家事代行を頼んでみたらこころがほどけた話
育児休暇から復帰して一年
家の片付けができなかった
アレルギー持ちの息子のためにも
隅々まで掃除をしたいのだが、できない
片付かないから料理も面倒に感じていた
家事代行の存在は知っていた
依頼できるところを調べて予約する、簡単にそうに思える作業すらできなかった
掃除したいけど物は多い
息子が絶え間なく散らかす
夫の帰りは毎日遅い
平日は家事を分担することは諦めていた
ある日、限界を迎えた
睡眠不足も重なり仕事も集中できなかった
育児、仕事、家事すべてに行き詰まり、苦しい
すがるような思いでシルバー人材センターに電話をし予約をした翌週
優しそうなY子さんが来てくれた
Y子さんは家にあがるなり
使う洗剤や掃除をして欲しい箇所など最低限を私に確認したら三角巾を頭に黙々と掃除を始めた
在宅勤務の私はその間いつも通り仕事をしていた
開始から二時間半後、顔を上げると久しぶりに見た整ったリビング
布団を上げた和室
畳まれた服たち
「次回は割り箸が欲しいわ。お風呂の隅っこを掃除したいの。使い古しの歯ブラシもあるとうれしい」
「晴れの日がいいわ、雨が降ったら翌日に変えましょう」
そう言ってY子さんと次回の日取りを決めた
Y子さんが帰ったあと
キッチンに目をやると
光の反射するステンレスのシンク、汚れのないガス台が美しかった
それは家事をこなす憂鬱から解放された瞬間だった
ああ、料理したい
久しぶりにそんな気持ちが自然とわきあがってきた
やらなくちゃ、でもできない、、、とがんじがらめになっていたこころが
ゆるゆるとほどけていった
それ以来、頻繁ではないけど継続的にお願いしている
Y子さんのことを家事代行、という言葉では片付けたくない
シルバー人材もしっくりこない
頼れる人がいるうれしさを
Y子さんが来るたびに感じている