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『女帝 小池百合子』(石井妙子・著)

東京に住んでいない方は、彼女のことを見たり聞いたり、考えることはほとんどないだろう。

しかし、東京に住んでいたら、必ず毎日その動向が報道される。
嫌でも毎日見ることになる。考えさせられることになる。

都知事・小池百合子。

彼女は、私が選挙権を持った頃から、なんとなく、ずーーーーーーーーーっと政治家をしている感じがする。

私が一番覚えているのは環境大臣かな。
半袖ノーネクタイ上着なしを「クールビズ」と命名して広まったのが彼女の時だ。

でも、そういえば、女性初の防衛大臣もしていた。そう言われればそうだった、気もする。(その次の女性の防衛大臣は稲田朋美。こっちのやばい印象が強すぎて忘れてた・・・)

そして知らないうちに都知事になっていた。

いや・・・?

私が大学時代から数えて2度目の東京生活を始めたのは、彼女が都知事になった頃だった。

おそらく引っ越した時期的に、私は知事選の投票をしていない・・・と思うのだが・・・もしかしたら入れてしまっていたかもしれない。
「都議会のドン」という言葉がマスコミに飛びかったあの選挙だ。

2020年、彼女は都知事に再選されたが、その時私は誰に投票したのだろう・・・思い出せない。
そう、私は完全に忘却している・・・あらゆる選挙を、そして彼女の半生を。

この本を読んで、私がいかに選挙や政治のことを覚えていないかがわかった・・・。

何度も選挙に行ってみて思うのは、とにかく候補者の情報が事前に手に入らないということ。
私は今でこそ時間に余裕のある(そして金には余裕がない)生活をしているが、正社員で働き週末に演劇をやっていた頃は、とにかくそんな政治の情報を集める時間も気力もなかった。
東京で、ブラックなベンチャーぽい会社で働いていた頃は、毎日めちゃくちゃに疲れて、何も考えられなかった。

なのに、選挙前に有権者に与えられるのは、「選挙公報」くらい。新聞をとっていれば新聞の特集。
テレビで見られればと思うが、ローカルな選挙ではそんなにテレビでも取り上げられない。政見放送は宣伝だし、死ぬほどつまらない(ていうかぞわぞわして見てられない)。

そう、選挙は、つまらない!!!!!!

私は自治体の市議選とかローカルな選挙は、党名と、立て看板のポスターを見て「やばくなさそう」な人に入れてきた。
国政選挙は党名と、テレビのイメージで入れてきた。

そのつまらん選挙を面白くするのが小池百合子。その意味で、彼女は天才的だ。
都民ファーストとか、緑の風とか、女性だからとか、そんなマスコミのイメージで私もふわふわ投票していたと思う。
もしかしたら1回くらい、小池百合子や都民ファーストの議員に、票を入れてしまったかもしれない。

でも、彼女を応援しては、いけない。

それは、この本を読めばわかります。

できれば著者の石井妙子さんには、コロナ禍の小池都知事のことも本にしてほしいくらいだ。


分厚く見えますが、読みやすい文章で、ぐいぐい引き込まれてスラスラ読めた。

私だって、彼女を応援する・応援してきた人の事をどうこう言えない。簡単にだまされてきた。

でも、もうだまされたくない。

日本は「空(疎)」な人に人気が出る。
私は日本の”国体”は「空」だと思っている。
神社のご神体は何もない。器のように中に何もないことが、人を惹きつける。
そして人はそれぞれの願いを、めいめい勝手にそこにリフレクトするのだ。


石井妙子・著『女帝 小池百合子』(文藝春秋)
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彼女のおそろしい「空(くう)」に、日本が引きずり込まれませんように。

(文中敬称略)


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委員長/日本語教師
これからも書き(描き)続けます。見守ってくださいm(__)m