孫文と玄洋社~辛亥革命への道㉚
武昌での革命派の挙兵成功により、中国大陸の南部は清朝から独立を果たした。
そして、選挙により孫文が臨時大統領に選ばれる。
しかし、袁世凱が率いる北洋軍は健在であり、強力だった。勢いは革命派があるものの戦線は膠着した。
だが突如として北洋軍の攻撃が止むと、袁世凱が革命党へ接触を求めてきた。
これには汪兆銘の働きがあった。
彼は出獄後、袁世凱の腹心や息子と接触しており、袁世凱の力で清朝を終わらせるという奇策を思いついていた。
袁世凱を大統領にするという約束で、その力で清朝の皇帝を退位させようとしたのだ。
袁世凱はその計画に乗った。
清朝最大の軍が革命派へ寝返ったのだ。
こうして宣統帝は退位し、清王朝は終わりをつげた。
筑前玄洋社の頭山満は、辛亥革命が成功すると、すぐに中国に渡った。
臨時大統領になった孫文の周囲には大陸の利権に群がろうとする大陸浪人と呼ばれる日本人が大勢いた。
玄洋社は何億という資金を孫文を援助していたが、利権を求めることはなかった。
頭山満は孫文に群がる大陸浪人を牽制するために足を運んだという。そこには、当時新聞記者であった後の政治家、中野正剛もいたらしい。
臨時大統領となった孫文が再び来日した時、日本政府は国を挙げてパレードまで行い盛大に彼を迎えた。以前とは掌を返したような歓迎ぶりだったという。
そんな孫文が玄洋社へ訪れると、座布団もなく出されたのは粗茶だけだった。
今までと全く変わらない応対に孫文は感激したと言われている。
末永節などは、大統領となった孫文を前に鴨居にぶらさがって「モンキープレジデント」などと言ってはしゃぎ、それを見て孫文は「バカ、バカ」と笑っていたそうだ。
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