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2024年を総決算しようと思ったけど、『ソンジェ背負って走れ』しか残りませんでした。2

前回に引き続き、”ソンジェ背負って走れ中毒者”の私が、ただ『ソンジェ背負って走れ』の話をしていきます!

■"物語中毒者"を骨抜きにしたドラマ構成

☆ソンジェを守る最後の時間、9話~12話

8話エンディングでソンジェが重症を負ったことで、ソルはソンジェの死因が他殺であったことを悟ります。

あと1回残っているはずのソンジェの時計を探すソルの描写がとにかくハード。自分とヨンスの悪縁にソンジェを巻き込んでしまったこと、その事実を忘れソンジェを長年傷つけていたという自責の念がソルを苛み、ソルを絶望の淵に追いやります。

ここでピックアップしたいのがインヒョクとソルのシーン。
重症で病床に伏している状態のソンジェを差し置いて、昔ソンジェが持っていた時計を血眼で探すソルの行動は、通常であれば理解できません。
「誰のせいでソンジェがこんな目に合ったと思っているんだ」とソルを責めるインヒョクは、タイムスリップというファンタジー要素を現実に引き戻してくれるキーパーソンであると私は考えています。

タイムスリップをしていることで不可解な行動が多いソルに対し、「好き」という気持ちだけで乗り越えられているソンジェと、そのバイアスが一切かかっていない状態の冷静なインヒョクという二項対立を描くことで、脚本が”自己満足”にならず全視聴者を取り残さない点が『ソンジェ背負って走れ』の大衆性に繋がっているのだろうと考えます。

無事、時計を発見し最後のタイムスリップをするソル。大学編のスタートです。”最後のチャンス”を絶対に無駄にできないと考えるソルはソンジェとの縁を絶つことに決めます。この変遷もすごい。
今までは、19歳のソル、19歳のソンジェの人生を34歳である自分が変えてはいけないという気持ちでソンジェの好意を遠ざけていましたが、今度は違う。自分と関わればソンジェが死んでしまうから、好きなのに遠ざけざるを得ない。34歳のソンジェを救うため、20歳のソンジェを自らの人生からシャットアウトすることに決めたのです。はあ、面白すぎる。

一方で大学生のソンジェは通常運転。ここでもインヒョクが視聴者に『ソルがソンジェのことを好きでなかった場合、ソンジェの行動は怖いレベル』という常識を思い出させてくれます。その常識がありながらソンジェの恋愛に介入しすぎず変わらず仲良くしてるインヒョク、ほんまにありがとうね。
そしてやはり、脚本家・プロデューサー・監督の間で『ソンジェに格好つけさせない条約』が結ばれているという事が明確になりましたね。ソルに対する感情にプライドなんてないって言ってるし・・・最高

ソルはとにかく事件を解決し、キムヨンスを捕まえたいという思いから本格的に警察へ協力を依頼します。まだ現段階では担当の警察官がテソンの父であるという事をソルは知りませんが、テソンの父が警察官であることで、ソルの『不明確な未来に対する警護依頼』に応える”人情”という動機に納得感が増します。この辺りも上手すぎる流れ。

MT(新入生歓迎合宿)に参加するソル。かなりシリアスなムードになってしまっていた9話冒頭ですが、MTではクスっと笑えるコメディシーンも多く、非常に助かりました。
隙を見計らって帰宅を画策するソルでしたが、上手くいかないソル。結局ソンジェと森で二人きりになってしまいます。

嫌われたから避けられているのだと勘違いしたソンジェから、「俺と顔を見合わせるのも嫌なのか」と言われ、割り切ったはずの感情がぐちゃぐちゃになるソル。未来のソンジェを救うために目の前のソンジェを傷つけている事実を突きつけられ言葉が出ないソルの人間味に、「大人だから全部わかることなんてこと、ないよな・・・」と変な共感をしてしまいました。

どうすれば良いのか、何が正解なのか、分からなくなってしまったソルは泥酔状態で、「あの時会いたいと言ってたらソンジェは助かってたかな」と涙を浮かべます。後悔を口にするソルを見て、とてつもなく苦しくなりました。

自分のせいで死んでしまった、重症を負ってしまったソンジェを救うためタイムスリップを繰り返してきたソルには、これまでゆっくりソンジェのことを思う時間がありませんでした。助かる可能性があるとはいえ、何度も大切な人を失うことによる心労は計り知れません。しかもソンジェが助かるか助からないかは自分に託されている、という状況で。

めまぐるしい展開の中でも、ソルの葛藤を丁寧に描く脚本には人の心が宿っていると思いました。作業のように「真相を解明しよう!」「ソンジェを助けるにはこれが最善だ!」「犯人を逮捕するぞ!」と物語を進めていくのではなく、あくまで登場人物たちの感情を大切にする点がこのドラマの温かみに繋がっていると感じます。

ここ、個人的に1番好きなシーン(タイ)です。もう大泣き。声出して泣いてました。ソルに近づくのはもうやめようと思っていたものの、結局ソルを助けに来てしまったソンジェ。そんなソンジェに対し感情を爆発させるソル。

「なんで来たのって!」
「心配かけるなよ!」
「どうして私についてくるの!…あなたに嫌な思いをさせたでしょ…なのに心配するの?バカなの?本当にバカなのかって…自分勝手になれって言ったでしょ、好きなだけ悪口を言って私のことなんか忘れてよ…だからバカみたいにあんなことに巻き込まれるの…」
「…あんなこと?」
「お願い…お願いソンジェ…お願いだから…」
「分かったよ…ごめん全部俺が悪かったから…泣くな」
「…私に構わないで…心配もしないで、私が何をしてこの身に何か起きても…私を放っておいて…」

もうこの辺りから、視聴者のソル過保護モードがONになっているんですね。これがすごい。視聴者は物語の中で孤軍奮闘するソルの唯一の理解者であるという立場によって庇護欲が掻き立てられ、ソルのことをどんどん好きになっていくんです。ソル・・・守りたい・・・😭

そして、エンディング。酔っていたソルが知らないはずのソナギを歌い、未来から来たと話していたことをソルに伝えるソンジェ。『ソルは未来から来たのではないか』とついに勘付き始めるソンジェで9話が終わります。

面白すぎませんか?まさかソナギがきっかけでタイムスリップの可能性に気付くとは・・・。エピローグではまたソンジェしか知らないキスが増えてるしさあ・・・。
毎回、「ここが最高地点で面白いのでは?」とよく分からない不安を抱いていた当時の私は尽くその不安を打ち砕かれ、毎回、今回が1番面白かったなーと馬鹿すぎる感想を抱いていました。

そして10話。ついに二桁に入ってしまった・・・。この辺からずっと終わることを恐れていた記憶があります。

え、言うの!?!?!?!?!?!?!?!?!?
9話が終わり、1日かけて”ソルが今後どうするか”について仕事をしながら考えていました。違う理由でごまかすんだろうな、と考えていましたがこれまた外れ。未来から来たことは言って、大事なことは隠すでした。改めて考えてみても分かるはずなくて大笑い。

ソンジェが意固地になって「アメリカに治療しに行く」と本来は5%くらいの気持ちをソルにぶつけてしまう描写も、「脚本家さん、ソンジェへの解像度高いな~」と意味の分からない感想を持ちました。

ソルが気持ちを封じ込めようと頑張っているのに、鬼畜な物語構成。ソンジェを狙う同級生によるアタックを目の当たりにして、兄のクムと屋上飲みで泥酔するソル。
キス未遂を目撃したソルから嫉妬されていることを期待したソンジェは、ここぞとばかりにソルに言葉を投げかけます。

「俺が他の女とキスしてても腹が立たないのか?」
「…別になんともないよ」
「じゃあ俺が遠くに行っても本当に平気か?1日でも早く消えてほしい?」
「…」
「…分かった。じゃあ最後に聞くよ。タイムスリップだかなんだか知らないけど、どの時空から来てようと関係ない。俺にとってはどれも同じお前だから。…お前は?今までに俺を好きだったことはない?一瞬でも、なかったか?」
「(あなたを好きになる資格がない)…うん、ない」

ソンジェの切実さもソルの切実さも伝わる名場面。
ソンジェは気持ちいいですね。ソルのことをずっと好きでいるという気持ちになんの疑いもないから。従来のラブコメでここまで告白して、それでも拒絶された男主人公っているんでしょうか。さすがにこのシーンは脚本を恨みました。ソンジェもソルも辛すぎる。
でもこのシーンがあったからこそ、ソルの覚悟を感じましたし、ソンジェの大きすぎる愛も再確認できたと思います。

テソンは偶然事件を知ったことで、ソルの元を訪れます。
片手に花束を持ち、「ソルのためではない」と言いながらも最終的にはソルのためだろ~?と思っていたら、本当にソルのためではなかったという。そんなテソンが大好き。
このシーンは、実はリアリストで頭の切れるテソンに、ソルが「警察官になれば?」と言う重要な場面です。

テソンは、この物語の裏主人公であり、『ソンジェ背負って走れ』の企画意図に1番当てはまる人物であると考えています。

企画意図:不可逆な瞬間を思い出すとき、私たちは「もし」という仮定を付け加える。もし、その時他の選択をしたなら… 、その時そのことが起きたら。 その時その時期に戻ることができないことを知るために「 もし」という言葉はいつも悲しく感じられる。 それにもかかわらず、私たちは 「もし」という仮定をしてみようかと思う。 もし、過去に戻ることができる特別な機会が訪れたら。 ・・・(中略)・・・このような話を通して一つの疑問符を投げてみたい。 果たして特別な奇跡が起こる瞬間だけが「運命の時間」だろうか? たぶん大切な家族と一緒にいる平凡な今日が、 愛する人と目を合わせて笑うことができるこの瞬間が、 私の運命の時間かもしれないのではないか? だから1秒だけ流しても過去になる今、 この瞬間を美しく見てくれることを、流した時間の中で見逃してしまった特別な瞬間を取り戻す時間になることを願う 。

テソンはソルの影響で、煙草をやめ、喧嘩をやめ、高校を卒業し、父親との確執もなくなっていきます。意図して行ったことではなくても、誰かの人生を大きく変えるきっかけになるのかもしれない。「平凡な今日が、運命の時間である」という企画意図が最も顕著に反映されているのがテソンなのではないかと考えます。

そんなテソンとソンジェのくだらなすぎる対決シーン。
ソンジェがダサいことはここまで見てきた視聴者全員の共通認識ではありますが、テソンもそこに引けを取らずダサいのが新しい
ラブコメは、『1番手がクズなら2番手は優しい』『1番手がクールなら2番手はヤンチャ』というように三角関係において対比構造を作るのが一般的です。

テソンは愛嬌があり喧嘩も強く、イケメン。器用でビジネスの才能も音楽の才能もある。ここまでくると、『1番手は不器用でダサい、2番手は器用でスマート』という対比構造を作りたくなるものですが、そこが違う

水を溜めたバケツをテソンが全部ひっくり返すシーンではゴニ君の絶妙な”ダサ演技”が光ります。ソンジェの「何やってるんだ」にげらげら笑いました。本当に何やってるの。
このシーンを見て、テソンは、元から器用で全てをスマートにこなしているのではなく、きっと見えないところで沢山努力するキャラクターなのだろうなと感じました。やっぱり魅力的です。

色々言いましたが、やはりテソンの方が一枚上手ですね。
テソンはソンジェから勝手に競争心を抱かれて、揶揄うと面白いから応戦しているけど、実はそこまで嫌いでもないんですよね。
ソルのことを本気で好きになってしまっているテソンだからこそ、ソルはソンジェじゃなきゃいけないという事を理解しているし、ソルの思いに気付かないソンジェに声をかけられたりもする。
テソンは”2番手”と一括りにすることがあまりに勿体ないキャラクターです。

そして、これまた好きなシーンランキング1位(タイ)の10話エンディング。

アメリカに行くため空港に向かったソンジェがポスターをきっかけに高校生の頃にソルと一緒に埋めたタイムカプセルのことを思い出します。2023年の1月1日0時に開けようと約束したこと、タイムカプセルの中に入っていたメッセージ、「守りたい」「未来から来た」という言葉・・・。

ソルが「守りたい」と言いながら自分を避ける、という事はソルと関わると自分に危険なことが起きる・・・自分がソルを守るからだ、となるソンジェの愛すぎる思考回路。何なんだこれ。
物わかりの良すぎるソンジェですが、ソルが必死な姿をここまで誰よりも見てきたソンジェだからこそ、合点がいったのでしょうね。

「それが理由ならソル…もう逃げずにただ俺を好きになればいい。お前を助けて死ぬなら、俺は平気だ。…死んでもいい」

がああああああああああああああああああ😭😭

壊れますよ、泣きすぎて。ずっと心臓鷲掴みにされてるような、尋常じゃないときめきと切なさをもらいました。
6話で熱々の餃子を食べたソルに早く出せ、と躊躇いなく手を差し出したソンジェのシーンもそうでしたが、脚本家さんの”適切なタイミングで適切な熱量の愛情をもったシーンを描ける”点にさらに信頼度が高まりました。(もう天井打ってます)

さて、11話。

「向かっていくよ、お前のいる2023年に」

適切ーーーー‼️‼️(IKKO声)
ソンジェの言葉がソルの心を少しずつ溶かしていくのがわかるシーン。全てを背負ってしまっていたソルの肩の荷が少し降りた気がして安心しました。

ソンジェの「俺に何があっても絶対に自分のせいだと思うな」という一言は、先述した通り私が裏テーマであると考えている『100%で相手を思う我儘』が表現されていると感じました。
ソンジェの命を死ぬ気で守ろうとするソルと、「ソルを守るなら平気、死んでもいい」と言うソンジェ。どんなに相手のことを考えていても結局は自分自身が主体であることからは逃れられないという人間の業を見せつけてくる至極のヒューマンドラマでもあると感じました。・・・考えすぎか。

この男・・・😭かわいいんだから・・・😭よかったね・・・😭

ソルが今までずっと自分を守ろうとしてくれていたこと、自分のことを長く好きでいてくれたことを知ったソンジェは、ソルへの愛が大気圏を突破します。

8話でもお互いの気持ちを伝えあって付き合うことになりますが、その時のソンジェはソルがタイムスリップして自分を救いに来ていたことを知らない状態のソンジェです。
そのため、この11話は真の意味で(まだ秘密はあるものの)ソルとソンジェが通じ合った初めての時間。視聴者も束の間の幸福に永遠を祈ります。

ソンジェのこういうとこ~〜‼️

こういう所が好きなんです。
34歳の自分が未来に帰ってしまった後、ただ一人残る20歳の自分のため、ソンジェとの時間を優先することにまだ抵抗があるソル。
そんなソルに、「1分1秒でも時間が惜しい」「ただ気持ちを隠さずに思いっきり好きでいよう」と言いながら、「心配なら隠しておこう」と自分の気持ちを伝えたうえでソルのことを優先できるメロ男ことソンジェ、いつからそんな格好いい男に!?

ソンジェがオーディションに参加できず「自分がまたソンジェの幸せを奪ってしまった」と考えるソル。11話からは特にこういった描写が多くなっていきます。自己犠牲の上に愛は成り立つのか、というテーマですね。

「別に良いだろ」という言葉が正しすぎて・・・。本当にこれ、恋愛バイブルとして授業で扱った方がよいのでは?自分が歌手になれない未来に対して「ソルのせいじゃない」と言えば、そこに一抹の心残りがあるように見えます。「別にいい」んです。ソンジェにとっては。ソルと一緒の時間を歩むことが何より大切だから。

このシーンも、お互いのことを一番に考える2人の打算的じゃない関係がよく表れています。
ソルの思いもソンジェの思いも、もはや祈りでしかないんですよね。2人が2人でいる限り、ソルはソンジェに生きててほしいと願うしソンジェもソルに幸せになってほしいと思ってしまう。2人の愛が平行線にならないためにはきっと、祈るしかないんだと、そう思いました。

振り幅怖⋯⋯⋯⋯

嘘みたいな振り幅でときめきと切なさと笑いと涙をくれる『ラブコメ界のワイルドスピード』。ソルとの時間が大切で、「もう少しこのままで」と切なさを滲ませた昨日のソンジェはもういません。
ソンジェ父を演じるキムウォネさん、私は初めて演技を拝見したのですが、表情・間合い・息使い、全てを駆使して笑いをくれます。キングオブコント王者の貫禄。

演技の鬼による本気のコメディ芝居に終始ニヤついて「ラブコメって最高だなぁ」と再確認しました。

キムヨンス逮捕された・・・。良かった・・・。
ソルが「本当に終わったんだ」と涙を浮かべてソンジェの歌うソナギを聞く姿を見ながら、再生バーを確認しました。よし!!あと2分!!耐えてくれ!!

うぉおおおおおおおおおおいいいいいいいいいいいいい‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️

ヨンス、逃げました。はあ。・・・まあ普通には終わらないと思ってましたけど、もう早く幸せになりたいよ・・・俺が。

ラストスパートに向け本腰を入れ始め、12話以降の布石となる重要な回となった11話。サスペンスのはじまりを奇数話に持ってきてくれてありがとうございます・・・脚本家様・・・。

11話でテソンからソルの秘密について情報を聞き出したソンジェ。ソルの意思の強さを誰よりも知っているソンジェは、ソルに執拗に理由を迫ることがないんですね。この辺りも気持ちいい。

付き合ったから、好きだからといって心の底まで土足で踏み込んでいいわけではない。ソルもソンジェもその距離感を絶対に間違えないところが人として素敵だし、見ていてストレスがない。世の中こういう人たちばかりだったらいいのになあ。

クムヒョンジュファンの方々、お待たせいたしました。

ここ、本当に可愛いよね~。この4人、家族なの本当にありがたくて。余談ですが、何気1番萌えるのはヒョンジュがソンジェの義理のお姉さんになることですね。
ソルソンジェが色んなことに過敏になって緊張感がある状態を利用してこんなコメディシーンを思いつくなんて・・・鬼畜なんだから。

インヒョクが田舎の実家に帰ったという話を聞き、ソンジェ・ソル・テソンの3人でインヒョクを迎えに行くことに。インヒョク・・・お前上京(?)してたんか・・・可愛い・・・。(インヒョク可愛がりbot)

好きなシーンランキング1位(タイ)きました。もはやランキングの意味ないんじゃないか、と思いますよね。あともう1個だけなので見逃してください。

ここのシーンでは、今まで物語を引っ張ってきた4人各々の関係性の変化が顕著に描かれています。

「若いときの輝かしい瞬間があるならお前と一緒に過ごしたい」
「…彼女ができて口が達者になったな」

高校生の時から変わらず1番の友達であり続けたインヒョクとソンジェ。
1話では衝突していた2人がお互いの拠り所として寄り添う姿に、ソルのタイムスリップで変化しているのはソルの人生だけではないのだと感じ、胸が熱くなりました。

「あとになって気付いた、本気だったって。…お前を利用してない。今更だけどそのせいで傷ついたなら誤解を解きたい」
「…話してくれてありがとう。学校の人気者に本気で好かれてたなんて自信がつく」
「思ってるほどクズじゃないぞ」
「分かってるよ。いつも言わないだけで良い奴だって分かってる」
「…そんなこと初めていわれた」

11話のライブシーンでソルを見つめるテソンの表情に涙を流していたテソン過保護勢としては、ここでしっかりとテソンの思いが供養された気がして安堵しました。

「話してくれてありがとう。学校の人気者に本気で好かれてたなんて自信がつく」「いつも言わないだけで良い奴だって分かってる」
ここのソルの言葉、良すぎませんか?そんな事言われたらソルのこともっと好きになっちゃう・・・。テソンの思いを否定するでも肯定するでもなく、ただテソンを傷つけない最大限の配慮で。
「…そんなこと初めていわれた」⬅️おーい(笑)好きになってしまってるじゃない(笑)

テソンとソルにとっての第2章が終わった瞬間を表すのが、このアイスを横並びで食べるシーン。ソルと同じアイスを一瞬にして選ぶソンジェに、やっぱりソルにはソンジェで、ソンジェにはソルだと感じるテソンがソルの隣をソンジェに譲るところで大泣き。それにソンジェが気付いているのもさぁ・・・ソンジェとテソンの関係性は、これなんですよ

携帯をなくしたソルはソンジェと一緒に山に登ります。見覚えのある場所でキムヨンスに追いかけられる光景がフラッシュバックしたソル。

このシーンをきっかけに、ソルはヨンスと決着をつける覚悟を決め、ソンジェはそんなソルの異変に気付き声をかけます。

「ソル、俺に話すことはない?」
「…うん、特にないけど、どうして?」
「…なんとなく。俺にだけは辛いことや悩みがあれば何でも話してほしい。1人で抱え込むな」
「うん、そうするね」
「(嘘つき、俺を守ろうと黙ってる。だけどソル、お前がどんなに隠そうとしても、その日は必ずお前の元に行く。これは、変えることのできない選択だ。)…行こうか」

ソンジェの、ソルを思う姿勢は人間関係の基礎が詰まっているような気がします。ソルが秘密を抱え込んでいることも知っていて、「話してほしい」と自分の意思を伝える。でもそれ以上はしない。ソルの強い思いは、自分の強い思いと同じくらい変えられないものだと知っているから。
どう考えても平行線な2人の関係を必死につなぎとめようとするソンジェの感情が、「特にないけど」とソルに言われた後の数秒に詰まっています。ウソクさんの繊細な演技が堪能できる作品に感謝。

好きなシーンランキング1位(タイ)ラストは、こちら。
この場面でソルはソンジェと別れることを覚悟しており、その覚悟をソンジェはなんとなく察しています。
そんな2人が涙を流さず、不安を隠しながらキスを交わす様子に大滝涙。どうしよう。もう終わりの合図がしてる。幸せが、終わる。

2人の現状は平行線。終わりに向かう現実から少しの間逃避するように愛情を伝えあう2人の切実さに、「あぁ、ソンジェ背負って走れを中学生の時に見ていたら終わってたかも。」と思いました。こんな相手に出会えませんからね。現実は。
結局のところ、『自己犠牲の上に成り立つ愛はない』という事を描いていた気がします。愛という普遍的なテーマでここまで物語を膨らませ、大衆を惹きつけた脚本家さん、『令和のソクラテス』と言っても過言ではないでしょう。

まさか戻ったフリでソンジェを遠ざけるなんて。。。そんな残酷な。。。
戻ったフリをすれば、20歳のソルのことを尊重して追いかけてこないソンジェの誠実さを誰よりも理解しているからこそ使える最終手段。

悔しいです!(ザブングル声)
これしか方法がないと視聴者も納得させられてしまう追い詰められ方をしてるから。
ソルがこの好機を逃したらヨンスがまたいつ現れるか分からないと怯える気持ちも、ソンジェとの幸せを目前にして焦る気持ちも分かります。また時を待って、作戦を練って、なんて時間はないんです。今日にでも34歳の自分に戻ってしまうかもしれないのに。

12話は幸せな瞬間が終わりに向かう音が聞こえ続けた、切なすぎる最終章のはじまりでした。

タイム‼️⚠️
9話から12話で感想書きすぎてもうすぐ1万字…。
重くなりすぎるので、13話~最終話、キャラクターの魅力ピックアップ、キャストの演技ポイントについては【2024年を総決算しようと思ったけど、『ソンジェ背負って走れ』しか残りませんでした。3】に記載しようと思います・・・。いつまでやんねん・・・。

今回もここまでご覧くださり、ありがとうございました!

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