【飯田線各駅訪問】81 赤木駅
田畑と住宅地の中の駅
ここは伊那市の南端に位置する、赤木という駅。駅周辺は田畑と住宅が入り混じるような感じで、市街地郊外といったような印象である。人家は決して少なくはないのだが、田圃が広がり長閑な雰囲気だ。駅は1面1線の単線駅で、小さな待合室をもつ。
今回私は、飯田市から長野市まで鉄道で移動する際に当駅を“視察”した。田畑の中を列車が駆け抜け、やがて減速し始める。前方には真っ直ぐな線路と、それにそうホームが見えた。しかしこのような小駅など長時間停車することがあるはずもなく、誰も降りず誰も乗らず、列車は発車していく。
交換設備も側線も持たない棒線駅。そんな単純な駅こそ、じっくり“訪問”しなければならない。駅自体の視察は列車の停車時間中でほぼほぼ完了してしまう程度の規模だが、実際に降りて訪問しないと分からないことだってある。できることならまた再訪したいな…でもその機会はしばらく来そうにないかな…。こんなシンプルな駅にも魅力を感じてしまう、これは一種の「中毒」なのかもしれない(笑)。
※再訪が達成できましたら追記する予定です。
再訪日記
さて、この駅への再訪は、当分のうちは無いと思っていた。しかし長野県の上伊那地域(伊那市・駒ヶ根市とその周りの市町村)にある、この赤木駅と同じように「視察」だけで済まされていた駅を訪問していく「上伊那北部駅訪問旅」において、半ば無理やりだが当駅へも訪れられるようにプランを組むことができた。その行程というのは、「2つ隣の大田切駅から 途中の宮田駅をはさんで 当駅までを1時間のうちに歩く」という、無茶苦茶なものである。時間も足りないし、行程としてかなり強引なものである。今回は私1人での訪問旅だったので特に問題はなかったが、誰かが一緒だったらきっと呆れられたであろう。いや、そもそも駅訪問自体が、呆れられるようなものなのかも知れないが(笑)。
さて前置きが少々長くなってしまったが、こうしてこの駅へは隣の宮田駅から徒歩で到着した。線路と着かず離れずの距離で並走していた県道が急に線路の方へと接近して行き、その交差点に駅があった。
駅の前方は田圃、後方は住宅地といったところだろうか。なかなかに長閑な駅である。電車の出発時間ギリギリでこの駅に到着するはずだったが、余裕をもって歩けたので7、8分ほどの時間があった。その間、駅に1人の高校生がやってきた。
やがて踏切の音が聞こえてきて、私の乗る下り列車がやってきた。ホーム上から列車の撮影をしようとして気がついた。なんだこの駅、よく考えたらめちゃくちゃホームが狭いじゃないか! どうりでこの駅の待合室も薄っぺらい構造だったのか。このあたりは鉄道敷設時から、あまり土地を取れなかったのかな、なんて、かつてを偲ぶ。ここには、ただ駅に行っただけでは気が付かない、電車に乗ってこそわかる興味深さがあったのだ。
そうやっていろいろ考え込んでいる私を列車は乗せて行き、当駅〜沢渡駅間のJR最急勾配(40.0‰)を猛スピードで走り抜けていった…。