【伊賀牛】の血統について、お話したいと思います。
皆さん、「子牛登記」をご存知ですか?
言うなれば「子牛の血統書」のことです。今回はこの登記についてご紹介します。
1.子牛登記とは
🔼こちらは、当店で仕入れた伊賀牛の子牛登記です。
もちろん、一般のお客様がこの登記を目にされることはほぼ無いと思います。
この登記の中には、主に次のような内容が記載されています。
●子牛の名前と生年月日
●父牛、母牛とその父母牛…の3代前までの血統 等の情報
●繁殖農家の方の氏名
●その牛の鼻紋
●個体識別番号 等々
それでは、この子牛の登記についてご説明します。
(1)そもそもの歴史
和牛の登録事業は、大正9年から10年にかけて各県で始まりました。
現在では、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種の和牛が各家畜登録機関により、それぞれ登録されています。
(2)和牛のトレーサビリティ
すべての子牛は産まれると牛トレーサビリティ法に基づき出生届を行い、10桁の個体識別番号が印字された耳標が付けられます。子牛は登録のための検査を受け、合格すると子牛登記証明書が発行されます。
トレーサビリティとは、ある食品に関して、食中毒や異物混入など健康に影響を与える事故などが発生した際に、問題のある食品がどの経路で流通したのか(追跡)、またはどこで問題が発生したのかを遡及〈そきゅう〉して調べることができるシステムのことです。
(3)それぞれの項目
①名前
雌雄が分かりやすいように、雄(オス)は漢字、雌(メス)はひらがなで付けられています。
②血統
子牛登記証明書には、二代祖までの父牛と母牛の名前、三代祖の父名が記載されています。
③鼻紋
鼻紋は、その牛固有のもので人間で言うところの指紋のようなものです。本牛と登記証明書の牛が同一であることを証明するために添付されています。
④個体識別番号
平成15年12月1日より施行された牛トレーサビリティ法により牛一頭ごとに管理されています。
繁殖農家➡肥育農家➡家畜市場➡と畜場と、牛に関わる各段階での事業者が、牛の個体識別番号ごとに、その都度異動の届出を行うことで、牛の生産履歴が記録されます。
と畜された後は、牛肉の流通において個体識別番号を検索すると、いつ、どこで産まれた牛で、どこで飼養されてきたかを確認することができます。
※出典:農林水産省
2.牛の血統
よりよい肉質の肉用牛を数多く残すことができる種雄牛(しゅゆうぎゅう)は、非常に人気が高く重宝されます。
例えば、この子牛の祖父に当たる【勝忠平(かつただひら)】という種雄牛ですが、非常に良い肉質の子孫を残す血統を持っており、とても人気があります。
また、その父に当たる(この子牛の曽祖父)【平茂勝(ひらしげかつ)】という種雄牛は『名牛』と称される和牛業界を代表する牛です。
想像出来ないですが、この名牛【平茂勝】の子牛は、なんと30万頭以上に登ります。
この様に、より高い産肉能力を有している血統の牛を交配することで、より良い肉質の和牛が生産されています。
3.最後に
当店で取り扱っている【伊賀牛】の血統について、ほんの一部ですがご紹介しました。
当店は精肉店であり、生産農家さんではありませんので、詳しいことまではなかなか知識として持ち合わせておりません。
しかしながら、より良い肉質の『伊賀牛』を生産、肥育するために、過去から脈々と受け継がれている【血統】と同じ様に、様々な方が携わっておられます。
我々精肉店は、歴史に裏付けされた評価されるべき『味』を、より美味しく、より価値感のある商品としてお客様に提供し、この『味』を未来に繋げていくための一助とならなければいけないと感じています。
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