「先生、「勉強しろ」って言ってくれませんか？」先生はどう答えますか？

2021年6月14日 00:47

保護者と会うたびに、このセリフをよく言われます。

確かに保護者の方からすれば、子供の学力が高い方がいいという方が多いですし、その方が将来が安心だと感じている保護者が多いでしょう。

そうして、勉強のこととなると先生に言ってもらったほうが早いので、こう言ったお願いは増えてきます。

確かに先生が「勉強しなさい」と指示を出し、その場所を与えてあげれば子供たちは言われた通りに勉強するでしょう。

しかし、それで本当に学力は伸びるのでしょうか？

今日は、この質問に対する私の思いを綴ります。

生徒にとっては勉強＝苦行である

頭を抱える　勉強

まず、最初に頭に入れておかなければいけないことは、生徒にとっては勉強はやりたくないこと、楽しくないことであるという認識です。

大人になってから脳裏によぎる後悔、「あの時勉強していれば」は子供にはない感覚です。

私たち大人は過去の話をしていますが、生徒からすれば今の話をしているのです。なんでも言うのは簡単です。

そして、勉強をする意味や勉強をしたいと思わずにただ机に向かう勉強は、明確な目的がないため間違いなく長続きしません。

定期試験や先生から言われた条件を守れれば、そこまでの学習となってしまうことは明白です。

もっと、根本的な学習への動機付けが必要なのです。

芽吹き

子供たちが自主的に学習に向かうには、勉強の目的が必須です。

それは、テストでいい点をとって周りからよく見られたいという自己肯定感のためでも、いい点数をとったらご褒美がもらえるという外発的動機付けでも（長続きはしませんが）なんでもいいと思います。

自分が勉強できているから、子供にも勉強を強要しようとする親がいますが、大人と子供では勉強に取り掛かるハードルの高さが全くもって異なります。

大人にとって、勉強する意味は明確です。

資格取得のため、自分のスキルのため、何に使えるのかを簡単に想像できるのと同時に、そう言った挑戦をしてきた回数が子供たちよりも多いので、上手く勉強できるのは当たり前なのです。

だから、とことん子供との対話が必要なのです。ただ、なんとなく勉強しなくてはいけないのは、子供たちもわかっています。

だから、平均点さえ取れていれば、できない方には入らないから、ここでいいやと妥協する子も出てきます。

でも、不明確なうちはそれで仕方ありません。

そう言った自分の状態を知ることの方がよっぽど大事なのです。

保護者の方も今一度考えて欲しい部分です。

厳しい意見、無責任な発言に聞こえてしまうかもしれませんが、子供にいい点をとって欲しいというのは、大人のエゴではないでしょうか？

確かに、いい点を取ればその分、将来の選択肢は広がるかもしれません。

しかし、先に何も見えていない選択肢が広がったところで、進んだ時にどの道に進むべきか、また迷い途方に暮れてしまうのではないでしょうか？

つい、目の前の子供の態度に目を奪われ、「勉強しなさい」と口から溢れてしまうこともあるかもしれませんが、一度我慢して、「どんなことが好きなの？」「何をしている時が楽しいの？」「〇〇にとって人生って何だろう？働くって何だろう？」と、根本的なお話をしてみてはいかがでしょうか？

そこに、その子の勉強へ進むための根本的な糸口が絶対にあるはずです。

勘違いしてほしくないのが、勉強をしなくていいと言っているわけではありません。

勉強は大切です。しかし、それは子供も何となく分かっています。でも、真に心の底から、勉強は大切だと熱く語れる子供は少ないのではないでしょうか？

きっとしておいた方がいいからという、未来を予想した中での評価にとどまると思います。

本当に勉強の大切さが分かるのは、その勉強の仕方や学習したことが活かせたと感じる瞬間なのですから。

だから、今はその未来をイメージさせることが先決ではないのでしょうか？

目的のない勉強を強要するより、自分の作り上げたい未来を作り上げるための手段として勉強を提示することが、勉強への継続したやる気を引き出すことにつながるはずです。