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大学で1000冊の本を読む50の方法(9)

前回の話はこちら。


運動不足を感じた俺は、ランニングをはじめた。

いざ走り出してみると、どこまでも走れるような気がした。
5kmくらい走った。

走ったおかげで、前より体の調子が良くなった気がする。
しかし筋肉痛になった。
いきなり5kmは調子に乗りすぎたかもしれない。
近所をジョギングする程度にしておけばよかった。

「ランニングに関する本を読んでおけばよかったかな……」
俺は生活の全てに関して、読書に関連付けて考える癖がついていた。

  • 大学で1000冊の本を読む50の方法 その41:運動する


電車の中でスマホゲームをしている人がいる。
そんな人に対して俺は
「ゲームなんかしてないで、本でも読んで時間を有効活用すればいいのに」
とは思わない。

俺は電車の中で本を読むが、それは好きだから読んでいるだけで、
ゲームをしている人より読書している人の方が偉いなんて微塵も思わない。

俺はただ、ゲームを選択せず本を選択した。
ただそれだけなのだ。

俺が本を読んでいるのは、たまたまなのだ。
本を読める環境があって、本を読む動機があった。
だから本を読んでいる。
俺が電車の中で本を読む行為と、ゲームをする行為に大した違いはない。

  • 大学で1000冊の本を読む50の方法 その42:読書しない人を見下さない


本屋には毎日通っていたが、いつも同じコーナーばかり覗いていた。
今まで訪れることのなかったエリアに足を踏み入れてみる。

3メートル移動しただけで、俺の知らない世界が目の前に現れる。

20代くらいの女性をターゲットにしたファッション雑誌に手を伸ばした。
俺がこんな本を手にとって、不審者と思われないだろうか?
恐るおそる、ページをめくる。

派手さはないが、高級感のあるベージュのコートを着た
女性モデルが写っていた。
女性の右下に小さく印字されたコートの値段にギョッとする。

俺はオシャレにあまり関心がある方ではない。
そんな俺が女性ファッション雑誌を読んでいるという光景は
あまりにシュール過ぎる。
俺は雑誌をそっと棚に戻した。

趣味のエリアに移動し、茶道の本を手にとってみた。
俺はコーヒー派だ。お茶はあまり飲まない。
お茶の種類もよく分かっていない。
戦国武将が茶道を好んでいたというエピソードは興味深いと思った。
図書館で茶道の本を借りてみるのも面白いかもしれない。

  • 大学で1000冊の本を読む50の方法 その43:手当たり次第に読む


奨学金の返済に苦しむ社会人の方が上梓した本を読んだ。
いかに自分が恵まれているかということを思い知らされた。

俺は奨学金制度を受けておらず、親に学費を全額負担してもらっている。
しかし学生の中には、奨学金制度を利用している人もいる。

その額は様々だが、400万円以上になるケースもあるという。
社会に出ていきなり400万の借金を抱えた状態でスタートする。
その現実を知った俺は愕然とした。

「死にたくもないけど、生きたくもない」
そんなことを思っていた半年前の俺は本当に馬鹿だと思った。

今の日本が昔に比べて余裕がないことくらい、俺だって知っている。
でも、具体的なことを何も知らない。見ないふりをしていた。

貧困について、社会についてもう少し勉強してみようと思った。

  • 大学で1000冊の本を読む50の方法 その44:社会問題に目を向ける


俺は貧困問題について学びたいという気持ちが強くなっていた。

後期のゼミでお世話になった、社会学の教授にメールで相談して
みたところ、面談の時間をいただけることになった。

「大学では社会学の授業があるじゃないですか。
 俺は情報学部で専攻が違うんですが、
 希望したら社会学の授業を受講することは可能でしょうか?」

「他学部の学生でも、講義を受講することは可能だよ。
 ただ、その学部の学生が優先になるから、定員になったら無理だけど。
 あと単位を出すことはできないけどそれでも良ければってことになるね」

「いっそのこと、社会学部に転部してしまった方が良いんでしょうか?」

「はっきり言って社会学部は就職が厳しいよ。
 そりゃ東大生だったら文学部でも就職はいくらでもあるけど」

現実的な意見に自分の認識の甘さを思い知らされた。

「分かりました。ありがとうございます。」

とりあえず社会学部に転部するのはやめておくことにした。

  • 大学で1000冊の本を読む50の方法 その45:進路について悩む


続きはこちら。

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