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【レポート】PARKS.TALK vol.1 「わたしたちが飯山に移住したワケ」

こんにちは! 飯山市で地域おこし協力隊として活動している、高梨葉月です。
2021年、東京から自然豊かな飯山市へ移住しました。
現在、飯山市役所の移住定住推進課に所属し、主に情報発信を担当しています。

9月17日(日)、毎月1回行われている『いいやま駅前マルシェPARKS.』にて、トークイベントが開催されました。

今回のトークテーマは「わたしたちが飯山に移住したワケ」
同じ移住者としても、気になる内容…… ということで私もお話を聞きに行ってきました!

この記事では、そのトークセッションの様子をレポートします。

◎PARKS.TALK vol.1「わたしたちが飯山に移住したワケ」
【スピーカー】※敬称略
● 佐川 芳江
留学・就職でイギリス、シンガポールで暮らした後、東京へ戻る。元アマゾンジャパンフォトスタジオプロデューサー。仕事をしながら大好きな長野の山へ通っているうちに、自然と飯山へ移住する流れに。現在は夫と2人で古民家に暮らし、飯山市地域おこし協力隊として活動中。

● ジョナサン・ソーブル
元ニューヨーク・タイムズ記者。 飯山市が誇る「古民家」と「豪雪」に惹かれて2018年に築150年の家を購入し、その後 東京から移住。現在はテレワークを中心にコミュニケーション・コンサルタントを務めている。

● 前田 健太
2002年より名古屋で沖縄居酒屋を経営。2018年に柄山集落にある古民家を購入し、店の20周年を区切りに2022年秋、家族6人で飯山市へ移住。セルフリノベーションした自宅に住んでいる。2023年10月下旬、古民家食堂・ゲストハウス「パイパティローマ」を開業予定。

登壇した3名の共通点は、飯山市への「移住者」であること、そして「住居が古民家」であること。トークセッションでは「飯山での古民家暮らし」が主な話題となりました。

古民家、雪、集落。 3人が飯山を選んだ理由

佐川「まず、みんな気になっていると思うんですけど、飯山市に移住した決め手ってなんですか?」

ジョナサン「いまの自宅の物件に一目惚れしたのがきっかけ! 飯山市に移住したい、というよりも古民家が先。実は、現在の家を購入するまでの2~3年間、ネットで古民家ストーカーしてたんだよね(笑)」

木々に覆われるジョナサン邸(ジョナサンさん提供)

現在、ジョナサンさんご夫婦のお住まいは、築150年の古民家。集落の中にありながら、半分は自然豊かな森という別世界のような環境に惹かれたとのこと。東京在住時から夢だった「古民家再生」を、この飯山市で実現させたのです。

ちなみに、ネットで古民家を探していた彼の移住するにあたっての条件はこちら。

①東京へのアクセスの良さ(2時間以内・乗り継ぎなし)
②雪遊びができること

なるほど! この条件なら、飯山市しかありませんね。
現時点で移住をお考えの皆さんにも、参考になるのではないでしょうか。

さらに、空き家バンクのHP(飯山市の移住定住支援サイト)から、市役所に問い合わせたところ、移住定住推進課の担当者が積極的で真摯な対応をしてくださったことから、「ここなら間違いない!」と思ったそうです。

佐川「飯山市といえば特別豪雪地帯ですが、雪に対する不安はなかったのでしょうか? ちなみに雪は、私にとって強烈なキーワード! 雪が降るから移住を決めました

雪原に佇む佐川邸(佐川さん提供)

前田「僕は、その逆かも。一度も雪を見ることなく、古民家の購入を決めました(笑)一度でも見ていたら『こんなに降るのか!』とためらっていたと思う」

移住担当としては、冬の雪も経験してもらった上での移住を大前提として勧めているのですが……。

柄山集落にある前田邸(前田さん提供)
積雪期の様子(前田さん提供)

前田さんが選んだ古民家は、柄山という集落にあります。飯山市の北部に位置するため雪深く、さらには世帯数もわずかな限界集落。しかし、ご一家は、古民家そのものよりも「集落」に惚れて移住を決めたといいます。

たまたま飯山へ訪れた際、集落の雰囲気に惹かれただけでなく、ご自宅に戻られた後にネット検索をすると、なんと、気になった古民家が売られているページがポン!と出てきたそうです。

さらに、取り扱いの不動産会社は、前田さんが当時住んでいたという名古屋市にありました。運命的なものを感じ、購入を即決したと話します。(雪を見ることなく……!)

リノベーションで理想の古民家暮らしを

今も、古民家のある風景が残っている 特別豪雪地帯の飯山市。毎年100人近い移住者の方が選ぶ、飯山市での住まいの選択肢の中に、もちろん「古民家」もあります。
そんな田舎暮らしの憧れ「古民家」ですが、やっぱり気になるこの話題。

リノベーション前の内観(佐川さん提供)
リノベーション後の内観(佐川さん提供)

佐川「リノベーションはどうされましたか?大変でしたよね?」

ジョナサン「僕の場合はそもそもリノベーションが目的だったから、ボロボロの家を狙っていたんだよね」

ジョナサンさんは古民家を購入後、約3年間は東京と飯山を行き来していたそうです。コロナ禍で、リモートワークができるようになったことをきっかけに、飯山市に拠点を移しました。

さらに、住みながら「これは要らない」「あれ必要」と、リフォーム計画を立て、夢の実現のために、全てを業者に依頼したといいます。

(ジョナサンさん提供)

一方、柄山集落に古民家を持つ前田さんは……

前田「リノベーションは全部自分でやってます。一旦スケルトンにして、コンクリート土間を打ち直しました。壊すのに躊躇しながら造ってますが、古民家ならやりたい放題。自分でやる楽しみがありますよね」

(前田さん提供)
(前田さん提供)

ご自身のセルフリノベーションを楽しそうに語っていた前田さん。その中でも(賃貸にしか住んだことのない)私の心に残った言葉があります。

「完成は一生しない。子どもたちが大きくなったら、いらなくなった壁は取り壊すし、欲しくなった部屋は作り直す。きっと未完成のまま、自分は死んでいくんでしょうね。自分基準の時間ではなく、この家の何百年かの一部を、自分が使わせてもらっていると考えています」

かっこいいですね~。

(ジョナサンさん提供)

ジョナサン「古民家の一番のセールスポイントは、昔ながらの雰囲気を守りながら、機能的にモダンにできるところ。パートナーは、寒さが苦手なので徹底的に断熱・暖房を入れました。真冬は東京のマンションより暖かいんですよ」

意外や意外! 古民家ってスゴイ。ここまでのお話を聞いて、「なんだ!!古民家って全然古臭くない。むしろ、現代に合わせて変化できる最高の住まいでは?」と思い始めました。

佐川「古民家を生かしてやっていることや、今後やりたいことってありますか?」

ジョナサン「古民家再生自体が目的でしたが、今は妻が自宅でエクササイズのインストラクターをしているんです」
田んぼを見ながら、築150年の古民家でエクササイズ。(い~ですね!)聞くと、50〜60代の地域の方が通われているそう。誰も住まなくなった古民家に、明かりが灯るだけでも価値があることなのに、人が集まったら、まさに「地域おこし」ですよね。

(Instagram @mayamoves_kominka より)

前田「古民家再生から、集落再生、地域再生になればいいな。こんなにたくさんの古民家が残っている地域は珍しいから、外から人が来るきっかけになるんじゃないかな」

終始、トークセッションから伝わってくるのは、古民家への強い熱(愛)! 
きっと全国には、同じように熱い想いを持った方がいるはず。古民家がもっと注目されれば、新幹線で飯山市まで来る理由の一つになるのでは、と思いました。

さらに、前田さんは「古さを生かしつつ、こんな風にしてもかっこいいんだ、と感じてもらえるような古民家にしたい」と語ります。

飯山に実際に移住してみて

最後、質疑応答タイムでは、私も質問させていただきました。
――「移住して、地域の方の反応はどうでしたか?」

ジョナサン「最初は『本当に来るのか?』と思われていましたね。集落に人が少ないから(笑)」

――「地域の方は、ウェルカムだったのでしょうか?」

ジョナサン「ウェルカムでしたよ。外国人がうちの集落にわざわざ来るってことは『魅力は何なのか?ここのどこが良いのか?』って、半信半疑でいたみたいですね」

ほお~。地元の方ほど地域の魅力に気づいていない、ということは、実はあるあるですね。

ジョナサン「本当に好きで来たと分かってもらえてからは、すごくオープンになりました。ちょっと変わった人が来たよ~(笑)と、優しい目で見てくれています」

(ジョナサンさん提供)

前田さんも、おてんま(集落の奉仕活動)で出会った人とのご縁を語ってくれました。
集落単位での生活が求められる飯山市では、避けて通れない話題ですが、定住を目指している自分にとっても、うれしいお話を聞くことができました。

終わりに

「今、何%完成してるの?」「うちは50%くらい!」
古民家リノベ民ならではの会話になんだかほっこり。

『飯山の玄関口である駅前で、古民家について語る』
初めはちょっと違和感があったけれど、とても自然なことだと感じました。

トークの序盤で、佐川さんが「飯山市の景色に、古民家って大事なんじゃないか」と問いかけていたことが分かるようになりました。

レポートはここでおしまい。
読んでくれた方、ありがとうございました。

(佐川さん提供)

★長野県飯山市では、移住定住支援サイト「いいやま住んでみませんか?​​​​​​」にて、情報提供を行なっています。 空き家バンク(古民家もあります!)も更新中です。
まずはメールからお気軽に移住相談してみませんか?


執筆:高梨 葉月
撮影:吉平 仁


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