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【飯田線各駅紹介】76 伊那福岡駅

駒ヶ根市・伊那福岡駅。飯田線の銘所、「田切オメガカーブ」をイメージした駅舎をもつ。
毎朝、当駅までの普通列車が運行されている。
駒ヶ根方面からやってきて、しばらくすると回送列車として折り返していく。
駅舎は簡易的だが、2面2線の相対式交換駅である。

“工業色”の強い駅

 ここは長野県の駒ヶ根市にある、伊那福岡という駅だ。「伊那」というのは飯田線の貫く「伊那谷」地域全般を表し、路線内にも他にも多く「伊那〇〇駅」が存在する。
 一方「福岡」と言うのはこの地区の名前であり、この駅も地元では『福岡駅』と呼ばれることもある。駅周辺は工場が多いような印象で、駒ヶ根工業高校の最寄り駅でもあるため、“工業色”が強いと感じる。
 駅に着くとまず、特徴的な駅舎が目につくだろう。当駅と南隣の田切駅との間にある、飯田線の銘所「田切カーブ」をイメージして作られた駅舎である。田切〜伊那福岡間の線形が、ギリシャ文字の「Ω」を描いたようであることから、この駅舎も「Ω」の字を模したものとなっているのだ。なかなかのセンスの塊だなぁと感じるのだが、こんな簡易的な駅舎であるにも関わらず、駅は2面2線の交換駅となっている。その上、毎朝当駅止まりの普通列車が運行されている。こんな駅でも、運行上の重要な拠点となっているのだ。

 今回私は、飯田市から伊那市へ行く途中にて、立ち寄ることができた。飯田市を出るころは辺りは真っ暗だったが、隣の田切駅で下車した頃にはもう明るくなっていた。そこから歩いて「田切カーブ」を臨みながら中田切川を渡り、中央アルプスを臨む駒ヶ根の街中へやってきた。
 上伊那郡の南部を中心に訪問した今回の駅訪問旅も、この駅で最後となる。後続の列車まで、40分余りのゆったりとした時間。周りでは忙しい朝が始まっているが、私はこの特徴的な駅舎の中で、呑気に朝ごはんを食べていた。そう、起床からここへ来るまで、何も食べていなかったのだ。
 そんな中、やがて当駅止まりの普通列車がやってきた。多くの高校生が降りてきて、駅舎の脇を通り過ぎていく。駅前の工場からはもうすでに作業の音が鳴り始めていた。…

 そうだ、ここは人々の日常なんだ。
 当たり前のことなのだが、私の住む飯田市から30km離れた街の中、日常から掛け離れすぎた行動をしている自分が完全に部外者であると自覚したのであった…。

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