【マーケ基礎】心の無い挨拶は騒音。
大型の書店、リサイクルショップ、
ドラッグストアが、やたらと元気な大きな声で
「いらっしゃいませぇ、こんにちはぁ〜」
と、挨拶するようになりました。
良いことのように思われますが、実は違うのです。
お客さまの存在を確認すると、
その確認した人がまず大きな声で、
「いらっしゃいませぇ、こんにちはぁ〜」と言います。
すると、別の売り場にいた店員も、
同じように大きな声で挨拶します。
オウム返しです。
最初に声を出した人は、そのお客さまの方を見て、
挨拶しているわけではありません。
いることを確認しただけで、お客さまを見ることなく、
作業を続けながら、大声を張り上げているだけです。
他の店員は、最初の声が聞こえてきたら、
同じように作業を続けながら、大声を出します。
お出迎え、おもてなしの心など、まったくありません。
“カタチだけ”なのです。
しかも、こうしたお店の悪いところは、
誰かリーダー的な存在の人間が声を出すことに
決まっているかのような、
同じパターンを繰り返すことです。
だから、まったく別の店員に近づいても、
その店員は挨拶さえしません。
遠くで聞こえた声にだけ反応するのです。
そういうマニュアルなのでしょうか。
挨拶は、人を見てするものです。
身体を向けなくても、
せめて顔はお客さまに向けなくてはいけません。
商売には関係なく、人として礼儀だと思うのですが。
ここで、リサイクルショップの「ブ○クオフ」の話を。
私は、古くても役立つ本は、
リサイクルブックをまとめ買いします。
ある日、大阪の繁華街にあるこのお店で
本を見ていた時のことです。
例によって、心の無い挨拶が
うるさいくらいに店内に響いていました。
店員が忙しそうに早足で動きまわっていたのですが、
そのうちのひとりが、
私の横を早足で通りすぎようとした時に、
“ムカッ!”とすることがありました。
私は手に一冊の本を持って、棚を眺めていたのですが、
その店員が私の手に当たり、本が床へ落ちました。
店員は謝るかと思ったのですが、
そのまま通りすぎていきました。
私は、気がつかなかったのかなと思いながらも、
腹を立て、ゆっくりと本を拾い、その店員を見ました。
すると、私の視線に気づき、
「すいません」と言ったのです。
ビックリしました。
謝るということは、当たったことに気づいていたのです。
なのに、黙って行ったのです。
信じられないことを平気でやっているのです。
私が見なければ、謝らずに済ますつもりだったのです。
その店員を後から見ていると、
他の店員に指示を出している
リーダー的な存在だったのです。
そんな人間のお客さまへの対応が、これです。
それで、人の上に立てるのでしょうか。
カタチばかりの教育や
間違ったマニュアルに頼っていると、
こういうことになるのです。
会社の姿勢の問題でもあります。
人を見て、あいさつをする。
迷惑をかけたら、謝る。
人間として、
あまりにも基本的なことができていない世の中です。
商売をしている人は、
特に気をつけていただきたいものです。