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学生教育に関すること 〜各論9 オススメ書籍の紹介「リハビリの結果と責任」〜

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この本について紹介します。

僕が患者さんとの信頼関係に悩んでいた新人理学療法士時代に読んだ本です。会社経営されていた40歳代のビジネスマンが、交通事故により障害を負い当事者となり、リハビリ業界に対する疑問を提言して頂きました。

その本から
「入院患者さんが感じた医療従事者の姿」
について③つ抜粋させて頂きます。

それと同時に、
リハビリの専門家(理学療法士:PT)としての僕の考え
も、→で記載して述べたいと思います。
※これは僕個人の考えであることをご承知ください。

①「関節に激痛が走り、私は我慢できずに作業療法士さんに「私もたぶん相当に我慢強い方ですが、もう少し緩めにして頂けませんか?」と伝えると、「緩くしていたら関節が固まってしまうのですけど、それでもいいのですか?」と言われ、それ以上は何も言えませんでした。リハビリとはこんなに一方通行的なものでしょうか?」
→愛護的な関節可動域訓練(本人の表情確認、問いかけ、痛みの把握等)が必要でしょうし、関節の痛みが生じても行うほどの優先度が高いのか?
を考える必要があるのかと感じました。

伸張する方法(筋または腱か、他にもモビライゼーション含める)の検討や、
物理療法(温熱療法や超音波の介入)は使用や、
そもそも、その関節の可動域改善は、今後の生活で必須な部位なのか。

意思共有が行えていない状態で、患者の訴えを抑えてまで、遂行する必要はどのような時なんだろう?と気になった部分でした。

②「企業に勤めていた私の業界とリハビリ業界を比較した時に、立案・企画→見積もり→契約→管理→収支報告→責任とあるはずだが、それらはどこで確認されているのかな。また、本人・家族も掲げたハードルの高さを確認しあうこととかないのかな。」
→まずは下図をみて頂きたいです。

画像1

(Whitney SN .2004より改変引用)
リハビリテーション医療は、D領域(不確実性が高く、リスクが低い分野)です。
不確実性が高い医療であり、全て数字で整理がつくとは言えないです。
が、この業界でも、可能な限りある程度の見通しを、本人・家族の立場を考慮した伝え方(逆にはっきり伝えた方が良い時もあります)で、示す必要はあるかと思います。患者さん・家族と医療従事者の「共有意思決定:SDM」がなされてなかったのかなと感じます。

共有意思決定の必須4要素とは?
1.少なくとも医療者と患者が関与している
2.両者が情報を共有する
3.両者が希望の治療について、合意を形成するステップを踏んでいる
4.実施する治療についての合意(同意ではなく)に達する
(Charles C.1997より改変引用)


③「転院した先のPTさんに対して、私は今まで抱き続けた疑念よりも不満に近い思いを伝えました。それに対して新しいPTさんは、熱情的な言葉と以前の病院のPTさんへの質問の答えもまとめてもらえたようで溜飲の下がる思いでした。」
→担当療法士が前の病院のリハビリ内容が不十分だと感じても、僕ならそれを患者さんには伝えません。

なぜなら、患者さん自身の以前の頑張りが無駄だったのか、と意気消沈させてしまうためです。

過去は変えられないから、過去を否定しなくてもいいじゃないですか。それより、今後は前の病院の情報を活かしたらよいですよね。
患者さんが不安にならないような説明ができる上手なPTさんだったのかなと感じます。

この本は、他にも療法士に対する正直な意見を提言して頂いてます。
この書籍の想いを受け止め、目の前の患者さんをより良い意思共有が行えるように、心に留めたいと思いました!

気になる方は、是非読んでみてくださいね!

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