−青藍− 先生からの「ありがとう」
高校1年生の時のクラスは、担任の先生2人を含めてとても良いクラスだった。
SHRで、先生やクラスメイトから連絡の後には、毎度みんなが「は~い」と返事をする。
別に誰が言い出したわけでもないし、そんな決まりもない。
しかもみんな気の抜けたユルい「は~い」なんだけど、ぼくはその慣習がとっても好きだった。
高2に進級してクラスはバラバラになったけど、旧クラスメイトや旧担任の先生と顔を合わすと「あのクラスはよかったよね~」と口を揃えて懐かしんだ。
高校生活が終わり、卒業するとき。
高1の時の担任の先生2人がそれぞれ、当時のクラスメイト全員に1人ずつメッセージをくれた。
本当にぼくらのことを大切に思ってくれていたんだろう。
話を合わせていたわけでもないだろうに、2人からのぼくへのメッセージには、異口同音に「ありがとう」と書かれていた。
「ありがとう。あの時あなたがいてくれて、話ができて救われました」
「ありがとう。あなたという存在は、私の3年間にとって、欠かせないものでした」
生徒が先生にありがとうを言うことはあっても、先生から改まって言われることはあんまりないんじゃないかな。
なにより、ぼくの行為とか成果とかじゃなくて、ぼくの存在に対してありがとうって言ってくれたのが、たまらなく嬉しかった。
今でも、明日が来るのが怖い夜には、先生たちからのメッセージを読み返しては、存在し続ける勇気をもらっている。
ぼくが生きて存在していることに、価値があるんだ。
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【青藍】せいらん
藍染の色。鮮やかな藍色。
青は藍より出でて藍より青し。目指せ出藍の誉れ。
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