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Cloud クラウド ~ 何がオモロイの?この映画って話

お休みでヒマなのでアマプラで映画観て過ごしています。

Cloudクラウドっていう映画がアマプラビデオのトップで、観たってやアピールの圧がすごいのでそれに乗って観てみました。つまんなかったです。

ネタバレでこんな話ですよってのを書きます。

▼Cloud クラウドのストーリー

倒産寸前の電子機器の町工場とか、フィギュア売ってるホビーショップとか、あるいはネット通販とかで、安く買って高く売れそうなものを見つけて売り抜けて儲ける、いわゆる転売ヤーをやってる菅田将暉(役名吉井)はラーテルっていうハンドルネームでネットで商品を売りさばいてます。

悪どい商売で色んな人から恨みをかってるラーテル、なんだかんだでネットの裏サイトみたいなところでラーテルの個人情報特定みたいなことになってて、襲撃してお仕置きしようみたいなことに。

でもって菅田将暉の家にネット住民が武装して襲ってきて、さらわれちゃって殺されそうになってさあ大変。でもそこで、以前菅田将暉のところでバイトしてた青年が拳銃いっぱい持って助けに来て、銃撃戦になって最終的に武装集団皆殺しにして返り討ち。

バイト青年は実は893みたいな組織と繋がってる凄腕の殺し屋で、現場の死体の処理まで大丈夫!あとは今まで通り稼ぎましょうと言ってきます。要するに転売ヤーで稼ぐノウハウのある菅田将暉は、893の資金源として今後利用されるのであった。みたいな話。

2時間くらいの映画ですけど、前半1時間くらいそれと言ってなにも起こらないです。ただダルいだけです。内容的には20分くらいでまとまるものですけど、やたらセリフ多いし間も長いし、無理くり3倍にかさ増ししてて超ダルいです。

このダルさがあってこそその後のカタルシスに繋がるみたいなこともあるのかも・・・とホンのちょっとの期待を持って観続けましたけど、別に何もなかったです。何だったの?前半のダルダル感。

後半は廃工場みたいなところへ舞台を移して銃撃戦です。前半で出てきたクビにしたバイトの佐野くんが実はすごいヤツで、助けに来た佐野くん中心に銃撃戦のアクションシーンが展開します。

ここは手に汗握る感じで楽しめました。でも、この映画は感情移入できたり共感できる登場人物がひとりもいないので、廃工場の銃撃戦だったらタカとユージに猛烈に感情移入できる「あぶない刑事」を観た方がずっと面白いです。

それは置いといてそのスリリングな銃撃戦もなんかやたら長くて、いい加減飽きてきたところで、それまで腰抜けだった菅田将暉がなぜか急に強気になってラスボスを撃ち殺して終わり。やっと終わったって感じでこの映画で一番嬉しい瞬間でした。

最後にとってつけたような女とのひとくだりがあって、終わり。何だこれ。

久々にひどい映画を最後まで観たなあと思って、さぞかし酷評の嵐なんだろうと思ってYouTubeの映画感想系の動画を少し見てみたら、何か絶賛されてる。

絶賛されてるんだけど、それらの動画全部に共通してることが2つありました。ひとつは映画会社から依頼されたいわゆる企業案件動画だってこと。これはYouTuberの人それぞれ言ってました。

もうひとつは、黒沢清っていう監督が撮った映画らしいんですけど、各YouTuber口を揃えて「黒澤清に慣れてればすごく面白い」みたいなこと言ってました。

そういうことなら、私は別にいいやと思いました。その映画の中だけで完結して面白くないとって思うんですけど。監督が誰々で、その監督の場合はこういう観かたをすべしみたいなのって、イヤな映画通ぶった人の意見だなあって、生意気にも思っちゃいました。

と同時に、大きな企業がお金を出せばどんなものにでも絶賛の嵐みたいな雰囲気作れちゃうのがネット社会なのかなって感じてちょっと恐怖。

私の「黒沢清リテラシー」が低いってこと、映画通でもないので見るべきところを見れてない可能性、そういうのはあるのかもしれないけど、なんにせよ全然おもしろくなかったです。映画ド素人のクサレ感想だと言われようがなんだろうが。

別に映画にリアリティって必ずしも必要とは思わないんですが、「リアリティがある感」は必要なこともあると思うんです。

で、この映画の場合は現代社会に潜む闇や人間の中にある悪意や恐怖みたいなことを描いてるつもりのヤツなんで、「リアリティがある感」は必要なタイプだと思うんです。

そのリアリティがある感がなさすぎて、なかなか映画に没入できなかったです。

転売ヤーってやったことないし、知り合いにもいないのでよくわかりませんけど、あんな感じなんですか?実際の転売ヤーに忠実である必要はないですけど、リアル感を出して描けなかったものなのかと。

薄暗い部屋のパソコンの画面に出品してる商品がズラっと並んでて、SOLD OUTの赤文字が次々出てきて売れてる様子をみつめる菅田将暉っていう演出、ダサいというか説得力がないと言うか。

事業に失敗した町工場に売れ残った製品を買い叩きにいくっていう仕入れのシーンも、工場のおっさんの安く買い叩きやがってみたいな態度、そんなだったらまずアポイントを取りに来た時点で断ると思うんですけど。

そしてさびれた工場のおっさんの妻が妙に美人だというところも、それになにか意味があればいいんですけど別に何もないです。別に映画のお作法について詳しいわけじゃないけど、配役するならもっと平凡なおばちゃんの方が良いと思うんですけど。

菅田将暉にピンチが迫っていることを表現した掲示板の書き込みを映すシーンも、昔の電車男じゃないんだからあんなステレオタイプな掲示板画面って、いつの映画だよと思ったら何とびっくり今年2024年の映画。

掲示板で集まった素人が銃器で武装してラーテルを襲おうなんていう計画に乗っかるって何?逃げたら撃ち殺すみたいに脅されてる感じもないし、どう考えてもあんなのに参加しないでしょ。

百歩譲って参加してることが納得できるのは菅田将暉の昔の職場の上司の荒川良々と吉幾三みたいな顔した工場の主人くらい。ただその荒川良々も、なんでそこまで菅田将暉を恨んでるのかの説得力ある根拠は描かれてないし、吉幾三もゴミ在庫を9万で買ってもらっといて恨むのは筋違い。

それから最初から最後までわからんかったのが菅田将暉の彼女のアホ女の存在です。最初の登場シーンからずっとアホ女でうざいだけの存在なんです。どう見ても要らない登場人物なんだけど、後々アホがゆえにその存在が活きてくるシーンがあるのかな?って思ってたらマジで別に何もなかったです。

最後のシーンも、正面からのカットで右手を後ろに回してるっていうのは、後ろに銃を隠してるってことを観客にわからせるためのわざとやってる演出?何のために?

結局アホ女は最後の最後までいる意味がわかんないまま、意外性もなく佐野に撃たれて消えて終わりました。とりあえず女出しときゃいいかみたいに感じました。

・・・と、このように、私ごとき映画通でもないド素人が恐縮ですが、全体的に演出とかダサく感じて、銃撃戦が始まってからしばらくの短い時間以外は面白くもなんともなかったです。

なんか海外の賞に出品したらしいんですけど、恥さらしだから引っ込めた方が良いと思いました。

海外と言えば、ものすごい面白かった「イノセンツ」観たばっかりだったのであまりに対照的で、そのせいもあってつまんなく感じたのかなあ。

説明過多・セリフ過多な「クラウド」に対して、ほとんど説明的セリフもないのに役者の表情とか撮り方で必要な情報は読み取れるようになってる「イノセンツ」

登場人物のうっとおしい叫び声とかウザ演出でせっかくの対決シーンを台無しにしてる「クラウド」に対して、画面全体の雰囲気と必要最小限の演出で息が詰まるような対決を見せてくれる「イノセンツ」

北欧映画の爪の垢を煎じて飲むがいいと感じちゃいました。

それは言い過ぎにしても「クラウド」、とにかく私には合わなかったです。

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