【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第16話
こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
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第16話 「ポッツンと一軒家」は大人気!
私の朝の日課。
5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。
まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。
相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。
本日の相談
何と簡単なメールだろうか。
しかし、TVの影響だろうか、「ポツンと一軒家」の問い合わせは多い。
偏に、「ポツンと一軒家」と言っても幅が大きい。
以前にも、山の中の「ポツンと一軒家」と言ってご案内をしたら、「想像していたものと違うと」いって、お叱りを受けたこともあった。
田舎に移り住んで、古民家を改装したり、自給自足をして暮らす若者が良くTV番組で紹介される。
私は「きっとTVの影響を受けている」と思った。
この場合、とてもリスクが高い。
TVの事例はほんの一例である。
成功をする人も、ほんの一例であるだろう。
どちらにしても、生きていく為の知識や技術、何よりも逞しさが求められる。
私はメールを返して、彼の様子を伺った。
大丈夫ですよ。
初期投資が抑えられればいいです。
すぐ見に行きます。
相変わらず、若者らしい軽いタッチの文章である。
テント生活。
恐らく、「家の修繕はYouTubeを見ながら行う」と答えるのだろう。
私は若者の逞しさに、羨ましい気持でもあった。
その後、彼は紹介した家を確認すると、即決する。
そして、メールで話していた通り、家の敷地にテントを張って、作業を始めたようである。
瞬く間に、小さな集落内でも噂になり、周囲の力を借りながら、作業は進んでいるようであった。
あれから1年。
地域のバザーで、農産物を出店する彼の姿を目にするようになった。
もちろん、奥様と小さな子供も一緒である。
一期一会
彼の子供がこの町で大きく、そして逞しく成長することを祈って・・・
(終わり)