![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57150885/rectangle_large_type_2_cd79fece2b45acb57f65fca532c48087.jpeg?width=1200)
くり返しの中のらせん
「あ〜、もうそれ知ってる。」って思うこと、「たったそれだけ?」なこと、当たり前にそばにあるもの。そんなこんなとわざわざ向き合って、その裏側や奥行き、背景を子どもたちと共に味わうことを仕事としています。
こうして語るのはとても簡単なのですが、実際に授業をしていると、空振りすることも、準備不足を反省することも多いです。そこを目指すのが仕事と言ったほうが、現実に促しているのかもしれません。
でも、ことば通りのことが身を貫いて再現できたときには、震えるほど感動します。
それは、自分よくやった〜という感動ではなくて、この世の美しさや完全さに対する感動です。ものすごい秘密を打ち明けてもらってありがたいなぁ・・・というような、そんな感動です。
小さい子たちに授業をする機会もなかったら、きっと素通りしていたことも多いでしょう。今日はその一例を紹介してみます。
3〜4週間かけて味わう
一学期の間、一年生に「数」の授業をしました。1〜12までの数を、3〜4週間くらいかけてみていきます。
え、たったそれだけ!?な内容ですよね。わたしも、最初は自分で心配になるくらいでした。
たとえば、
1 ●
2 ●●
3 ●●●
4 ●●●●
5 ●●●●●
6 ●●●●●●
7 ●●●●●●●
8 ●●●●●●●●
9 ●●●●●●●●●
10●●●●●●●●●●
こんなごくごく普通の表にも、何日かかけて、いろんな角度から取り組みました。たったこれっぽちの表でも、育むものはたくさんあるんです。
ノートにこれを描いてもらうときには、いろいろな意図を込めました。
1〜5
まずは「1」から順番に。と見せかけて、数字を割り振ったあとは、「5」の●から描いてもらいました。
5ってどんな数? → 片手の指の数。10の半分。
というわけで、「半分はこのあたり」と目星をつけて●を描きはじめます。
子どもにとっては「1」からはじめてどんどん増えていくのが楽しいと思いますが、ここではあえて「与えられているものをうまく使う」ひいては「限りある資源をきれいに分配する」みたいな感覚の種まきとして。
10の半分である「5」を描き終わったら、あとは階段を降りるように、列をそろえながら描いてもらいます。
仕組みとしては「見ればわかるよ」って言いたくなるような簡単さですね。
でも、いざ描く段になると、きれいに描くためには、それなりの意識が必要なことがわかってきます。特に小さい子にとっては、導かれないと意識するのが難しい部分です。
美しい仕事は、高い意識や労力に支えられている
そんなことを、ことばで教えるまでもなく、身をもって感じてもらえたらと思います。
6〜10
後半戦は、5より大きい数!
ということで、まずは5個ずつ描いてもらいます。
6 ●●●●●
7 ●●●●●
8 ●●●●●
9 ●●●●●
10●●●●●
「数える」の原点である指(手)に寄り添って、5より大きい=「片手がいっぱいになる」という感覚になってもらうためです。
ここまで準備ができたら、
6 ●●●●● ●
7 ●●●●● ●●
8 ●●●●● ●●●
9 ●●●●● ●●●●
10●●●●● ●●●●●
1,2,3,4,5!勢いよく?足してもらって完成。
1〜5の中でしたことが、発展した形で繰り返されています。そんなことにうっすら気がついてもらえたら、もうけものです◎
与えすぎないことで生まれるもの
これまで、1〜100の中に「らせん」があるとは感じていましたが、1〜10の中にもそれがあるなんて、今回の授業がなければほとんど素通りしてしまっていた事実です。
発展した形で繰り返されている
これって、数も、人の一生も、植物の成長も、人類の進化も、暦も、星の運行も、一緒だと思いませんか?
やっぱり、低学年のうちは与えすぎなくて(ゆっくりで)いいんだな。いやむしろ、与えすぎないほうがいい!と思いました。その分、やってみること(アウトプット)に時間を割いて、その子自身で身体知を稼いでもらいたいです。
わたしも「くり返しの中にあるらせん」を探す目で、毎日を送り迎えたいと思います。
いいなと思ったら応援しよう!
![ieniiru](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84753339/profile_4b5c7fbc536a9d44552ae7910fb863d8.png?width=600&crop=1:1,smart)