【飯田線各駅紹介】73 伊那本郷駅
森に囲まれた静かな駅
ここは長野県上伊那郡の飯島町にある、伊那本郷という静かな駅。以前は棒線駅であったが、のちに列車増発のために交換設備が敷かれた。こうした経歴から、この駅は2面2線の相対式交換駅であるものの決して主要駅ではなく、信号場というような意味合いが強い。人家は駅前に10軒ほど連なっているだけでその他は見当たらず、至って静かな環境である。
この駅を訪問したのは早朝となった。高遠原駅から電車でやってくると、いきなり線路が2つに分岐する。そのうちの左側にはいると列車は減速し、やがてホームにゆっくりと止まった。ここが伊那本郷駅だ。
交換設備の設置に際して、この駅では交換線の有効長がめいいっぱいにとられた。そのため駅から豊橋方を見るとあたかも複線区間であるかのように見える。また、上り用として新しく作られた2番線はホームが非常に簡素なもので、歩くとカタカタ音がするのがなんだか板張りホームのようで楽しかった。駅に構内踏切は無く、上りホームへは駅舎を通らずホームへ直接入場する形となるのも興味深い。
かように駅には見るべきところが多く、滞在予定の時間はあっさり過ぎて行ってしまった。隣の飯島駅へ向かって歩き始める…が、いきなり森の中。しばらく歩くと国道に出たが、すぐに分岐してまた森の中。駅前の人気と言い、駅周囲を取り囲む森と言い、なんだかこの駅が“秘境駅”であるかのように感じてきてしまった。ここ伊那本郷駅は、それだけ静かな場所なのであった…。
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