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フジテレビ事件、日産・ホンダ統合破棄に見る「人事権」

こんにちは、100人以下の中小企業にむけた人事・組織コンサルティング会社「IGNITE HORIZON」です。

フジテレビの一件がまだ火消しされない中で、日産とホンダの経営統合が破棄されたというニュースが入ってきましたが、共通点として「人事権」が組織の中で権力を持つのに非常に重要ファクターだと感じましたので、記事にしました。

なお、フジテレビの一件については、「組織が社会に適合できずに破滅していく」として別記事にまとめていますので、お時間あるときにぜひそちらも御覧下さい。


権力争いは「人事権」の奪い合い

フジテレビの人事権を握っていた日枝久氏

私はフジテレビの沿革や組織闘争などの歴史に詳しくはありませんが、今回の一件で至るところで取り上げられるようになっているため、自然と詳しくなりました。

フジテレビは株式会社フジテレビジョンの呼称で、東証プライム上場企業でありますが、産経新聞やニッポン放送など同系列のメディアとともに、フジサンケイグループという大きなコングロマリットの傘下に入っています。

そのフジサンケイグループの代表が日枝久氏、傘下の企業の人事権を全て握っていたとされており、フジテレビの影の天皇と言われていたそうです。

今回の騒動では、人事権を持つ日枝氏に自分を次期社長にしてもらうべく取り入ったり、またバックに日枝氏がいることで社内での問題がもみ消されたりなど様々な社内政治が動いた結果、今回の事件の下地となる文化や手法が変えられなったのだと思います。

つまり、一人の人間に人事権が集中している状況下では、「事業を成長させる」より「権力者に取り入る」方が出世の道が早いと従業員が気づいてしまい、企業の中で優先順位の逆転が起きていたと言えます。

2022年には早期退職制度により、第一線でコンテンツを作っていた優秀なクリエイターやディレクターが多く退職してしまったと言います。このままここに居ても出世できない、使い捨てられると気付いた現場社員が早期退職制度で逃げてしまい、コンテンツのクオリティを担保できなくなったことから考えても本当に間違った施策だったと言えます。

さらに、人事権を持つ人間は自分の立場を脅かす優秀な部下を排除できる立場にありますので、自分の身の保身のために人事権を悪用してしまえば、事業が弱体化してしまうことは自明の理でしょう。

フジテレビの一件は、人事権を長きにわたり保有してきたことによる膿が一気に噴出した事例として学べるものがあります。


人事権を取られたくなかった日産

一方、日産・ホンダの破談では、理由の一つに挙げられているのが「日産がホンダの子会社となることを拒否したため」と報道されています。

建前上は「日産の救済統合ではない」と両者のパワーバランスの対等性を押し出していましたが、時価総額で比べると実態はホンダの方が日産を大きく上回ります。

さらに、日産の背後には台湾の電機大手会社、鴻海(ホンハイ)が日産の経営参画を狙っており、ここでホンダと手を組まないと自分たちの身に危険が迫っていることは日産側も重々承知だったでしょう。

ホンダは日産に経営再生プランを求め、日産は9,000人リストラ策という策を打ち出したものの、ホンダが納得できるレベルではなかった。ホンダには経営刷新が確実になされない日産と統合するメリットが薄いということです。

そこで、ホンダは日産を子会社化し、経営刷新に乗り出そうとしますがそこで日産のNGが出たというわけです。

子会社化するということは、つまり人事権を他社へ渡すことに他なりません。

日産が自分たちの置かれている状況が分かっていないと言われている理由の一つに役員報酬が挙げられています。選出された役員の報酬金額は、時価総額が高いホンダの総額17億円に対して、日産は総額29億円。ホンダの子会社になってしまえば、役員人事改正により日産出身の役員の大量退任は避けられないでしょう。

日産は泣きついてでもホンダに経営統合を求めなくてはいけなかったはずですが、従業員のリストラは実行できても、そんな状況を差し置いて優先した人事権。組織の運転席には人事権があることがよくわかる事例だと思いました。


IGNITE HORIZON(イグナイト ホライズン)

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