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生産者と消費者が直接繋がる。

牧場が営むステーキハウス。酒蔵が営む居酒屋。漁師の活け魚料理店。こうした直営店が増えている。大手メーカーも積極的に参入している。

この動きは、これまでほとんど直接的な繋がりが無かった、生産者と消費者が互いに引き寄せ合った結果である。消費者は、より新鮮なもの、安全なもの、本物を求め、生産者は、消費者の生の声を聞き、直接語り掛けたかったのである。

そしていま、問屋・卸しといった、流通のひとコマが不要になりつつある。裏を読めば、生産者と消費者が直接繋がることで、中間コストが無くなり、生産者は儲けが多くなり、消費者は安く買えるようになる。

大手スーパーなどは、生産者からの直接買いつけや自社農場などによって、この動きを加速させている。「メーカー直」は、ますます多くなるだろう。

辛子明太子のメーカー「やまや」はよく知られているが、ちょっとユニークな直営店を持っている。明太子を販売する店ではなく、もつ鍋屋である。ここでランチを食べる人は、やまやの辛子明太子が食べ放題となる。

「もつ鍋」という別業態を展開しているのだが、圧倒的なファンを確保している辛子明太子を食べ放題にすることで、これまでのファンを呼び込み、別業態を下支えしようとしている。

また、新規客を取り込みやすいランチで、食べ放題にすることで、宣伝効果も大きくなっている。確実にやまやの辛子明太子ファンを魅了する、ウマい戦術だと言える。

これも直営店の可能性のひとつである。直営ゆえに、あらゆるチャレンジが許される。

少し前の事例で言えば、東京駅の「東京おかしランド」。ここでは、グリコの“できたて”チョコレートやカルビーの“揚げたて”ポテトチップスを買うことができる。これ以上の新鮮さは他に無い。話題性も十二分。たくさんの客が押し寄せている。

産直、メーカー直、生産者の顔……時代が求めるキーワード。生産者は、より良いモノを作るだけではなく、消費者にどう売っていくのかも考えなければならない。

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