新年

 僕の新年はカウントダウンTV でもおもしろ荘でもなく爆笑ヒットパレードから始まる。と言っても自分で決めているわけではない。リビングのテレビのチャンネル決定権を持つ父親が爆笑ヒットパレードを中心にザッピングするのだ。
 そうでなくとも正月番組は世間が決めたお馴染みの番組ばかりで自分が選択した感が薄い。だから僕の新年最初の決断は「プロレスを見る」ことから始まる。
 しかし、ここでひとつ問題がある。それは年始のプロレスは大抵ビッグマッチだということ。それの何が問題なのかピンと来ない方も居るだろう。しかし競馬に地方競馬ファン、お笑いに地下芸人ファンが居るようにプロレスにも地方会場のメイン以外の試合が好きなファンも居る。それが僕だ。
 地方会場で行われる試合、それも中継がないような大会は正直に言えば「勝ち負けの関係ない試合」だ。普通なら「そこに命をかけているからプロレスラーってすごいんだ」となるだろうが、僕が言いたいのはそうではない。勝ち負けの関係ない試合の方が予想がつかなくて面白いのと、会場を盛り上げるためにコメディチックな振る舞いが増えて楽しいから好きなのだ。
 誤解を恐れずに言うがプロレスとは興行である。階級を細分化してスポーツとしての公平性を保つことよりも、身長2メートルの人が200キロ近い体重の人を投げ飛ばす姿を見せる方が観客が盛り上がるから100キロ以上はヘビーというルールを良しとする。勿論これがプロレスの全てではないが、レスラーが常に観客の目を意識していることは確かだ。
 プロレスがエンターテイメントの要素を含むからこそプロレスファンはどこかで番狂わせという最大のサプライズ起きないかを望んでいる。そんなファンの行き着く先が「勝敗の読めない地方の前座が一番面白い」である。
 勘違いしないで欲しいが皆が皆こうなるわけではない。推しのレスラーにタイトルを獲ってほしいとかそういう目で応援している人も居る。
 でも、あなたの隣に、地方の前座が一番面白いおじさん、今も居るかもしれない。そんな時は怖がらないで一言こう言って欲しい「プロレスってどこで見られるの?」と
 きっとプロレスに連れて行ってくれることだろう

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