相続時精算課税制度を利用して相続・認知症対策
「相続時精算課税制度」は2024/1/1から神改正されます。
これまでは、生前贈与(暦年贈与)が主でしたが、これからは「相続時精算課税制度」に主役が移るだろうと思っています。
これから多く耳にするだろう「相続時精算課税制度」は、認知症対策にも使えることに気づきました。
以下は我が実家をモデルに記載しています。財産の詳細は書きません。
1 相続時精算課税制度を認知症対策に使用するスキーム
①使える人
◇ 相続財産のほとんどが実家の土地建物で金融資産は少なめで、相続税が課税されないだろう人
(課税されない人の計算式)
相続財産が「3000万円+相続人の数×600万円」以内の人
例)父、母、長男、長女、次男の場合で、父が亡くななった場合
母と長男、長女、次男の4人が相続人になるから
3000万円+600万円×4人=5400万円 (相続税課税価格の基礎控除額)
②使う財産
◇ 実家の建物と土地
上記の例では実家の建物と土地+金融資産などのその他資産が5400万円未満の人
③使い方
◇ 親の高齢者施設の入所費用に充てる。
親が認知症になり、高齢者施設の入所が決まった。しかし、入所の初期費用と月々の費用が親の年金だけでは賄えない。親が施設に入居後自宅が空き家になる。親が認知症になるので、銀行口座は凍結、実家の不動産処分も本人ではできない。
この問題を解消すべく、「相続時精算課税制度」を利用して、実家の不動産を長男へ贈与。施設の入所が決まった時点で、実家を売却して、構成者施設の費用に充てる。
不動産の査定額は2000万円未満なので、贈与税はかからない。相続時も全相続財産が相続税の基礎控除以内になるので、相続税は課税されない。
2 その他
①口座凍結問題は未可決
口座凍結問題が解消されていない。ただし、金融資産=貯金は極めて少ない場合は、費用対効果を考えて、対策を立てない場合もあり?
未可決問題を解決するためには、任意後見制度や家族信託の利用を考えますが、余剰資金がない場合の家庭ではそこまで手厚くなくてもよいようにも思います。
②土地建物を売却した場合の譲渡所得が高め
居住していないし、空き家にもなっていないので、3000万円の特別控除が使えません。かつ所得費が5%で計算されると譲渡所得税をがっぽり取られてしまいます。取得費計算の根拠を探してこないといけません。