光を観る
私は飛行機に乗って光を観に行く。光を観ている時は、私も光に観られている。当地の見えざる目は、私の光を観ている。光は私を癒してくれる。光は私を子供に戻す。
窓の外をみると、滑走路上には太い黒ゴシックで書かれた英数字が、カーブに沿ってレイアウトされている。夜にはオレンジ色の照明が、甘枯れた芝生を照らす。とてもおしゃれだ。とても美しい
埋立地にばらまかれた英数字たちを管制と飛行士は座標と捉えている。気象台が近い未来に私たちの機体を揺らすだろう風の様子を伝える。風と文字に連なりを見出し、離陸のシーケンスが再生される。
山の形が外を走る。プレートとプレートはぶつかり合いできたシワが私の外と内を囲っている。二酸化炭素を酸素に変える樹木の吐息が充満して。方々に光がさす。木と土の表面と内部に大小の生物が蠢いている。液体のように。
まだ名前のない滝、巨石、逸話をまとった山の尾根が点在している。山に住むものはそれを座標と捉え、伝承と木に残った爪の跡は、未来に出会うだろう動物たちの動きを伝えている。見立てと液体のような偶然に意味を見出し、シーケンスが再生される。とてもおしゃれだ。とても美しい。
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