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不詳の日記

人が他人に抱く感情というものは、そう簡単に消え失せるものではないと思う。

小学生の頃に気になっていたあの人、同窓会で再会するまで、なんとなく頭の片隅に残っている。
恋心とまではいかないかもしれないが、片思いしていた記憶は鮮明だ。

実際に会うとそうでもなかったりするのだけども。

二年ほど前のことになる。
ある日、中学時代の友人から、とあるSNSをフォローされた。
懐かしさを感じつつ、フォローを返す。
どんなことを書いているのかと、これまでの投稿を見てみた。
その年の4月に始まった投稿には、中学時代の友人の写真が使われていた。しかも、投稿時期に合わせ写真の中の季節も移り変わっている。
まるで当時を振り返っているような気持ちになった。

入学式から始まり、体育祭や夏休み、文化祭や合唱コンクールなど懐かしいものばかりであった。
当時の思い出を振り返るアルバムのような物だろう、なかなか面白いことをするものだと思った。
「懐かしい」という旨のコメントを残した。

それからしばらく経った頃、件の友人から連絡があった。
「コメントでやり取りをしているのは私ではなく、SNSを更新しているのも私ではない」
とのことであった。

全く理解ができなかった。
では、全くの別人が友人を騙っているということになる。
友人は芸能人でもなんでもない、所謂一般人だ。
一体誰が?
何の目的で?

それからも投稿は続き、ある日、更新が止まった。
交際相手と別れたという旨の投稿が最後のものであった。

友人曰く「同窓会で会った元カレにヨリを戻したいと言われたが断った。もしかしたら投稿してたのは彼かも」とのことだった。
断られた事がショックだったのだろうか?
だとしても何故このようなことを?

私がSNSの存在を知ってから一年ほど投稿があり、合計で三年半ほど続いていたようだ。
全ての投稿に友人の写真が使われており、この夥しい数の写真を保存していた執念深さには舌を巻いた。

人が他人に抱く感情というものは、そう簡単に消え失せるものではないと思う。

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