親子で楽しむ移動美術館 活動報告(2022/09/16)
2022年9月16日(日)、東京都杉並区の高井戸地域区民センターにて移動美術館を開催しました。3歳から9歳までのお子さんとその保護者の方にご参加いただきました。
これまで試行錯誤を繰り返しながら実施してきましたが、今回は杉並区文化芸術活動助成金を受けての実施となり、鑑賞・創作ともにより充実したものになったと思っています。その内容をご報告しますので、最後までお読みいただけると嬉しいです!
(移動美術館の活動契機や趣旨については、こちらをご覧ください⬇️)
■ 鑑賞
掛け軸まきまき
移動美術館では、主に江戸時代から近代にかけて日本で活躍した画家の作品を紹介しており、その多くは「掛け軸」です。
掛け軸を初めてみるという子がほとんどで、目の前でクルクルと巻いて見せると興味を示してくれてます。自分も巻いてみたい!と思うのが子供のさが。これに応えるために、恒例になってきましたが、まずは皆んなで掛け軸に触れることから始めました。
作品鑑賞
開催時期に合わせて、秋をテーマにした作品を展示しました。個人の方及び東京銀座ぎゃらりい秋華洞さんから貴重な作品をお借りしました。多大なご協力をいただきありがとうございます!
鑑賞ガイド
基本的には自由にみてください!というスタンスで見てもらいますが、どこを見れば良いかわからないという方もいらっしゃるので、子供向けの簡単な鑑賞ガイドをお配りしました。
この後の創作で墨を使うため、色彩や画材等にも着目してもらいたかったので、「どんな色が使われている?」といった質問も入れています。
対話型美術鑑賞
各自で作品を鑑賞した後、子供たちにどの作品が好きか、どーゆう点が気に入ったかを発表してもらいました。
月齢が小さい子は恥ずかしがったり、なかなか言葉が出て来ない子もいましたが、スタッフに耳打ちで教えてもらって、それを参加者全員に共有するなどしました。
岸 連山の「中秋月図」(水墨画)を見て、「色んな色が見える」という意見や、「雲のモヤっとした感じが好き」等、大人顔負けの渋い感想も聞けて、とても興味深かったです。
このように、移動美術館では対話型美術鑑賞(※1)を取り入れています。対話型美術鑑賞を導入するにあたり、杉並区を拠点に活動をされている「アートわっか・すぎなみ」さんからアドバイスをいただきました。
■ 創作
硯で墨を磨る
創作の講師はこれまで同様、都内の美術教室で子供向けにアートを教える活動を行っているアーティスト・佐々木環美さんにご協力いただきました。
今回は日本を含め東アジアで古くから使われている墨に焦点を当てました。墨と言っても現在では、墨汁が普及しており、学校の書道の授業でも墨汁が使われることが大半です。大人でも固形墨を磨った経験がない方も多いと思います。
そのため、日本の伝統文化に触れてほしいという想いから、硯で固形墨を磨って、その墨を使って絵を描くというワークショップを行いました。
たらし込み
墨を磨った後は、綿棒を使って半紙に思い思いに絵を描いてもらいました。また、環美先生の指導のもと、にじみを活かした技法であるたらし込みにも挑戦してもらいました。
出来上がった作品は最初にまきまきした軸に貼り付けて、世界で一つだけの掛け軸の完成です!
作品発表
完成した作品を持って前に出て、皆んなの前で頑張った点を発表してもらいました。環美先生から教わったたらし込みの技法に挑戦した子や、細部を丁寧に頑張って描いた子等、各自工夫している様子が伺えました。また、完成した作品は、どれも魅力的でそれぞれ子供たちの個性が表れていました。
■参加者の声
・鑑賞と創作をバランスよく取り入れている点、子供たちが楽しめるように工夫されている点が良かった(9歳保護者)
・墨を使うなど貴重な経験ができて嬉しかったです(5歳保護者)
・子供が集中できるちょうど良い長さでギュッと楽しめました(4・8歳保護者)
■その他
移動美術館では、活動にご協力頂ける方を募集しています。移動美術館で展示する作品をご提供頂ける方、アート好きの方、子供が好きな方等、ご関心がありましたらご連絡ください!
ご意見、ご協力、お問い合わせ等は<ido.museum8@gmail.com>までお願いします。
移動美術館公式Webサイトはこちら⬇️