【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第9話
こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
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第9話 文化は違っても!移住者は大歓迎。
私の朝の日課。
5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。
まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。
相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。
本日の相談
旅の途中?
これは観光協会の仕事ではないだろうか?
しかし、観光協会では町の案内をしていない。
一方で、私は市の助成事業を受けて、移住希望者に町の案内ツアーを実施している。
恐らく、この外国人は「町の案内ツアー」が目に留まったのだろう。
しかし、移住希望者で無いのならば、私の出番でもないのだが・・・
もちろん、市の助成事業の町の案内ツアーを実施することもできないところだが。
色々と思案をした結果、「折角、メッセージをいただいたのだから断るのも失礼である」と思い、私は市の助成事業ではなく、個人として彼を案内することにした。
アメリカから、わざわざこの小さな町に辿り着くのだから・・・
すぐに、ケラーから返信が来た。
その翌日、お昼になると、私は待ち合わせの道の駅○○に向かった。
駐車場に車を止めると、バックパッカー姿の外人を探してみたが、それらしい人物は見当たらない。
施設の中にもいない。
仕方なく、車の中で待つこととした。
1時間、電話をするも不通。
2時間が経ち、待ちぼうけの私は一旦事務所に戻った。
それから3時間ほどが経過し、夕方の18時前に道の駅の事務所から連絡が入った。
「外人が私を訪ねてきている」とのこと。
慌てて道の駅に向かうが、辺りは薄暗くなり始めている。
「ヒッチハイクで車がつかまりませんでした」と、言葉が返ってくるのかと思えば、予想外の返答に少し驚いた。
「しかし、これも文化の違いだから理解をしなくてはならない」と、怒る気持ちを抑えた。
翌朝、ケリーは10時に現れた。
1時間の遅刻である。
これも文化の違いと、私は自分に言い聞かせた。
その後、午前中を使って町を案内し、道の駅に戻ると、私は彼と別れた。
何となく、ケリーに振り回された2日間であったが、取り合えず、彼は次の町へと去っていった。
そして、彼の旅の安全を願いつつ、「もう彼と会うこともないのだろう」と思った。
しかし、それから1ヶ月後に、突然ケリーからメールが来た。
私は日本の彼女と結婚をすることになった。
私は彼女とあなたの町に住みたいと思う。
明日会いに行きたいが、あなたは大丈夫ですか。
驚きの急展開とはこのことである。
やがて、彼女を連れたケリーが、今度は小さな車を運転してやってきた。
平屋の一戸建ての空き家を紹介し、ケリーと彼女はこの町の住民となった。
そして、ひときわ身体の大きい彼は、いまでは町の人気者となっている。
高齢化が進む町内で、彼は積極的に町のお年寄りを助けている。
子どもたちにはボランティアで英語を教えたりも始めた。
一期一会
ケリーと彼女がいつでも幸せに暮らせますように祈って・・・
(終わり)
移住専門FP「移住プランナー」として活動をしています。これまで18年間2500組以上の移住相談に対応をしてきました。ここでは、私の経験からお役に立てる情報を日常的に綴っていきます。「移住」という夢の実現にお役に立てればうれしいです。大阪出身、北海道と鹿児島の3拠点生活中。