都は石神井川上流地下調節池の補助申請資料を「廃案」にしていました。
令和6年5月28日、石神井川上流地下調節池に関し、東京都が国に補助採択を受けるために申請した資料が開示決定されました。
1⃣ 石神井川大規模特定河川事業の事業計画について(5建河計第403号)
2⃣ 石神井川大規模特定河川事業の事業計画の取り扱いについて(通知)(5建河計第428号)
の2点です。
1⃣ は、都が国に補助採択を受けるための資料です。この資料の採択要件に「700億円」とあります。これによると、都は国から350億円の補助をもらう予定だったようです。つまり、都としては、500億円ではなく、650億円を都の税金から使おうとしていました。
実は小池都政になって、「国土強靭化推進基金」が作られ、たとえば、令和6年度は、1930億円を取崩しています(令和6年度予算東京都予算案の概要)が、都はこうしたところから財源を捻出しようとしていたということです。都は、都独自財源として、650億円もの巨額の支出を予定としていたことが判明しました。とても気合が入っています。
また、2⃣は、国にコストの金額の誤りを指摘された都が、その申請資料を「廃案」としていたことを示す資料です。つまり、補助金採択は「保留」になったと読売新聞(4/9)でも報道されましたが、保留ではなく、都はその申請資料を「廃案」として廃棄していました。
つまり、現時点で、都から国への申請は無効、なにも無い状態です。都は、補助採択を受けたいなら、改めて新しく申請書類を作成し、一から国に申請する必要があります。
珍しいことです。私が委員会で指摘しなければ、今頃、このたった4枚の申請書類で、国から350億円の補助をするっと受けていたと思うと、ぞっとします。都は廃棄に至るようなこんないい加減な資料を作っていたのかということにも、改めて驚きです。しかも、「文書の廃案ついて」と、「に」が抜けており、公文書なのに表題に誤字があります。担当者は大丈夫かと思います。
※ なお、補助採択申請書類が「廃案」ということで、事業の計画や認可は変更ありません。
今後、都はB/Cを再計算して、専門家委員会にかけるので、当初の予定より遅れが生じる見込みですが、住民の方からも「今後、工事がどうなるのか」と心配の声が届いていますが、私も都に確認していますが、未だ、都からは回答はありません。
そもそも、小池都政のもとで、国の国土強靭化計画に負けるとも劣らない「TOKYO 強靭化プロジェクト」が着々と進んでいます。小池知事は、「100年後を見据え」とよく言いますが、100年後には人口が半分になると言われています。このまま総額17兆円の事業を進めて良いのでしょうか。
必要な事業を整理して、必要な事業に公共事業を縮小化していく、私たちには、そんな議論や作業が必要なのでは無いでしょうか。
引き続き、注視します。
【6月14日追記】
都が国に申請した申請書類のうち、問題があると思われる点を赤字で追記しました。
知事肝煎りの調節池事業(TOKYO強靭化プロジェクト16兆円)がこんなにも杜撰で、都は大丈夫なのだろうかと思います。