養生訓 巻第三 飲食上
一
人の身は元氣を天地にうけて生ずれ共、飲食の養なければ、元氣うゑて命をたもちがたし。
元氣は生命の本也。
飲食は生命の養也。
此故に、飲食の養は人生日用専一の補にて、半日もかきがたし。
然れ共、飲食は人の大欲にして、口腹の好む処也。
其このめるにまかせ、ほしいまゝにすれば、節に過て必脾胃をやぶり、諸病を生じ、命を失なう。
五臓の初て生ずるは、腎を以本とす。
生じて後は脾胃を以五臓の本とす。
飲食すれば、脾胃まづ是をうけて消化し、其精液を臓腑におくる。
臓腑の脾胃の養をうけ