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【マーケ基礎】高額商品を買う理由。
私は、牛革張りのリクライニングチェアを
衝動買いしたことがあります。
庶民感覚の私が、10万円を超す椅子の購入を
10分足らずで決めてしまったのです。
自分でも驚きの行動でした。
では、なぜ、そんなことをしたのでしょうか。
本当は、3〜4万円の小さなソファを見に行ったのです。
しかし、購入した椅子が眼に入ってきて、
何も考えずに座ってみたのです。
“ムムッ、これは!”と、
あまりにも身体に馴染んでいることに、
感動すら憶えました。
すぐに欲しくなりましたが、衝動買いには少し高額です。
しばらく座っていました。
じっくり考える時間が、私に与えられたのです。
何が言いたいのかというと、
店員さんがまったく近づいてこなかった、
ということなのです。
普通のお店なら、悩んでいそうなお客さまがいたら、
何かしら声をかけてきそうなものです。
しかし、このお店の店員さんは、
私が悩んでいる時間と空間を、
そっとしておいてくれたのです。
まわりにいないわけではありません。
座っている間、考えていたのは、
自分の部屋にその椅子を置いて、
自分が何をしているかを想像していたのです。
椅子をリクライニングにして、
ジャズを聴いている私がそこにいました。
完璧に、自分に酔っていました。
これはもう、買わなければいけないなぁ、
という感じです。
私は店員さんに声をかけ、購入してしまったのです。
しかも、それは受注生産しかしていない、
本格的・本物の椅子だったのです。
これがまた、私を満足させました。
ここで、本題です。
私は、座っている間、買う「理由」を探していたのです。
つまり、何のために買うのか、です。
人は、特に高額商品、贅沢なものを買う時は、
自分を納得させる理由が必要なのです。
理由さえ見つければ、それまでためらっていた、
大きな買い物ができるようになります。
私の場合は、
「かっこいい自分に酔いしれることができる」
というバカげた理由でしたが、
「自分へのご褒美」や「○○の記念に!」
という理由があれば、誰もが贅沢を躊躇しなくなります。
お店の側から考えれば、
お客さまが買う「理由」のヒントを
あらゆる角度から提供すれば、
購入を決定していただけるのです。
それは、私が行った家具店では、
“そっとしておく”ことでしたが、
ディスプレイやPOPなどで、
“こんな方に、こんなスタイルを”
という語りかけをしても、良いかもしれません。
単に、商品の良いところを強調して売るのではなく、
その商品を手に入れることで、
ライフスタイルがどう変わるのか、どう楽しめるのかを
お教えすることが大切なのです。
それを見たお客さまが、
自分自身で想像するように働きかけると、
提案されたライフスタイルを目指そう
という気持ちになるのです。
お客さまに「買うための理由」を提案してみてください。
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