ビジネスは、早い者勝ち? 遅い者勝ち?
ランドセル商戦が、春休みから始まっている。実に早い。早過ぎて、来年新入学という実感がなく、間が抜けた感じがしなくもないが、まぁ戦略としてはアリかもしれない。
ファッション業界では、2シーズン以上前からアプローチを開始する。夏の水着は、遅くとも前年の冬には紹介される。お中元・お歳暮商戦も年々早くなっている。
こう考えると、ランドセル業界の「早め早め戦略」は、特に珍しいことではない。厳しい世の中、競争を勝ち抜くためには、早く仕掛けて、早く取り込むことがカギとなっているのだろう。
だが、企業としてはかなりの消耗戦ではないか。戦いが長期化すると、いつまでも同じ商品に関わっていなければならないので、別の商品に注力できない。また、早くから商品を揃えるので、ロスも多くなる。商戦終了後の在庫に頭を抱えることとなる。
だからといって、戦いを傍観しているわけにもいかず、参戦する他ない。戦いに巻き込まれず、勝利を手にする方法はないものか。
実はある。直営店を持つ、あるファッションメーカーは、街にバイヤーを出させ、その時季に流行っている服、すなわち多く見かける服を調査させ、そのデータをもとに服をデザインするのである。それを超特急で海外の生産拠点に発注し、すぐさま店に並べている。つまり、確実に売れる服だけを作り、売っているので、ロスが少なく、「流行の服を扱っている店」としても人気を得ている。これほど無駄のない戦略はない。
また、子ども服のショップでは、北海道から沖縄までの支店をうまく活用して、成功している。夏は、まず沖縄の店でよく売れる商品を調査し、その商品を増産して、九州の店のラインアップとする。つまり、季節は北上するので、一番早く夏となる沖縄の売れ行きを見て、商品構成を変えるのである。季節の北上を利用することで、確実な今年の売れ筋がわかるということ。冬は北海道から始まる。よく考えられた戦略である。
このように、シーズンに突入してから商品を生産する戦略もある。「遅め遅め戦略」で、非常に効率の良いビジネスを展開している。
早い方が良いビジネスもあれば、遅い方が良いビジネスもある。どちらが健全な経営体質かは、言うまでもないだろうが。