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#4 突然家業を継ぐことになったその理由
2024年も残り1か月となった12月。
私が家業を継ぐきっかけとなる出来事が起きた。
私はバツイチ、両親と3人で実家暮らしをしている。
父も母も80歳目前だが、
ふたりとも祖父が残した2つの事業先で
今でも毎日働いている。
※ 父の残した事業の詳細はこちら
しかし、その両親が同時に体調を崩したのだ。
両親が体調を崩したことは、
これまでも何度かあったのだが、
一緒に住む私が2~3日看病すれば、
すぐに回復し仕事に復帰できていた。
ふたりとも年齢の割には体力も気力もある方だから
「まだまだ介護なんてことにはならないよね」
と楽観視していた。
だが今回は違う。
ふたり同時に体調を崩しただけではなく、
私自身も発熱してしまい、
思うように身体が動かなくなってしまったのだ。
父は、ひどい咳と高熱で意識が朦朧としたのか、
排泄のコントロールができなくなった。
布団も、トイレも、お風呂場も、毎日汚れている。
無視することはできないほどだったので、
1日に何度も掃除と洗濯をしなければならなくなった。
母は、咳と高熱に加えめまいを起こし、
起き上がることができない。
さらに普段は焼肉が大好きで、
白米もおかわりして食べているのに、
「何も食べたくない」といって食事をとろうとしない。
日々覇気がなくなり、急激に衰えていくのがわかった。
自分を含めて体調が悪くなるなんて考えたこともなかった。
だからなんの備えもないし、頼る先もない。
頼れる先として思い浮かんだのは弟しかいなかった。
弟には、今両親共に介護の状態になっていて、
私ひとりでは対処しきれなくなっている。
だからまず、父をどこかの施設にいれるために協力して欲しい
と伝えるつもりだった。
実は父には、もう1年以上前から老人ホームに入ることを勧めていた。
将来、私ひとりで面倒を見ることができないことはわかっていたし、
そもそも幼少期から関係がよくなかった父の面倒をみるなんて
絶対にしたくないと思っていたからだ。
しかし、俺様気質で家族の意見はすべて否定する父は、
「老人ホームには絶対に入らない」と言い張っていて、
この話をするたびに怒鳴りあいになっていた。
こんな父親に対し、もともと関係のよくない私が説得するより、
弟が説得した方が父が納得する可能性があるのではないか?
と考えた私は、父の説得を弟に託すことにしたのだ。
「今まで私も頑張ってきたけど、もう私ひとりではどうにもならない。
離れて暮らしているからあなたはわからないかもしれないけど、
トイレも自分でできなくなって、
もう私ひとりではどうすることもできない。
お父さんを説得して欲しい。」
「わかった」とひとこと返してきた弟。
父の説得にあたってくれると安心したのもつかの間だった。
その数日後、私の考えは甘かったと思い知らされることになる。
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