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読書家の定義

「どれくらい本を読んだら読書家を名乗ってもいいのか?」
という議論は、会話のネタとしては面白いかもしれません。

しかし真面目に議論するとなると
「月に何冊以上読めば読書家と言えるのか」
「1冊の本を何度も繰り返し読む人もいる」
「漫画は読書に含めるのか」
「本を愛していたら冊数は関係なく読書家を名乗っていいはず」
みたいな感じで平行線になり、誰もが納得のいく結論というのは出ないでしょう。


読書家の「家」って何だろう?

「家」という漢字の意味について調べてみました。
https://www.kanjipedia.jp/kanji/0000675300

①すまい。人の住む建物。住居。「家屋」「家財」「家宅」
②血縁の集まり。一族。「家運」「家系」「良家」
③学問や技術の流派。また、専門にする人。「諸子百家」

①、②は置いておくとして、③の意味に注目します。

『それを専門とする人』
しかし「読書家」=「読書を専門とする人」と言われてもあまりピンときません。
「読書家」のように、三文字目に「家」がつく三文字の言葉を集めてみました。

読書家、努力家、愛妻家、愛煙家、愛犬家、勉強家、冒険家、政治家、
評論家、料理家、作曲家、発明家、思想家、経済家、宗教家、陶芸家、
専門家、書道家、資産家、漫画家

「政治家」とか「作曲家」とかは『それを専門とする人』ですね。

この中で「努力家」「愛妻家」「愛犬家」などは『それを専門とする人』というより、『単に好きな人』とか『積極的に関わる人』という意味で「家」という漢字が使われています。

つまり「読書家」も、「読書が好きな人」とか「読書を積極的にする人」というような、かなり大雑把な意味の言葉であると捉えるのがふさわしいでしょう。


読書家を自称するのはなぜ抵抗があるのか

読書家の定義はかなり大雑把であるということが分かりました。
ということは、本が好きだと思ったら誰でも読書家を名乗っていいということになります。
しかし自分で自分のことを「私は読書家です」と名乗るのは、何となくいけすかない奴と思われそうで、気恥ずかしいです。

「私は愛煙家です」とか「私は愛犬家です」と名乗ることに気恥ずかしさはありません。
「へ~そうなんだ、よっぽど好きなんだね」と思われるだけです。

「私は愛妻家です」というのも多少の照れくささはあるものの、「私は読書家です」のような自画自賛をしている感じはありません。

自称するのが何となくためらわれるという意味では「努力家」がかなり近い気がします。自分で自分のことを「私は努力家です」と言うのは胡散臭さが漂います。

「勉強家」もそうですね。「私は勉強家です」と自称する人に良い印象を抱くかというと微妙です。むしろ詐欺師っぽい感じすらします。

「私は読書家です」とか「勉強家です」と名乗るのに抵抗がある理由として、日本人の卑下する習慣が関係しているのかな?と最初は思いました。しかし、どうも違う気がしてきました。

日本人かどうかに関係なく、何の実績もない人が「私は努力家だ」と自分を褒め称えたとしても、鼻で笑われるであろうことは容易に想像できます。

だからといって仮に大谷選手が「僕は努力家だ」とスピーチするところを想像してみると、そりゃ大谷選手が努力しているのは当たり前すぎて誰もが認める事実でしょうが、あまりスマートな発言ではないように思われます。

努力、勉強、読書などはいずれも「やった方がいいに決まってる」「やって当たり前」みたいなところがあります。
人から「読書家だね」と評価されることはあっても、自分から「読書家です」とアピールするのが適切な場面というのは、ほとんどないと言ってよさそうです。


読書家アピールはバカっぽく見えるしウザイだけ

自分で読書家を自称するのは、はっきり言ってバカっぽいです。
じゃあ何でバカっぽく見えるのかというと、それは読書なんてして当たり前だからです。

月に何冊読んだっていいし、たった一冊の本を繰り返し読んだっていい。
どんな本の読み方をしてもいいのですが、本を読むこと自体はあまりにも当たり前のこと過ぎて、自慢になっていないのです。
だから一年間に一冊の本すら読もうとしないのは、バカっぽいのではなく本物のバカなんです。

本を読んでいることを隠す必要はありませんが、ことさらにアピールするのはウザがられます。
「私は読書家です」という表現は避け、「本が好きです」とか「読書が趣味です」くらいにとどめておいた方が無難です。

履歴書の自己PR欄に「読書家です。大学生活で2000冊の本を読破しました」とか書いても、ほとんどの面接官は気にも留めてくれません(経験談)。

また、どれだけたくさんの本を読んだかということを自慢するのも、ほどほどにしておいた方が良いです。
多くの人は驚いてくれるかもしれませんが、難しい本を読んでいる人からすれば、冊数を競っても何の意味もないということはバレています。


それでも読書について語りたい場合はどうすればいいか?

ウザがられると分かっていても、それでも読書について語りたい!
そんな欲求を抑えきれない人はどうすればいいのでしょうか。
静かにひっそりと、孤独に読書するしかないのでしょうか?

そんな疑問を抱いたあなたは既に立派な読書家であり、読書オタクです。

オススメは読書会に参加するか、ブログを始めることです。
読書会はオンラインにしてもオフラインにしても、ちょっと勇気がいるかもしれません。でも他人の考えを聞けるのは、読書会の醍醐味です。

ブログは人によってはX(旧Twitter)が良いという人もいるかもしれません。自分に合った情報発信サービスを探してみてください。

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