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ホテルno.1

ホテルの一室には単なるデスクが置かれていてそこへ花が生けられている

石鹸の匂いが充満している

白いシーツが間延びし、退屈なホテルを映し出している

そこに流れ込む一人の女がいて

それはまるで流砂に飲まれる丸石のようで

ずっとなまめかしく

ずっと無機質な 寝姿

ラジオから鳴る声は部屋の壁中を響かせ、女はそれを聴いているのか   聴いていないのか、どちらでもいいけど

そのまま生温かく、間延びした、退屈なままで、女の脚の指先の爪から  生えだす 一輪の花 

真っ白で花弁の無い花