資源ごみ用30ℓ袋
高校の修学旅行でクラスメイトをいろんな項目、例えば無人島でも生きてけそうな人みたいなランキング付けが発表される会で、私は!なんと!「美しい人」ランキング1位でした!はは!ははは!ははははははははははは!この世でいっっっちばん最低なランキングで最高ランクを見事獲られたわたしはそりゃもう嬉しかったですよ〜だって統計学上私は美しいんですからね。ありがとうお父さんの遺伝子。ありがとうお母さんの遺伝子。目と鼻と口の形と大きさと配置をこれに決定してくれたお陰で、わたしは最強の名誉をいただけました。でもおかしいな、頭のネジは足りないみたいだよ、2000本くらい。
いちごとバナナとみかんとパイナップルがカオスにならずお互いがお互いに空気を読んで的確に鎮座した最高なパフェ。生クリームの上にはこの世のかわいい色だけ集めたチョコスプレー。どこからたべようかなあとひとくちめスプーンを入れようとしたら食品サンプルだった。落胆。でもそれにはそれの需要があって、自分とはかけ離れた異素材に例えられ似ていると評価され続ける役割がある。わたしは食品サンプル。わたしは張りぼて。でもその評価すっごく嬉しかった。わたしは1番がだいすきな女の子で、もちろん1番は誰だって好きだけどわたしが1番すきで1番に固執し続けた。親に陰湿に陰湿に否定され洗脳され続けた育成環境でできあがったわたしは、自分の人間としての尊厳を知らなかった。だからその”1番”がすべてで、その"1番"のために生きていた。どんなに酷いものでも生き甲斐があれば人は生きていける。わたしの中学時代の成績はいつだって学年1位で、たまーに1位じゃない時は死ぬほど悔しかった。それが全てだったから。県内偏差値1位の公立高校に入ってからは頑張っても平均点くらいしかとれなくて、平均点を取るために努力し続けられる熱情なんてもちろんわたしにはなくて死にたかった。もし同じ偏差値の私立だったらまた違ったかもしれない。同級生は特別裕福でもない家庭から這い上がってきた泥臭さみたいなものが隠し切れてなくて、教室に放たれるそのギラギラした野心に、私は正気を吸い取られ続けた。同じ四角い木の板の上の人間たちはみな、あのテストは平均何点で何点が取れたか、あの何番の問題はいったいどうやって解くのか、この問題集は何ページまで進められたのかを永遠に話続けた。その中で木の机と椅子に支えられた死体は、より純度の高い死体になった。前髪が乱れていないかどうか確認し続ける死体。毎日誰かに「かわいい」と言われる死体。かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、死体になってもかわいいって言われたいよね。言われたい?
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