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学生教育に関すること 〜各論1 どんな療法士に成長してほしいか〜
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学生教育は面白いですか?とよく聞かれるのですけど、大変な部分もありながら、その分、面白いですね。
想像していたよりも在学中に成長をみられる学生がいますし、学生と素朴な疑問を話してると色々こちらも気付きがあったりで面白いです。
次に、どんな療法士に成長してほしいかの考え・思いを書きます。
この僕の回答は、
①障害を負ったヒトの「体を良くする」ことに興味を持って、探求し続けてほしい
②対象者の「その人らしさの実現」に興味を持って、探求し続けてほしい
です。
理由は、
療法士の目指すところが、患者さんの動かなくなった体(身体的な障害)の改善のみならず、最終的に目指している部分は「全人間的復権」だからです。
全人間的復権とは?
障害を持った人が身体的な回復のみならず、精神的・社会的・職業的・経済的にも能力を発揮し人間らしく生きる権利。
教科書的な回答に近くて、ブログとして面白みがないかもしれないですけど(笑)、それらが抜けちゃうと「プロじゃないな」と思いますね。
今も現場で患者さんを担当させて頂きますが、動かなくなった手足(身体的)がおおむね回復しても、患者さんから他にも色々相談されます。
・「今後の生活が不安(精神的)でどうしたらいいだろうか」
・「家族や職場等に障害者と思われて(社会的)、立場的にも元通りの生活ができないかもしれない」
・「復職が心配(職業的)で家族も養えないかも(経済的)しれない」
なので、手足が動くようになったらリハビリテーションはゴール、ではないです(完全に病前レベルまで回復したら違いますが)。
療法士は、患者さんの手足が動けるようになった先の、その人らしい生活の再獲得を見据えている職種なんです。
正直、自分が学生時代にそんなことを考えられていたかというと全然ですけどね。
これは現場に出てからわかる部分でした。
「学生に対して壮大な願いを書いているなぁ」と思いながら書いてますが(笑)、行き着くところは本当にそこですね。
患者さんの体が動くようになってもならなくても「この患者さん、晴れた顔をされないな...」と感じることは多いです。なので、生物学的な「ヒト」の体を良くすることだけを勉強しても行き詰まりますね。
もう少し詳細に考えると、
①障害を負った「ヒトの体を良くする」ことに興味を持って、探求し続けるためにはどうしたらよいか?については、
・自分の体を動かして体験しつつ、「ヒト」の体に興味を持つこと
・実習を経験した学生は、困った患者さんを思い出してどうしたら良かったのか考えること
・それらにピンとこない学生は、何のために取り組んでいるのかわからなくても、まずは目の前の勉強・課題をひたむきに取り組むこと。やり切った後に興味あるかどうかを考えること。目の前の課題に向き合えない人は、療法士以外の分野に変わっても向き合えないものです。マシュマロ課題ですね。
続いて、
②対象者の「その人らしさの実現」に興味を持って、探求し続けるためにはどうしたらいいか?については、
・困っている他人の気持ちを理解し、その人のために動ける人間になること
です。
療法士はコミュニケーション能力が必要ですね、とよく高校生や保護者さんから言われますけど、僕の感覚からすると少し違います。「コミュニケーション能力の高さ」=「話が上手」だとすると、口下手でいいので「相手を理解しようとする姿勢を持てる」ほうが非常に大事です。
なので、僕はクラスメイトに「困ったクラスメイトがいたら気付ける人になってほしい」と話してます。
これはどこまで伝わってるだろうな。笑
今後も学生教育に関するテーマを書いていきます!