
ジェンダー平等を掲げる私が【女性限定】コミュニティに拘る理由
こんにちは。
株式会社Kanatta代表取締役社長の井口恵です。
今日はいつもよりちょっと真面目な話を。
ドローンジョプラスをはじめとする女性限定コミュニティを運営し始めて、もうすぐ5年が経ちます。
株式会社Kanattaを立ち上げた2016年当時、『ジェンダー平等』という言葉や、SDGsについて知っている人はごくわずかでした。
ところがここ数年、特に直近の1年間で流れはかなり変わり、山手線がSDGs一色になるキャンペーンが実施された辺りからSDGsおよびその5番目の目標である『ジェンダー平等』という言葉が一般的になってきました。
有名になるとポジティブな影響がたくさんある反面、批判的な意見ももちろんあります。
特にジェンダーやダイバーシティという分野は、ちょっと表現を間違えると誤解を招きやすく、すぐ炎上するので、私も色んな場面でお話しする際にはかなり繊細になるのが正直なところです。
そんな中、私がよく聞かれる質問がこちらです。
「ジェンダー平等と言いながら、なぜKanattaのコミュニティはすべて女性限定なのですが?」
揚げ足を取ろうとして質問される方もいれば、ジェンダーを語る上でいつも女性の権利ばかりが主張されているというご意見を持たれた上で質問される方もいらっしゃいます。
今日はこちらの質問について、私の考えをお話しできればと思います。
Kanattaの女性コミュニティ
Kanattaで運営する女性コミュニティには、
・ドローンジョプラス
ドローンの魅力を発信する女性コミュニティ。
・コスモ女子
「宇宙を身近に」をテーマに、宇宙業界に携わる女性を増やすために立ち上がったコミュニティ。
・エシカルガール
SDGsやエシカル、サステイナブルという価値観を世に発信するための女性コミュニティ。
の3つがあります。
3つのうち、まずドローンジョプラスとコスモ女子についてお話しさせていただきます。
実際に女性が少ないという事実
私がドローンジョプラスとコスモ女子の2つの女性コミュニティをはじめようと思った理由は、実際にその業界で活躍している女性が少ないためです。
ドローンに関しては正確な数字を示すことができないのですが、私の感覚だとドローンパイロット(操縦士)の8−9割が男性です。
ドローンが日本に導入された当初、真っ先に飛びついたのがラジコン世代の男性の方々だったという背景が影響しているようです。
また、宇宙業界に関してはいつもJAXAの資料を引用しているのですが、JAXA職員の女性割合が19%(2020年4月1日時点)ということからもわかる通り、やはり男性の方が多い業界です。
(出典:https://www.jaxa.jp/about/org/index_j.html)
このように歪なジェンダーバランスのドローン業界と宇宙業界ですが、今後数年、または数十年で市場規模が5倍にも10倍にもなると言われています。
そんなビッグチャンスが訪れることが分かっている中で、今のジェンダーバランスのままではもったいない!
確実に成長すると言われている分野で活躍する女性を増やすことで、女性の社会進出に貢献したい!
という思いから、女性がまだまだこれから活躍できるチャンスがある二つの業界で女性コミュニティをつくることにしました。
男性がいたらダメなのか
上記のような理由から女性コミュニティを立ち上げたのですが、
「別に女性に限定しなくてもよいのでは?」
「興味があるのですが男性は参加しちゃダメなんですか?」
というご質問をいただくことがあります。
実際このようなご質問をいただいた際にかなり悩んだ時期もありました。
女性の活躍を支援することは決めているけど、そのためにわざわざ男性を排除する必要はあるのだろうか?
とか
ビジネス的な観点だと、女性に限定することで市場のパイが半分になってしまうのではないか?
とか。
ただ、色々考えた結果やっぱり女性限定コミュニティにしようと決めました。
理由は、女性がマイノリティである業界で頑張っている各コミュニティメンバーのみなさんが、一番力を発揮しやすい環境を作りたかったから。
というのも、実は女性が一番力を発揮しやすいのは女性しかいない環境だと言われています。
学校で言うと「女子校」です。
特にドローン業界や宇宙業界で活躍したい女性に関しては、他のイベントや会合に行くと周りはほとんど男性。
また、女性グループの中で自分の趣味のドローンやロケットの話をしても、あまり理解されない人が多いようです。
そんな中、ドローンジョプラスやコスモ女子は、普段そのようなマイノリティになってしまっている人たちが集まっているコミュニティなので、
「こうやって自由に発言できる場所が欲しかった!」
「今まで自分が好きなことについて話せる人が周りにいなかったけど、同じような想いを持つ仲間ができて嬉しい」
など、嬉しい声がたくさん上がってきます。
そのような声を直接聞く中で、やっぱり【女性限定】にこだわる必要があるなと感じました。
ただ、そうやって女性だけで立ち上げてきた中で、ここは男性の力も借りたいな、とか、このイベントはぜひ男女関係なくいろんな人に参加して欲しいなと思う場面も増えてきたので、今では柔軟に男性も参加できる機会を設けています。
もちろん、男女やジェンダーという切り口でいつまでも分けたい気持ちがある訳ではないので、ドローン業界や宇宙業界で活躍する女性がどんどん増えて、ジェンダーで分けることがナンセンスになる状態が私の理想です。
そうなったら女性限定コミュニティの存在意義は今ほどなくなると思うので、違う形のコミュニティになっているかも知れませんね。
女性がほとんどの消費の意思決定をしている
女性が圧倒的に少ないドローン業界や宇宙業界に対して、エシカルガールが推進している「エシカル」や「サステイナブル」という価値観や、特に発信している「エシカル消費」については、ジェンダー関係なく大事なテーマです。
ではなぜエシカルガールという女性限定のコミュニティにしたのかというと、「エシカル消費」の大切さを世の中に浸透させるためには、女性にアプローチする必要があると感じたからです。
実は、消費行動の意思決定のほとんどは、女性が行なっているという事実があります。
下記の記事を読むとわかる通り、家庭内の購買が特に顕著で、なんと購買決定権の約9割を女性が握っているそうです。
このようなデータから、Kanattaが目指す「一人が100%エシカルな生活をするよりも、みんなが普段の生活の1割をエシカルに」というビジョンを達成するには、女性にエシカル消費の重要性を知ってもらう必要があると感じました。
そこで、女性に届けたいなら同じ女性目線で発信した方が説得力があるだろうという背景や、自ら発信する中でその大切さをより理解してもらいたいという想いから、エシカルガールも女性に限定しました。
とはいえ、エシカルガールもドローンジョプラスやコスモ女子と同様、最初は女性だけで立ち上げたものの、今では男性の力もたくさんお借りしています。
中にはエシカルガールの活動を応援したいから男性だけど何かできることはないか、と自ら問い合わせてきてくださる方もいました。
そうやって今では色んな方々が携わってくださっているエシカルガールですが、こちらもいずれ「ガール」に限定しなくてよくなることが私の目標です。
実際、家庭内の購買決定権の約9割を女性が担っているのは、女性の方が買い物などの家事をする時間が多いことが影響していると思われます。
下記のデータからわかる通り、日本は無償労働時間(家事や育児などをする時間)の男女差が激しく、女性が1日あたり224分であることに対して、男性はなんと41分という驚異的な短さなのです。
(一方で有償労働時間の長さは日本人男性がOECD諸国の中で圧倒的1位です。)
よって、この差がなくなれば、男性も女性も同じように家事をすることになって、私たちが女性にアプローチする必要もなくなるのではないかと思っています。
まとめ
以上が私がジェンダー平等を掲げつつ、女性限定コミュニティを運営している理由です。
まとめると、ジェンダーの差がなくなり、女性に限定する必要性がなくなることが私のビジョンです。
ビジョンの達成とともに自らが運営しているコミュニティの存在意義がなくなってしまうという矛盾はありますが、そうなるころには次のビジョンに向かって邁進していたいなと思います。
まずはジェンダー関係なく、みんなが活躍できる社会を実現するためにいま私ができることに集中していきます。
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