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【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第16話

こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
気に入った方は、フォローをしていただけると嬉しいです。


第16話 「ポッツンと一軒家」は大人気!


私の朝の日課。

5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。

まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。

相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。

本日の相談

田淵と言います。
ポツンと一軒家はありますか。
0円物件はありますか。

何と簡単なメールだろうか。
しかし、TVの影響だろうか、「ポツンと一軒家」の問い合わせは多い。
偏に、「ポツンと一軒家」と言っても幅が大きい。
以前にも、山の中の「ポツンと一軒家」と言ってご案内をしたら、「想像していたものと違うと」いって、お叱りを受けたこともあった。

田淵さん。
メールありがとうございます。
「ポツンと一軒家」といっても、どのような物件をお探しですか?
宜しければ、現住所、年齢、家族構成、こちらで行いたいこと等も教えていただけますでしょうか。

東京に住んでいます。年齢は29歳。妻と1歳の子供がいます。
周辺に何もなく、畑地がついているものをお願いします。
お金がありません。できるだけ安い物件をお願いします。
自給自足が目的です。

田舎に移り住んで、古民家を改装したり、自給自足をして暮らす若者が良くTV番組で紹介される。
私は「きっとTVの影響を受けている」と思った。
この場合、とてもリスクが高い。

TVの事例はほんの一例である。
成功をする人も、ほんの一例であるだろう。
どちらにしても、生きていく為の知識や技術、何よりも逞しさが求められる。

田淵さん。
300坪の畑地の付いた10万円の物件があります。
但し、すぐには住めません。相当の手直しが必要となります。
手直しには相当の費用も考えなくてはいけませんが、一度見に来られますか?

私はメールを返して、彼の様子を伺った。

大丈夫ですよ。
初期投資が抑えられればいいです。
すぐ見に行きます。

相変わらず、若者らしい軽いタッチの文章である。

田淵さん
家の修繕はどうしますか。
農業の経験はありますか。

家は自分で直します。
その間、庭にテントを張って暮らします。
住めるようになったら、妻を呼ぶ予定です。
農業の経験はありません。

テント生活。
恐らく、「家の修繕はYouTubeを見ながら行う」と答えるのだろう。

私は若者の逞しさに、羨ましい気持でもあった。

その後、彼は紹介した家を確認すると、即決する。
そして、メールで話していた通り、家の敷地にテントを張って、作業を始めたようである。

瞬く間に、小さな集落内でも噂になり、周囲の力を借りながら、作業は進んでいるようであった。

あれから1年。

地域のバザーで、農産物を出店する彼の姿を目にするようになった。
もちろん、奥様と小さな子供も一緒である。



一期一会

彼の子供がこの町で大きく、そして逞しく成長することを祈って・・・

(終わり)


#創作大賞2024 #お仕事小説部門


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移住プランナー| 田舎暮らし|プロ|
移住専門FP「移住プランナー」として活動をしています。これまで18年間2500組以上の移住相談に対応をしてきました。ここでは、私の経験からお役に立てる情報を日常的に綴っていきます。「移住」という夢の実現にお役に立てればうれしいです。大阪出身、北海道と鹿児島の3拠点生活中。