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ふらふらした、寄り道ばかりな線
# 95 書き手:一陽アケル
日本の墨絵は、一度引いた線を消すことはできない。一度しか引けない線にぼくは憧れがある。
流れるような、生きているような線に憧れている。
けれども、ぼくの描いた線は、ふらふらと寄り道ばかりしている。真っすぐ一息で引いた一本で決まらず、リテイクありきで言い訳ばかりの線だ。
一日一枚を31日描き続けた。何があっても完成させたかったから、一筆書きを選んだ。
描き直す時間もなく、線はもっとふらふらに、行ったり来たりを繰り返した。
見返す時間もないまま31枚描き切った時は、何の感慨もなかった。
ようやく落ち着いて見られるようになったのは、電子書籍化の作業だ。
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一回きりの行き当たりばったりな線で、複雑そうに重なってるけど、よくよく見れば単純。
こだわって描いた密度の高いところと、飽きて余白になっているところ。
色はパキッと明快に塗った。
完璧じゃない、けど楽しい。
まるで自分の人生のようだ。自分の絵をここまで穏やかに見られたのは初めてで、なんだか笑ってしまった。
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