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トーク・トゥ・ミー ~ しっかり怖い傑作ホラー映画の話

年末年始休み中、アマプラで映画ばっかり観て過ごしています。

適当に選んで観て、ハズレが続いてたので面白いと評判の「トーク・トゥ・ミー」を観ました。ホラーの傑作ということだけは聞き及んでいましたが、具体的な事前情報なしの状態で観ました。

観た人が読む前提でネタバレだらけで感想を書きました。


ネタバレあらすじ

話については難しいところはないのでわざわざ私ごときが事細かに説明するまでもありませんけど一応。

ざっくり言うと日本で言うとコックリさんみたいな、子どもが興味本位でやるしろうと降霊術遊びみたいなことをやってたら、取り憑かれた少年が死にそうになり、なんだかんだで助かるけど主役の少女が死んで幽霊になっちゃって、降霊術で呼ばれる側なっちゃったって話。

青少年のドラッグ問題

(この映画の舞台はオーストラリアのようですが)アメリカとか、海外の多くの国では、日本では考えられないほど青少年の間にドラッグが蔓延してるみたいです。

若者が気軽な感じでドラッグパーティーをやってるみたいな描写は映画で本当によく見かけます。映画でこんだけ出てくるってことは、リアルでも若者の間にドラッグが蔓延してるんだと思います。

ドラッグでおかしくなってえらい目に合うっていう映画もありますけど、「この子らは普通の陽キャラ若者のグループですよ」っていうことを表す描写のためだけにドラッグやってるシーンが使われたりします。そのくらい蔓延してるってことなんじゃないかと。

で、この映画の場合はそのドラッグパーティーの代わりが「90秒憑依チャレンジ」という具合。気楽に遊び半分、興味本位で降霊パーティーっていう、どう考えてもろくなことにならないパーティーです。

その降霊パーティーの描き方が、普通の映画だとおどろおどろしくなりがちですが、陽キャラ若者のウェ~イな感じなのが面白いし、うまいと思いました。

チャレンジしてるやつが幽霊見ちゃった瞬間に周囲がウェ~イって盛り上がる感じ、斬新ですねえ。そして案の定ろくなことにはならないのであったっていうね。

前半と後半で怖さのタイプを変えてくる心憎さ

この映画、ライリーが取り憑かれるまでが前半、それ以降が後半って分けるとすると、前半と後半で強さのタイプが違うんですけど、どっちのパートでもしっかり怖いです。

前半は憑依チャレンジなんていう馬鹿げた遊びをする子どもたち、そしてそれを心配してたら言わんこっちゃないってことになるわけですが、急に怖い幽霊の顔がザン!と出てくるみたいな普通の怖さです。

前半は言ってみれば陽キャラ若者がこんなアホな遊びに興じてますよ、それが日常的なんですよっていうシーンで、まだ本格的にことが起こってない段階です。

映画なんだからこの後なんか起こるっていうのは分かりきってますから、いつ怖いのが来るか警戒しつつ見てるわけですが、あの言ってみれば単純な、怖い顔が一瞬映るっていう手に何度もやられてビクっとしちゃいます。

そして後半はミアはじめ登場人物を霊が翻弄し、取り返しがつかないことになって事態はどんどん悪化していくわけです。

その霊がミアの母の霊なのかなりすました悪霊なのかわからないとか、ライリーはどうなっちゃうのかとか、不安定な精神状態にさせられ続ける怖さです。

悪魔的な霊っていう日本人には実はあんまりない感覚

日本のホラーと海外(ことにキリスト教圏ってことになるのかな?)のホラーで違いが出るのが、悪魔っていう概念です。この映画の場合は悪魔ってことにはなってないようですが、悪霊が悪魔的なんです。

悪魔的っていうのは、ただ怖いっていうのと違って、人間の迷いだったり欲望だったりに巧妙につけこんで来ていやがらせをしたり、甘い誘惑で誘い出してひどい目に遭わせたりっていうところです。

悪魔っていう概念については、そこまでガッツリ調べたり勉強したりしたわけじゃないんですけど、以前にいくつかのテキストで触れました。日本人が思うよりずっと、あっちでは悪魔っていう概念が染み付いてるみたいですよ。

日本人が思うところの悪霊みたいなものよりずっと身近で、ただ怖い霊っていうものとはちょっと違った概念のようで、それを意識すると面白くなるホラー映画って多いと思います。

この映画の場合だと、母親の霊になりすましてミアがライリーを助けようとするのをあの手この手で邪魔してくる。そこがまさに悪魔的なんです。怖いというかタチが悪いというか。

きっちりオチがついたスッキリ感

ライリーは助かったもののミアが死亡してしまうという結末ですが、ミアがライリーを助けるために犠牲になったみたいな献身的で感動的な話じゃなくって、ライリーを殺してしまおうとするもののジェイドによって阻止されて結果ミアが死んでしまうという胸糞展開なわけです。

結局母親の霊になりすました悪霊にまんまとやられてしまったということなんですが、最後の数分できれいにオチていて、あんまりな胸糞結末なのにスッキリしちゃうっていう、うまいと思いました。

短いシーンで本当に上手にきれいに落としてるのが良いです。下手な人が撮ったら多分、幽霊になったミアの独白のセリフとかお寒いことをやっちゃうんじゃなかろうか。

ミアが幽霊になってさまよっているということを、セリフもなく説明過多にならずに観てる我々に理解させて、最後はどっかの国の若者が憑依チャレンジで遊んでるところに呼び出されて、あらら、コッチ側に来ちゃってた!っていうね。

評判どおり面白い映画でしたし、ここ最近観たホラー映画の中では出色の怖さでした。でも、血とか内蔵とか生首とかグロい場面はあんまりないので、ホラー苦手な人もチャレンジしてみたら良いかも。90分ホラー映画チャレンジ。

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