お店の「顔」づくりは慎重に。
店舗の外観や店主も顔のひとつですが、
ここでは、お店の店名文字のデザインや
シンボルマークのことをお話しましょう。
「店舗VI計画」などと難しく言うこともあるほど、
重要なポイントなのです。
VIとは、ビジュアル・アイデンティティの略で、
企業やお店が、自らのコンセプトを
店名の書体やマークなど、
視覚的なツールに反映させて、
内外にアピールしようというものです。
つまり、店名の文字やマークは、
お店のイメージづくりはもちろん、
競合より目立つための
大切な経営資源だということです。
現在のように、
モノによる差別化が困難になってくると、
買い物の喜びとか、どんなお店で買ったか、
どんなお店で飲食したか、というような
お店の“感性”が問われるようになります。
売り上げが落ちてきたお店が、リニューアルとともに、
ロゴ・マーク(シンボルマーク)を変えたら、
突然お客さまが増えたということだってあります。
商品の中身を変えずに、パッケージを変えただけで、
売り上げが倍増したということも。
視覚的な要素が、
お店の繁盛を左右すると言っても過言ではありません。
こういった考え方は、
大手企業では当り前のようになっていますが、
個人商店ではまだまだ遅れています。
良いモノを売れば、
美味しいモノを出せばお客さまは来てくれる、
と考えている方も多いでしょうが、
そんな時代ではありません。
絶対に他には負けない、
という大きな自信があるのなら大丈夫でしょうが、
“そこまでは……”という程度なら、
この「VI」をちゃんと考えなければいけません。
お洒落なお店で買った、
粋なお店で飲んだ、感じの良いお店だった……
というような『満足感』を与えることのできる
お店でなければ、いまの時代の成功はありません。
そのためには、ロゴ・タイプ(文字デザイン)と
ロゴ・マーク(シンボルマーク)の重要さを
認識しておくべきです。
お店の外観や内観を決める際にも、この「ロゴ」を
イメージの中心に持ってくることが大切です。
ストア・コンセプトをカタチにしたのがロゴですから、
それが決まれば、他のことも自然に決まっていくのです。
そうは言っても、
私はプロじゃないし、絵を描くことは苦手だし。
どうすればいいの?
と思われることでしょう。
専門家に依頼するのが早道ですが、お金がかかります。
お金をかけてでも良いモノを創ることは大切ですが、
お店のことを一番理解しているのは、自分自身です。
できれば、自分で考えたいところです。
イメージの方向性だけでも、自分で考えておきましょう。
最終的な仕上げだけをプロにまかせればいいのです。
何をどうしていいのかわからない、という方へ。
自分が理想とするお店、イメージが近いお店、
同じような商材のお店を見て歩きましょう。
そこの「ロゴ」を写真に撮るなり、
メモしておいて、集めるのです。
そのままマネするわけにはいきませんが、
方向性ぐらいはつかめます。
この段階で“こんな感じ”と
プロに依頼することもできます。
でも、やはり自分で、
落書き程度でもいいから考えてみることをお奨めします。
結構楽しい作業ですし、こだわることで、
さらなる意欲につながるのではないかと思います。
もうひとつ、ロゴを集める方法があります。
大きな書店に行くのです。
なければ、ネットで。
「マーク・シンボル・ロゴタイプ」というような本が、
いくつかあります。
4~5000点のロゴが集められています。
これを見て、イメージの近いものを探せばいいのです。
ただ、この手の本では、業種・業態はわかっても、
お店の雰囲気までは載っていませんので、
自分のイメージするお店と合うかどうかを考えながら、
方向性を探ってください。
プロに依頼するにせよ、自分で創るにせよ、
途中で検討会を開きましょう。
実際にターゲットとしている
職種・年齢層・性別の人たちに見てもらい、
反応を確かめるのです。
自分の考えるお店のイメージが
もっとも伝わってくるデザインはどれか。
自分ひとりで判断すると、
単なる好みになってしまいますから。
ここで判断してもらう基準は、
●時代性を持っているか。
●業種らしさを感じるか。
●お店のオリジナリティがあるか。
などですが、一番大切なのは、
■お客さまにこんなイメージで見られたい。
という、
しっかりとしたビジョンに沿っているかどうかです。
これを目標に、最終的なデザインを決定します。
ロゴ・タイプ、ロゴ・マークは、看板だけではなく、
包装紙やショッピングバッグ、帳票類、広告、名刺など、
あらゆるところで、お店の顔として登場します。
それだけ、お客さまの印象に残りやすいものだ
ということを忘れないで、大切に考えてください。