いろんな視点で見ると本質が見えてくる
情報が乱立する現代において、様々な情報に振り回されて正しい判断ができなくなっている人が増えてきているのではないかと感じる。
何を持って正しい判断というのかということもあるが、誰もが簡単に発信できるようになったことで情報量過多となり、一人ひとりのキャパを超えてしまっている結果、偏った情報やイメージ先行型の情報が世の中の常識となっていってしまうことに少し危機感を感じる。
特にコロナ関連の情報は、メディアでも不安を煽るような情報の切り取り方、必要以上に政府を批判的に見せるための演出など、正しい情報ではあるが部分的に使われることで誤解を招いてしまっていたり、別の側面の情報が全く表に出てこなかったりと操作されたかのような情報に我々は踊らされているようにも感じてしまう。
もちろん、有名人などの発信が偏った情報によるものだったりすれば、炎上という社会的制裁的なものに繋がることもあるが、逆を言えば炎上することで別の側面の情報が表にでてくる、ということもあるので炎上も一概に悪いものではないのかもしれない。
ちょくちょく炎上する著名人の中には、敢えて細かい説明を省いた発信をすることで、批判的な意見を集め結果的に世の中にいろんな側面の情報を拡散するということを狙ってやっている賢い人もいるのかもしれない。
これより更に根が深いのが、イメージ先行型の情報が偏ってしまっている場合だ。
有識者からすれば、間違ってはいないもののひとつの視点でしか捉えられていない情報であるにも関わらず、その情報だけが独り歩きしてしまって世の中のイメージとして定着してしまっている場合、どれだけ有識者や情報量の多い人、社会的地位が高い人物などがもう少し広い視野での見解を発信したとしてもなかなかそのイメージを覆すことは難しい。
ペットボトルは本当に悪なのか
仕事柄、食品メーカーなどと会話することも多いため、ぼくとしては身近な問題となる”ペットボトル”問題。
ペットボトル容器は軽量でかつ保存性も高いので、飲料をはじめとしたさまざまな食品の容器・包装に使われている。
そんな便利な"ペットボトル"だが、期せずして海洋プラスチック問題の象徴的な存在となってしまった。このイメージによって、"ペットボトル=悪"と定義づけられてしまい、環境意識の高い人はなるべくペットボトル飲料を購入しないようにする、だとか企業でもペットボトル容器を使用した商品の販売を取りやめたり、オフィス内の自販機飲料からペットボトル商品を無くすなどの動きも出てきている。
企業としては手っ取り早く、消費者に対して環境配慮をPRできることもあり、こういった動きが消費者の”ペットボトル=悪”の認識を加速させることにも繋がっている。
少なくともこの日本においては、ペットボトルの回収率やリサイクル率は非常に高い。
※ボトルtoボトルへの再生PET樹脂利用量の推移(資料=PETボトルリサイクル推進協議会)
【参照記事】食品産業新聞「ペットボトル=悪」なのか、飲料メーカー各社が循環型リサイクルを本格化
そもそもプラスチックゴミの問題はプラスチックの生産者が悪いわけではなく、プラスチックゴミを正しく処理せずに海に捨てているということが原因であり、これだけリサイクルに取組んでいる業界が、この先行イメージによって非買運動の被害を受けるというのはなんだか本質とはズレているようにも感じる。
上記記事の中にもあるが、セブン&アイHDなどは店頭でペットボトル回収機を設置したり、ボトルtoボトルリサイクルを行ったり、企業側もリサイクルを促進する努力も行っているし、家庭ごみで排出されるペットボトルはラベルを剥がす、キャップをはずすなどはもはや日本の家庭では当たり前の行動にもなりつつある。
消費者自身もリサイクルのためにこのような行動をとっているにも関わらず、この”ペットボトル=悪”のイメージが根強く世の中に浸透しており、なかなかそれを拭えないというのは問題の奥深さを感じる。
非売運動などを行うよりも、まずはひとりひとりがゴミの分別や飲み残しを減らすなど、少しの手間を惜しまずにできることを確実にすることが1番の解決策なのではないか。
電気自動車は本当に環境にいいのか
こちらも環境の話にはなるが、クリーンエネルギーとして多くの自動車メーカーが開発の動きを見せている電気自動車(EV)。
世界的に見ればテスラを筆頭に、日本では日産が頭ひとつ抜けている印象があるが、みんな当たり前のようにガソリン車よりEVの方が環境によいと思っているが、これは本当にそうなのだろうか。
そもそもEVの何が良いのかというと、ガソリン車のように地球温暖化の大敵であるco2を排出しないことからクリーンエネルギー車として注目を集めている。
確かに、ガソリン車のように有限である化石燃料を動力源としているEV自体はco2を排出することはない。その代わりに電気を動力としているが、よく考えればその電気というのは発電所で化石燃料を燃やし、二酸化炭素を排出して作り出されている。日本の場合、原発を積極的に動かせない今となっては全体の約80%を火力発電に頼っていることを考えると、少なくともEVであればco2の排出がゼロになるというのは間違った認識であるように感じる。
co2排出量の減少を目的とするのであれば、必ずしもEVが最良の策であるというわけではないのかもしれない。
実際、日本を代表する自動車メーカー”トヨタ自動車”は、このEVに関しては消極的で、2050年までのロードマップでもEVを全体の1割程度と見込んでいる。一方で、トヨタの技術を活かしたガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)を電動車の主力に位置づけている。
※トヨタ「環境チャレンジ2050」より
ここからは専門的な話になりそうで、よくわからない部分も多くなるがHVやPHVの技術を高めることでエネルギーの効率化を最大限にしつつ、並行してEV技術の更なる進化や再生可能エネルギー発電が拡大したときに、そのHV、PHVの技術とEVを組み合わせることで本物の脱炭素社会を目指しているのではないかと感じる。
物事はいろんな側面から見るとおもしろい
海洋プラスチックゴミの問題では象徴的に取り上げられるペットボトルだが、容器としては非常に優秀で、頑丈さと軽量を兼ね備えた容器包装である。軽量であるので、co2排出の観点では環境負荷が低い。
つまり、環境全体から見ると必ずしもプラスチックを無くすというのは得策ではないのかもしれない。
今回、ペットボトル以外の事例として調べたEVなどもネット記事をいくつか見るだけでも様々な見解が溢れかえっていた。ぼく自身、乗り始めてから10年を超え、そろそろ我が家のVOXYも買い替えを検討する身からすると、EVも検討のひとつと考えていたが新たな視点を知ることでHVやPHVなどにも検討の視野が広がるきっかけとなった。
ぼくは次に車を購入する際にはこういった全体概要を踏まえた上で(予算との兼ね合いが大きいが)、自分自身で納得感を持って購入の判断をすることができるだろう。
環境に対する発信などは、個人だけでなく企業自信が消費者への発信をすることもこの時代は増えてきている中で、一部だけでなく広い視点、短期だけでなく中長期の視点でみたときにどうかをしっかりと理解した上で判断、発信をしていくということも重要になっているように感じる。
消費者に対するパフォーマンスなのか、本気で取り組んでいるのかは意外とすぐにバレてしまうものなので、わかりやすい対策に飛びつかず、会社としてどう取り組んでいくべきかを真剣に考えた上で判断するようにこころがけていくべきだろう。
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