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ダニング・クルーガー効果

ダニング・クルーガー効果とは、「ちょっとだけ知っていること」に対して無意識に過剰な自信を持ってしまう心理効果です。

ダニング・クルーガー効果

物事の理解度と自信の関係は、ダニング・クルーガー効果に従います。

  1. 馬鹿の山:馬鹿の一つ覚えで、得意げに話すようになるのですが、わかる人から見るといろいろ間違っています。しかもそれに気づいていません。

  2. 絶望の谷:知識がついてくると、実は奥が深いことが分かります。自分の無知・無力に気づいて、絶望します。また、習得するには大変な努力が必要であることも認識します。

  3. 啓蒙の坂:理解がどんどん進み、実力がついてきます。それに従って、再び自信が上がっていきます。

  4. 継続の大地:十分に実力がついて、自信を取り戻すのですが、なぜか「馬鹿の山」ほどの自信はありません。

これは、理解度だけでなく、楽器演奏などの習得度にも言えることです。

ダニング・クルーガー効果に似た「ハイプ・サイクル」

ハイプ・サイクルは、新しい技術に対する民衆の期待がどのように変化するかを法則化したものです。

ハイプ・サイクル

ハイプ・サイクルは、ダニング・クルーガー効果の集団心理バージョンと言えます。

  1. 黎明期:新しい技術の名前がバズワードで広がり始め、みんなが興味を持ち始めます。

  2. 過度な期待のピーク期:新しい技術が、あたかも万能かのように宣伝され、もてはやされます。

  3. 幻滅期:技術の性能が低いなど、難があることが分かり、幻滅します。

  4. 啓発期:技術が普及する土台が整ってきて、普及が始まり、みんなが求めるようになります。

  5. 生産の安定期:大量生産が進み、価格が安くなり、広く普及するようになります。このころには新しい技術でもなんでもなく、ただの当たり前になります。

ダニング・クルーガー効果は、どんな時に起きて、どんな問題を及ぼすか

ダニング・クルーガー効果は、「ちょっとだけ知ってること」全般に起き得ます。これは膨大にありますが、たいていの場合は害を及ぼしません。

  • プログラマーを目指していない人が趣味のプログラミングで過剰な自信をつけても、別に問題は起きません。

  • タレントを目指していない人が、クイズ番組を見て「自分だったら正解できるのに」と思っても、別に問題は起きません。

一方で、実際に「ちょっとだけ知っていること」で実際に行動に出てしまったときに、害が出る恐れがあります。

  • 無謀な挑戦:DIYで「壁に穴をあけるだけだから」と思って実際にやってみたら配線を傷つけてしまった。

  • 未経験者のアドバイス:病気や障害で悩んでいる人に対して、未経験者なのにアドバイスを、しかも精神論を言ってしまった。

ダニング・クルーガー効果のメリット

ダニング・クルーガー効果により、大きなことに挑戦しやすくなります。無謀な挑戦をする人たちがたくさんいることによって、人類は環境変化などの危機をおそらく何度も乗り越えてきたと思われます。本人も人生が豊かになるので、ダニング・クルーガー効果はそんなに悪いことじゃないのかもしれません。

ダニング・クルーガー効果が起きやすい分野

ダニング・クルーガー効果が起きやすい分野があります。

  • プログラミング・IT:基礎は独学で学べますが、実用レベルに達するには仕様通りで高品質なプログラムを期日までに仕上げる必要があり、一気にハードルが上がります。

  • 語学・翻訳:基礎的な会話や単純な翻訳ができるようになると、言語の複雑さや文化的な理解の重要性を過小評価しがちです。

  • 投資・金融:株式投資などで初期に成功体験を得ると、市場の複雑性や専門知識の深さを理解せずに過信することがあります。

  • 芸術・クリエイティブ分野:基本的なツールの使い方を覚えただけで、デザインの原則や美的センスの重要性を見落としやすいです。

  • 経営、管理:大変さを知らずに「座ってるだけ」と思ったまま人生を終える人は多いでしょう。

未経験者によるアドバイスが起きやすい分野

未経験者によるアドバイスが起きやすい分野があります。

  • 健康・医療・栄養:「風邪には〇〇が効く」「ワクチンは危ない」「糖質制限が最強」など、個人的な経験やネットの情報を基に語る。

  • 教育・子育て:「叱らない育児がいい」「詰め込み教育はダメ」「子どもはこう育てるべき」など、自身の教育観だけで語りがち。

  •  ダイエット・トレーニング:「これを食べるだけで痩せる」「筋トレは毎日やるべき」「有酸素運動は無駄」など、極端な主張をしがち。

  • 精神論・モチベーション:「成功するにはポジティブ思考」「努力すれば何でもできる」「諦めたら試合終了」など、精神論に頼りがち。

  • 人間関係・恋愛・結婚:「恋愛はこうするべき」「夫婦円満の秘訣は〇〇」「男(女)とはこういう生き物」など、決めつけが多い。

  • 経済・投資・ビジネス:「この株を買えば儲かる」「副業で簡単に稼げる」「起業はリスクがない」など、実態を知らずに語りがち。

  • 心理学・メンタルヘルス:「鬱は気持ちの問題」「ポジティブになれば解決」「ストレスは自分次第」など、精神論に走りやすい。

  • 政治・社会問題:「税金は無駄」「政治家は全員悪い」「この制度が正しい(または間違い)」など、表面的な理解で語りがち。

  • 料理・食文化:「電子レンジは危険」「添加物は全部ダメ」「この料理の作り方が正解」など、偏った知識で語ることが多い。

  • テクノロジー・科学:「AIは人間を超える」「量子コンピュータで何でも解決」「フリーエネルギーは存在する」など、誤解や都市伝説を信じがち。

  • 芸術・創作活動:「絵は才能がすべて」「この音楽は本物、あれはダメ」「文学にはこういうテーマが必要」など、主観で決めつけることが多い。

  • スポーツ・競技:「才能があれば勝てる」「根性が足りない」「この戦術が最強」など、競技経験のない人ほど語りがち。

  • 宗教・哲学:「宗教は全部洗脳」「哲学なんて無意味」「スピリチュアルがすべてを解決する」など、極端な意見に走りがち。

  • 仕事・キャリア:「転職すれば解決」「この職業はオワコン」「仕事は楽しいべき」など、実態を知らずにアドバイスすることが多い。

  • ダニング・クルーガー効果:簡単には防げないにもかかわらず、アドバイスをしてしまう人がいます。

アドバイスというものは、相談者よりも十分に知識を持ったうえで、問題の原因をきちんと特定し、現在の現場が現実的に実行できる(三現主義)案を示さなければ、実行されないか、されたとしても逆効果でしょう。

ダニング・クルーガー効果による問題を防ぐには

無謀な挑戦はどんどんやりましょう。楽しいですよ。それが嫌な人は、問題が起きやすい分野を理解したうえで、新しいことには慎重になりましょう。

未経験者によるアドバイスは迷惑なので、問題が起きやすい分野を理解したうえで、よくわからない分野は「お口チャック」です。

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