見出し画像

難病患者の「働きたい」を支える社会へ—雇用制度の壁を超えるために—

難病患者の「就職が難しい」という切実な声


本日、地域を回る中で、難病を抱える方々から「就労が難しい」という切実な声をいただきました。現行の「障害者雇用率制度」では、企業に対して一定割合の障害者雇用が義務付けられています。しかし、障害者手帳を所持していない難病患者の多くがその対象外となり、不利な状況に置かれています。この問題は、東京新聞の記事でも詳しく報じられています。

制度の「狭間」にいる難病患者たち


「障害者雇用率制度」では、視覚・聴覚・四肢の障害など、特定の機能障害が「永続的である」ことが条件とされています。しかし、難病患者の症状は一定ではなく、悪化と回復を繰り返すケースが多いため、障害者手帳の交付基準に該当しないことが少なくありません。その結果、多くの難病患者が雇用制度の対象外となり、働く機会を制限されています。

「病名を知られたら働けない」—厳しい現実


2020年に行われた難病患者への調査では、約78%の方が「病気が理由で採用されなかった」と回答しました。ある全身性エリテマトーデスの20代女性は、面接で病気のことを伝えた瞬間に採用を見送られた経験を語っています。「難病であることを隠さなければ働けない」という現実に、多くの方が苦しんでいます。

新たな支援策「登録者証」の発行—公明党の尽力で実現


この問題を受け、2024年4月から「登録者証」制度が開始。公明党が推進してきたこの制度は、医療費助成対象外の軽症者も就労支援や福祉サービスを受けやすくするための新たな証明書です。

これまでは診断書の提出が必要だったため、患者側の負担が大きく、医師の手間や費用もかかっていました。しかし、登録者証の発行により、ハローワークでの就労支援を含め、さまざまな福祉サービスをスムーズに受けられるようになります。

また、登録者証の申請時に難病データベース(DB)への登録同意を取る仕組みも導入。これにより、難病研究や新薬開発のためのデータが充実し、治療法の確立につながると期待されています。

東京都の取り組み—就労支援の現状


東京都では、難病患者の就労支援として以下の取り組みを行っています。

• 難病相談・支援センターでの就労相談

東京都難病相談・支援センターおよび東京都多摩難病相談・支援室では、難病患者就労コーディネーターが就労に関する相談を受け付けています。これにより、難病患者の方々が抱える就労に関する悩みや疑問に対応しています。  

• ハローワークでの専門的な支援

ハローワーク飯田橋およびハローワーク立川には、難病患者就職サポーターが配置されており、症状の特性を踏まえたきめ細やかな就労支援や、在職中に難病を発症した方の雇用継続などの総合的な支援を行っています。  

• 企業への奨励金制度

東京都は、難病やがん患者の治療と仕事の両立に積極的に取り組む企業を支援するため、「東京都難病・がん患者就業支援奨励金」を設けています。この奨励金は、難病やがん患者を新たに雇用したり、休職後に復職させた中小企業に対して支給されます。  

求められる制度の見直しと柔軟な雇用環境


患者団体や支援者からは、難病患者を障害者雇用率の対象に含めるよう求める声が高まっています。福岡市の「就労支援ネットワークONE」の中金竜次代表は、「難病患者の中には、障害者として認定されないものの、生活上の支障が大きい方がいる。実態に即した制度の見直しが必要だ」と訴えています。

政府も制度見直しを検討へ—しかし課題は山積


政府もこの問題を重視し、難病患者の実態調査を行った上で、来年度以降に制度や運用の見直しを検討する方針を示しています。しかし、具体的な改善が実現するまでには時間がかかる可能性があり、当事者の声を届け続けることが求められます。

すべての人が働ける社会へ—共にできること


私たち一人ひとりが、難病患者の方々の就労環境の改善に向けて関心を持ち、企業や行政に働きかけることが重要です。また、東京都の取り組みを活用し、地域全体で支援の輪を広げていくことが求められます。私、いいだ健一も、こうした声を大切にし、すべての人が自分らしく働ける社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

いいなと思ったら応援しよう!