスセッション・個別コーチングセッション・セルフコーチング
↓
③"心からやりたいゴール"ができる・"弱みを開示した応援し合える仲間"ができる・非連続的な捉え直しが起こる・場合によっては"障がいを資産"として捉えられる
D-Biz Collegeへの継続的な参加
利他的なWant toゴールとの出会い・"まずはやってみる"具体的行動と継続的な習慣づくり・仲間との臨場感空間の共有と代理体験
↓
結果:心のポジティブ度が高まる・人生や仕事が充実する
これらのプロセスを経て、結果として人生や仕事が充実するということにつながります。
捉え方が変わると自分と世界の見え方が変わります。
内発的動機で取り組めるものができた時、人は想像以上のエネルギーを発揮するなと受講生の皆さんにいつも驚きを貰います。
成澤さんの話を聞いて、まさにD-Biz Collegeはこれを提供しているサービスなんだと感じ、確信を深めました。
終わりに
ここに書いた内容は今回のメモの面積でいうと4分の1にも満たない内容です。
とにかく問いの連続で思考がめぐり頭がフル回転する。そんな時間でした。
僕達は日々生産的効率的なことが求められる世の中で、こういったことを考えたり、問いに対してすぐに答えを出さずに思考したり、そもそも落ち着いて考える時間を取ることすらしなくなってしまっているのではないかと思います。
考える。時間と余白。ゆるいつながり。自分と他人の弱みを理解する。
そんなことを大切にしたいと思いました。
D-Biz College受講生&個人・法人サポーター募集中
"働ければいい"のその先へ
障がい当事者向けキャリアスクールD-Biz Collegeでは受講生を募集中です。
加えて、企業様の社内での障がい就労者活躍支援やCSR活動、DEI研修としてのご要望の声をいただきはじめまして、企業様向けのご提案も用意いたしております。
詳しくはHPをご覧ください。