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高架線の詩

家の前で二本の線路が交わっている
それぞれに
赤い電車と緑の電車とが
流れるようにして滑り込んできて
小さな駅に停まり
人を下ろし、また人を乗せて
走り去っていく

朝 いろんな人がどこかへ
向かうことで安心するのか
多くの人が電車に乗って
何かを探しているようにして
どこかへ
走り去る
誰もかれもが眠たそうな顔をして

昼はがらがら
ほとんどが何かしらの
柔らかい刺激を求めている
年を取った、だけの人々
朝よりもいくらか穏やかに
走り去ってしまう

夜 夕闇が迫るころ
学生たちが乗っている
スーツを着た男たちが乗っている
電車の中が蛍光灯で無機質に照らされて
中がはっきりとわかる
その男の表情までも
彼の皺の影がどう生まれるのかも

皆、一様に楽しげではなく
かといって
退屈そうにも見えず
満足しているのか していないのか
よくわからないままに
それでも 何かを
求め続ける
高架線の上