そろそろ「デマ変異株」の話 (1)
コロナ禍も2年が経ち、これまでに起こった残念だった現象に名前をつけたり、検証してみることを始めます。
趣味の一環なので、自分の中で強烈だったできごと、人の命を奪いかねないデマについて検証してみます。
2020年6月頃のデマ
これはひどかった。
私のFBのタイムラインが「コロナウイルス?見たんかい!?」
みたいなコメントと共に、そのYouTube動画へのリンクで埋まる。
翌日、某お店に行くと、店員さん常連客みなが声を揃えて「コロナ見たんかい!」なんて話してる。ユーチューブすごい、こんな影響力あるのか。
後になって、私はこれに「貞子現象」と名前を付けました。
鈴木光司さん原作のホラー小説に出てくる「貞子」みたいなので。
※貞子という人の呪いが込められた「呪いのビデオ」なるものがあり、その動画を見た者は「リングウイルス」に感染して死ぬ、というフィクションです。
そっくりではないですか?
間違った情報のYouTubeを見て、ほぼ皆感染。
次の日には、異口同音に「コロナ?見たんかい!」です。
コッホの4原則とは
さっそく、コッホの4原則について検証。
本来、教科書など信頼性の高い書物で検証すべきですが、面倒なので、信憑性は低いですがWikipediaで。日本語より英語のほうが信頼できるので、英語を読むと、
これでは英語読めない人はなんのこっちゃなので、DeepLに翻訳してもらいます。
DeepLは誰でも使えるサイトで、コピペすれば一瞬で翻訳されるので、ぜひ利用してみて下さい。翻訳を丸投げしたのが以下。※時間と英語力のないお医者さんも、論文サマリーをDeepLにコピペして、論文を読んだ気になってる人もいるという噂があ
「ウイルス」って一言も書いてない。
「microorganism」は「微生物」と翻訳されてます。
そもそもこの4原則を唱えたロベルト・コッホは、近代細菌学の開祖と言われる人で、ウイルス学の人じゃない。
※ウイルスと細菌の違いについては、復習して下さい。
ウイルスの可視化はコッホ死後
コッホが生きていた時代、「濾過性病原体(のちの名をウイルス)」があることは知られつつあった。だが、コッホの死(1910年)から時が過ぎた1920年代、スベドベリ(Svedberg)による超遠心分析機での実験が発表されるまで、ウイルスが大きさや種類や形状を持つことすら分かっていなかった。
そして、ウイルスを可視化できる電子顕微鏡は、1939年に発売。
コッホの時代であれば、「ウイルス見たんかい?見えんがな!」は事実。
見えるようになったのは1939年以降。コッホの死から、約30年後のこと。
コッホにしてみれば、「見れるんか?見たかった!」と言いたいところだ。
動画を見ると感染しちゃうデマ
というわけで、科学的に間違っているが、自分が信じたい動画を信じてしまうことを、
「貞子株に感染」
と表現することにしました(心のなかで)。
ネットでは、エセ科学が猛威の時代ですから、この貞子株の変異株もたくさん出ています。お気をつけ下さい。
最後に、
2020年12月頃にもプチ流行した貞子株のスクショを貼ります。
大流行には至らなかった模様。
※「microorganism」を「ウィルス」と誤訳してます。※なんで動画の画質が、VHSっぽいんだろう…
上記コッホの原則について、事実関係をより詳しく知りたい方に以下のリンクを付加します。
21世紀におけるコッホの原則:ゲノムの時代の病原体特定の条件