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【飯田線各駅訪問】45 温田駅
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山間に広がる日常
ここ温田駅は、長野県下伊那郡泰阜村に所在する駅だ。駅周辺には郵便局、警察署などが存在し、さらには天竜川の対岸には病院や高校などもあり、旧三信電気鉄道区間では最も利用客が多い。当然ながら特急も停車し、「都会」の部類となっている。そんな温田駅は天竜川対岸の阿南町の玄関駅であるのだが、なにしろその阿南町の人口減少が激しく、現在の利用は高校生の通学がほとんどを占めているようである。
さて、ここは私が目前にしながらもなかなか訪問できない駅であった。用事で阿南町へ行くことは幾度となくあったが、この駅へ訪問するチャンスは訪れることはなかった。そんな中、下伊那南部の駅訪問の最後に、隣の為栗駅から歩いて来ることで訪問を達成できた。
為栗駅は周囲に人家が存在せず、秘境度も素晴らしいものかと予想していたのだが、実際、駅から天竜橋を渡って対岸を暫く進み県道1号線へとやってきてしまうと、なんだか広々としていて車通りも多く、期待はずれな一面もあった。それでもめげずに県道を北上し、トンネルを3本抜けて、先に見える集落を見て、ようやく人の気配のあるところへ帰ってきたという安心感を覚えた。南宮大橋を渡って泰阜村へ入り、ようやくこの温田駅に到達した。
温田駅には、とあるお婆さんが何やら困惑した様子でいた。どうしたものかと思っていると、小銭が丁度なく、列車を降りる際に車掌氏に、「運賃はあとできっぷ回収箱に入れておいてくださいね」と言われたらしい。私は彼女と両替して、彼女は運賃を無事に支払うことができた。
お礼を言われたついでに少し話をした。私が鉄道ファンだと話すと列車で来たのかと訊かれて、「隣の為栗駅から歩いて来ました」と返すと大いに驚かれてしまった。両隣の為栗駅・田本駅は共に秘境駅として非日常空間が繰り広げられているが、この温田駅には、確かに、人々の日常があった。
訪問日:
2023年03月17日
北隣・田本駅のページはこちら↓
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